土地活用ラボ for Owner

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  • 不動産市況を読み解く

コラム vol.108

なるほど納得!土地活用の基礎知識
第1回【土地活用概論】
そもそもなんで土地活用?

公開日:2016/01/29

なぜ土地活用が必要なのか?

土地を所有されている方が土地活用を考えるときには、必ずなんらかの理由があります。
それは、相続税の心配であったり、老後の生活費の確保であったりしますが、おしなべて共通するのは「いまある土地をどう活かすか?」という視点から始まるということです。
投資的に見れば、「土地を売却した資金で何かをする」ということも選択肢に加えるべきですが、先祖代々引き継いだ土地を手放すには、心情的にも壁があり、どちらかというと次の世代にもその土地を引き継ぎたい。そのためのベストな選択として何かないだろうかというのが一般的な土地所有者の土地活用における着眼点のようです。

土地は資産か?

ロバート・キヨサキ氏の著書、「金持ち父さん貧乏父さん」(筑摩書房)を読んで土地活用に興味を持った方もいらっしゃると思います。
その中で、資産と負債の定義についてわかりやすい解説がされていますので、ご紹介しましょう。

  • ・資産とは、「自分のポケットにお金をいれてくれるもの」
  • ・負債とは、「自分のポケットからお金を奪っていくもの」

いたってシンプルで、本質を突いた指摘です。では、先祖代々守ってきたその土地はどちらなのか、改めて棚卸しをする必要がありそうです。
未利用の、あるいは低利用の土地も固定資産税・都市計画税、除草・除雪などの維持管理費が容赦なくポケットからお金を奪っていきます。そして、ある段階までは決して目に見えない最大の負債、「相続税」が場合によっては大きくのしかかってくることになります。

いざとなったら物納するよ

相続税の話となると、「いざとなれば物納するよ」という方は少なくありません。だから、「特に土地活用はしない」ということが言外に含まれていますが、残念ながら物納・延納といった手を打つのは平成18年度以降とても困難になっています。
平成6年度に全国で受理された物納申請数は約1万6,000件ありましたが、平成20年度にはわずか698件になっています。
相続税は基本的に相続人が現金で支払う必要があり、しかもそれは被相続人の死亡を知った日の翌日からわずか10カ月以内に申告と納税を行わなければならないという基本を、改めて肝に銘じてください。

延納・物納の仕組み

相続税の納税において、延納、物納という選択肢が、どのような流れで決まっていくかということを整理してみましょう。

  1. 1)最初に、被相続人が残した現預金はすべて相続税の支払いに充てられます。
  2. 2)それでも不足する場合は、相続人の現預金から「3カ月分の法定生活費」を残してすべて相続税の支払いに充てることを求められます。ちなみに、相続人に認められる法定生活費は本人10万円/月、家族ひとりあたり4万5,000円/月です(税金・社会保険料・住宅ローン・治療費などは算出根拠を示せば除外してもらえます)。
  3. 3)それでも不足する場合、ようやく延納という選択肢が与えられます。期間は1年から20年(不動産等の割合が75%以上の場合の不動産等に対応する税額の場合)まで自由に選べますが、延納税という利息が取られます。仮に最長の20年払いを選択し、延納税率3.6%負担で5,000万円を延納した場合の負担は、
    • ・1年目250万円+延納税180万円=430万円
    • ・2年目250万円+延納税171万円=421万円
    • ・3年目250万円+延納税162万円=412万円
    •     ・
    •     ・
    •     ・
    という具合に、20年間続くことになります。
    相続人の家計を大きく圧迫しますが、前述の法定生活費を侵害されることはありませんので、細々と生活をしていくことはできます。
    ちなみに、延納の許可を受けるためには「延納税額に相当する担保提供」が要件とされています。
  4. 4)それでもまだ不足する場合、物納という選択肢が与えられます。ただし、下記のような不動産は受け取ってもらえません。
    • ・担保権が設定されている
    • ・権利の帰属に争いがある
    • ・境界確定されていない
    • ・借地・底地
    • ・共有になっている
    • ・耐用年数を経過した建物
    • ・敷金返還義務がある
    • ・管理・処分に過大な費用がかかる
    • ・公序良俗違反のおそれのある不動産

いずれにしても、簡単ではないということです。

流動性の確保

相続人は、被相続人の死亡を知った日の翌日から10カ月以内に現金払いしなければならないので、保有している不動産がいざとなったら10カ月以内に現金化できるかどうかという「流動性」について見なおす必要があります。例えば、崖地/広すぎる土地/狭すぎる土地/道路付けが悪い土地/形状が悪い土地/借地や底地/古い賃貸住宅/境界未画定/交通の利便性が悪い/身内との権利調整が必要、などの不動産は、「売りにくい=流動性が低い」ですから、事前に売却して現金化したり、売りやすいように準備をしておく必要があります。

土地活用は相続にどういったインパクトを与えるか

価値の高さ、流動性の高さでいえば東京の中心「銀座」などが代表的でしょう。10万円近い月極駐車場、10分600円の時間貸し駐車場がいつも満車になっているのが銀座です!
200m²の土地がコインパーキングになったのを見かけ、試算してみたことがあります。予想される年商を、約4,000万円とすると、運営費や固定資産税(更地なので原則軽減がありません)を差し引いても約1600万円/年の手取りが見込まれます。羨ましい限りですが、相続税を計算すると1次・2次の合計で約5億6,000万円の納税となります。(※試算条件:配偶者+子2人)
そこで、7億円の借入をしてここに7階建てのビルを新築すると、納税額をゼロに。そして、年間手取り収入を現状の約4倍相当にあたる6,600万円と仮定します。
このケースにおけるコインパーキングもビル建築もどちらも土地活用ですが、選択肢によって効果がまったく変わるというのが土地活用の面白いところです。
「借金は嫌い」という方は少なくありませんし、この例のように7億円も借り入れをするのには抵抗がある方も多いでしょう。しかし、そのなかで相続税という取り立てのキツイ「隠れ借金」を背負っているということを意識している人は少数派かもしれません。 いずれにしても、

  1. 1)相続人たちがもめないための「分割対策」
  2. 2)被相続人の死亡を知った日の翌日から10カ月以内に速やかに現金を用意するための「納税対策」
  3. 3)そして、納税額をできる限り圧縮するための「税務対策」という、これらの対策はすべて被相続人となる人が、生きているうちに「しか」できないということを忘れてはいけません。

という、これらの対策はすべて被相続人となる人が、生きているうちに「しか」できないということを忘れてはいけません。

お金がポケットに入る3つのルート

土地を「資産」たらしめるためには、土地がお金をポケットに入れてくれるようにする必要がありますが、そのルートには3つあります。

  1. 1.売る=キャピタルゲイン
  2. 2.借りる=ファイナンス
  3. 3.貸す=インカムゲイン

「売る」

例えば、「老後の生活費を確保したい」というニーズを満たしたい場合に、「売る」という選択肢を取ると、どのようになるかを検証してみましょう。
高齢夫婦ふたり世帯の生活費は「ローンなしの持家」という前提条件において月額約25万弱といわれています(平成21年家計調査年報より)。同様に、ゆとりある老後の生活費は約38万円です。(生命保険文化センター「生活保障に関する調査2004年」より)1億3,680万円の現金があれば、60歳から90歳までの30年間、ゆとりを持って生活できるということになります。
このうち、標準的な会社員であれば6,900万円程度の年金受給(夫婦合計23万円を25年間受給した場合)が見込めますので、差額の6,780万円(月額18万8,000円)をどうにかする必要があるわけです。
FP的な提案であれば「老後に備えてコツコツ貯めましょう」という結論にもなりますが、平均的な会社員の生涯年収から算出した月平均の実質可処分所得23万円の中から14万円(退職金として3,000万円もらえるのであれば、8万円)を貯蓄に充てるというおよそ実現性の低いライフプランになります。
土地を売るのであれば、不足の6,780万円を売却で得るために8,800万円で売れる土地があれば十分(譲渡税20%・取得原価5%計算・売却経費4%と仮定)ということになります。
つまり、未利用地があれば売却も土地活用のひとつとして検討に値するということになります。

「借りる」

不動産を担保にして、お金を借りるという選択肢もあります。
先ほどと同様に、ゆとりある生活費の不足分相当額18万8,000円/月を、金利2%30年契約のリバースモーゲージで調達するとすれば、5,100万円の借入が必要となり、融資額が物件評価の6割として、8,800万円の土地があれば解決します。くしくも売却の場合と同じ数字になりました。

「貸す」

最後に「貸す」という選択肢があります。
前記のような8,800万円で売れる土地があった場合、定期的な収入を得るために、そこに何かを建てたりすることで、多岐にわたる選択肢が生まれることになります。
詳しくは後述しますが、求める収入(生活費の不足18万8,000円/月)に対していくらになるかという試算をしましたのでご紹介します。

  1. 選択肢1:底地として地代をもらう:10万6,000円/月
  2. 選択肢2:駐車場として貸す:5万7,000円/月
  3. 選択肢3:コンビニ敷地として貸す:61万7,000円/月
  4. 選択肢4:賃貸住宅・賃貸マンションを建てて貸す:50万8,000円/月

商業適地であればコンビニなどに、住宅適地であれば賃貸住宅・賃貸マンションにというのがいいかもしれません。

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大和ハウス工業の土地活用ラボアナリストのご紹介

猪俣 淳(いのまた きよし)

株式会社アセットビルド代表取締役

不動産・建築分野の最前線で30年以上の実務経験。不動産・建築・投資・金融・管理・保険・相続の各分野における26の資格を持ち、みずからも収益物件の購入・運営・資本改善・売却を行う実践不動産投資家。

著書に「不動産投資の正体」、「誰も書かなかった不動産投資の出口戦略・組合せ戦略」(住宅新報社)など多数。

新聞・雑誌への執筆・取材(ビジネス専門誌・一般週刊誌・海外も含む業界誌)、年間70件を超える全国での講演活動、ラジオ・TVなどへの出演もある。また、CCIM-JAPAN(全米商業用不動産投資顧問協会日本支部)、IREM-JAPAN(全米不動産管理協会日本支部)の理事を兼任し、CPM®(認定不動産経営管理士)公式コースのファカルティ(講師)としてプロフェッショナル向けに教鞭をとる。

ブログ「不動産にまつわる100の話プラス」

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