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[第16回ダイワハウス コンペティション]審査委員より

「触(ふ)れて触(ふ)れられる家」

今こそ改めて、他者との深い関わり合いをもつ家を考える。これが今回のテーマです。

「触れる」という言葉は、直接相手に触るという意味を超えて、自分の気持ちを相手に伝えて労りや親愛の情を示すことを内包します。また「触れられる」という言葉には、誰かが自分に気持ちを伝えて繋がる状態になるために、触れてもらえる自分になることを示します。そしてふたつが連続した「触れて触れられる」という状態を住まいで体現すると、どんな家になるでしょうか。それは、自分の歓びだけのために家を考えるのではなく、他者の歓びを自分の歓びにする家といえるでしょう。そして、触れてもらいたいと思われるように、自らが既成概念を取っ払い変わることや、自分とそれ以外の境界が溶け合うように関係性を再構築することにも繋がるはずです。

現在、世界中で新型コロナウイルス感染症の影響が未だ続き、他者との接触が禁じられ、直接対話したり、抱き合い歓びや悲しみを分かち合う機会が極端に減りました。便利なツールが普及したことで、直接会わなくても交流をもてるようになりましたが、効率が優先されると、五感でものを理解したり相手の気持ちを慮ることを忘れてしまいます。そのことを改めて問い、自分と他者との相互の関係性を考えることで、現在の社会や都市の中で家はどうあるべきか、この先の希望を見い出せる家を考えてください。

敷地は架空でもリアルでも自由です。戸建て1棟や、戸建ての集合、併用住宅、リノベーションなど、形式やプログラムは問いませんが、ひとつの家として必要な空間を提案してください。

「触れて触れ合える」という状態をどうとらえたかを定義して、多様な時代のこれからにふさわしい家の提案を期待します。

触れて触れられる家

座談会:「触れて触れられる家」を考える

「触れて触れられる家」を考える

  • ・今、住宅に求めること
  • ・空間に働きかけ、読み替える
  • ・他者を意識し五感で家を考える
  • ・触れて触れられる家
  • ・応募者に期待すること

座談会<PDF:1.17MB>

座談会風景。左から、南川氏、小堀氏、堀部氏、青木氏、平田氏。新型コロナウイルス感染症予防対策を十分に行ったうえで実施した。

審査委員プロフィール

審査委員長青木 淳 (あおき じゅん)

建築家 AS
東京藝術大学教授

「触れる」と「触る」がどのように異なっているのかを自分の体験をもとに考えてください。同じ道具を使う行為でも「触る」道具と「触れる」道具ではその意味することが異なります。たとえばのこぎりを使う時、自分の手の延長と意識しているのこぎりは「触れる」ですが、自分とは異なるいわゆる道具の機能だけとすれば「触る」です。「触れる」と「触る」は、自分が他者と、どのような境界で接しているかということに関わると思います。そこを考えた家の提案を期待します。

  • 1956年 神奈川県生まれ
  • 1980年 東京大学工学部建築学科卒業
  • 1982年 同大学大学院修士課程修了
  • 1983~90年 磯崎新アトリエ
  • 1991年 青木淳建築計画事務所設立
  • 2016年 東京藝術大学客員教授
  • 2019年~ 東京藝術大学教授

審査委員堀部 安嗣 (ほりべ やすし)

建築家 堀部安嗣建築設計事務所
京都芸術大学大学院教授

自身の五感と他者の五感を感じざるを得ない言葉が見つかったと思います。それを踏まえてかたちをつくってもらいたい。オンラインやテレワークのよさもありますが、物理的に「触れて触れられる」ことも大事です。その両立を考えてもらいたいと思います。

  • 1967年 神奈川県生まれ
  • 1990年 筑波大学芸術専門学群環境デザインコース卒業
  • 1991~94年 益子アトリエ
  • 1994年 堀部安嗣建築設計事務所設立
  • 2007年~ 京都造形芸術大学(現京都芸術大学)大学院教授

審査委員平田 晃久 (ひらた あきひさ)

建築家 平田晃久建築設計事務所
京都大学教授

目に見えなくても、さまざまなかたちで「触れて触れられる」ことがあります。人間同士の「触れて触れられる」の関係を超えて、「触れる」という言葉がもっている、もう少し大きな意味を考えてください。多様な案が出てくることを期待します。

  • 1971年 大阪府生まれ
  • 1994年 京都大学工学部建築学科卒業
  • 1997年 同大学大学院工学研究科修了
  • 1997年 伊東豊雄建築設計事務所
  • 2005年 平田晃久建築設計事務所設立
  • 2015年 京都大学准教授
  • 2018年~ 京都大学教授

審査委員小堀 哲夫 (こぼり てつお)

建築家 小堀哲夫建築設計事務所
法政大学教授 梅光学院大学客員教授

コロナによって、手摺りに掴まったり、握手することを躊躇うほど「触る」ことが避けられています。こうした状況下では、「触れる」という言葉がもつ意味を考えさせられますね。「触れて触れられる」は、何かが共鳴していることを感じられて面白い言葉だと思います。魅力的な提案を期待します。

  • 1971年 岐阜県生まれ
  • 1997年 法政大学大学院工学研究科修士課程修了
  • 1997年 株式会社久米設計
  • 2008年 株式会社小堀哲夫建築設計事務所設立
  • 2014年 法政大学デザイン工学部建築学科兼任講師
  • 2018年 名古屋工業大学非常勤講師
  • 2020年〜 法政大学デザイン工学部建築学科教授、梅光学院大学客員教授

審査委員南川 陽信 (みながわ ようしん)

大和ハウス工業 上席執行役員

「触れて触れられる」には、テーマ会議の中で出てきた関わりや高め合うという意味が含まれています。コロナの状況にも繋がるテーマになったと思います。応募者の方がたにはその意図を汲んでもらい、人との関わりを高め合うことを表現してもらいたいと思います。

  • 1956年 和歌山県生まれ
  • 1974年 和歌山県立和歌山工業高等学校工芸科卒業
  • 1986年 大和ハウス工業入社
  • 現在、大和ハウス工業 上席執行役員 建築系設計推進部長

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本社技術統括本部技術部技術グループ(東京駐在)
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TEL:03-6205-4382

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第16回ダイワハウス コンペティション