
最新の国民生活基礎調査から見る、世帯の動向と住宅需要
公開日:2025/08/29
2025年7月4日に令和6年(2024年)の国民生活基礎調査が厚生労働省から公表されました。調査開始(1986年)以来、世帯数は最高となった一方で、世帯構成人員の平均は過去最低となり、我が国は少人数世帯が増えている状況が伺えます。
ここでは、最新の国民生活基礎調査の中から、世帯数と世帯構成員、そして所得の動向について解説します。(本文中のデータはすべて厚生労働省の「国民生活基礎調査」より)
国民生活基礎調査とは
厚生労働省が行う国民生活基礎調査は、保健、医療、福祉、年金、所得等国民生活の基礎的事項を調査するもので、政策立案に使われます。国勢調査や住宅土地統計調査と同じく、国が定める基幹統計のひとつです。
国民生活基礎調査は1986(昭和61)年を初年として、3年ごとに大規模な調査が実施され、その間の年は簡易な調査(項目を絞った)が実施されますが、ここでとりあげる2024(令和6)年は中間年ですので、世帯の基本的事項と所得について調査が行われました。
調査実施日は世帯については2024年6月6日、所得(2023年分所得)については2024年7月11日に行われています。
総務省が5年に1度行う国勢調査、毎年行う住民基本台帳に基づく人口調査でも世帯数の状況は調査されますが、調査方法が異なるため、それぞれで若干のズレが生じることは留意してください。
世帯数と世帯構成の状況
2024年6月6日時点の我が国の世帯数は5482万5千世帯でした。世帯構成別にみれば、最も多いのは単独世帯で1899万5千世帯、全世帯の34.6%。次いで夫婦のみの世帯で1354万4千世帯、24.7%。次に夫婦と未婚の子ども世帯が1321万8千世帯で24.1%となっています。
長く夫婦と未婚の子ども世帯が最も多かったのですが、令和元年(2019年)以降は単独世帯が最も多くなっています。ちなみに、ここ10年くらいを見れば、ひとり親と未婚の子ども世帯は、実数は微増傾向にあるものの全体の7%前後で推移しています。
こうしたことから、1世帯当たりの平均世帯人数は低下が続き、2.20人となっています。
65歳以上の高齢者世帯の状況
65歳以上の高齢者がいる世帯は2760万4千世帯、全体の50.3%と半数を超えています。このうち、903万1千世帯は単独世帯となっており、これは高齢者世帯(65歳以上の者のみで構成される世帯)の52.5%となります。高齢者単独世帯は、2010年に初めて500万世帯を超え、ここ15年で約1.8倍と急増しています。その要因としては死別によるものが多いと考えられますが、加えて生涯未婚率が上昇していることも大きな要因と思われます。
未婚の方の多くは賃貸住宅に住む傾向にあることから、高齢者単独世帯の中でも未婚者が増加していることは、賃貸住宅需要の押し上げにつながるものと思われます。
児童のいる世帯と共働き世帯
児童(18歳未満の子ども)がいる世帯は全世帯の16.6%しかなく、逆にいえば全世帯の85%近くは児童のいない世帯となっています。少子化、高齢化が急速に進んでいる状況がわかります。
児童のいる世帯のうち、母が仕事をしている世帯の割合は80.9%となっており、20年前の2004年の時点では56.7%でしたので、近年急速に出産後も働く女性(母親)が増えたことがわかります。いわゆる専業主婦の割合が急速に減っているということになります。
また、児童のいる世帯の平均児童数(つまり子どもの数の平均)は1.68人で、近年、「子どもの数は2人弱」という水準が続いています。冒頭に述べた別の人口・世帯調査でも1.7前後の数字が多く、2025年の特殊合計出生率は1.15となっていますが、これは15~49歳の女性の平均であり、世帯を持つ夫婦の間に生まれる子どもの数は2人弱という状況が続いています。つまり、少子化傾向は、未婚化傾向によるものということがいえそうです。
所得の状況
本調査による所得は2023年の1年間の所得のこととなりますが、全世帯の平均所得は536万円となっています。この金額は、過去10年を振り返ってもそれほど大きな変化はなくおおむね530~560万円の間で推移しています。また、所得の中央値は410万円となっており、400万円未満の所得の世帯の割合が多いことがわかります。
児童のいる世帯だけでは、820.5万円と平均と比べて高くなります。世帯年収の高い世帯に子どもがいるという見方もできますが、また先に述べたように母親になっても、社会復帰する女性(母親)が増えたことも大きな要因でしょう。それを裏付けるように、10年前の2014年の児童のいる世帯の所得の平均は712.9万円で、この10年で100万円以上増えています。
今後の傾向
一般的に住宅には世帯単位で住みますので、世帯の動向は住宅需要を決める大きな要因となります。今後の我が国は、人口減少傾向に拍車がかかりますが、世帯数はまだ増える見通しです。世帯類型のうち、単独世帯は大きく増え、さらに言えば高齢者単独世帯が大きく増える傾向にあります。