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コラム No.71-6

CREコラム・トレンド

「平成30年度特例事業承継税制」シリーズ(6)事業承継計画の策定のステップ

公開日:2019/06/28

事業承継を円滑に進め成功に導くためには、5つのステップに従って事業承継計画書(売上高・経常利益・借入金残高・必要資金・企業防衛制度等、資本政策等)を策定・実施します。その際、特例事業承継以外のさまざまな自社株承継手法や、現経営者・後継者の今後についての検討も必要です。

事業承継計画策定の5つのステップ

(1)経営者の気付きと動機付け

過去の延長で経営を考えていては、いつまで経っても事業承継の重要性に気付きません。戦略的思考を持って経営計画を策定し、これから先の経営のあり方を考えれば自ずと事業承継の場面がイメージできるはずです。
周りから言われると反発してしまうということもよくありますので、自ら気付き、動機付けができるように、早期に事業承継について真剣に考えることをお勧めします。

(2)現状分析

承継に当たっては会社の現状を分析することが大切です。まずは「己を知る」ということです。経営者が当然のように知っていることでも、後継者にとってはそうでないこともあります。特に借り入れなど会社の負の部分はなかなか伝わっていないものです。しっかり現状分析を行い、後継者に会社の全体像を伝えましょう。

(3)方向性の決定

現状分析の結果、後継者にふさわしい者が従業員や外部の者であり、親族外承継を行うこともあり得ます。また、後継者がどうしても見つからない場合には、企業価値が高いうちに売却するということも選択肢の一つです。

(4)事業系計画の策定・スケジュール化

承継に向けて、必要な項目毎に「いつ」「誰が」「何を」行うのかを決定し、スケジュール化します。ここでは目的・手段を整理してまとめる必要があります。承継は取り扱う分野が多岐にわたります。何のために行っている作業なのかをしっかり理解していないと「木を見て森を見ず」になり、手法に振り回されることになりかねません。

(5)計画の実施・見直し

事業承継経過が策定できたら、あとはスケジュール通りに実施するだけです。当初前提としていた経営環境に変化が生じるなど、想定外のことも起こり得ます。そのようなときは計画を見直し、その変化に対応する必要があります。

事業承継計画基本方針書の作成

(1)売上高・経常利益・借入金残高・必要資金・企業防衛制度等

売上高・経常利益・借入金残高・必要資金・企業防衛制度は、現状分析に基づいて方向性を決定し、長期経営計画を策定したうえで、策定した財務・損益計画を基に記入します。
ここでは何といっても現経営者と後継者および経営幹部がSWOT分析(経営戦略や計画の機会や脅威について現状分析を行うためのフレームワーク)、PPM分析(自社の製品・サービスや事業を市場の成長率、占有率という視点で4つのポジションに分類するフレームワーク)などを用いて会社の現状を分析し、将来成功できると考えられる分野に経営資源を集中する方針決定が重要です。

(2)資本政策等

株主が分散している場合にはそのままとするのか、オーナーが買い取るのか、金庫株とするのか、関連会社が買い取るのかを、それぞれのメリット・デメリットや買取資金の現状などを考慮し検討します。
例えば、60歳の現経営者が分散している株を買い取って後継者(長男)に特例事業承継税制の適用を受けさせる場合、「事業承継基本方針書」が必要になります。実際にはそれぞれの事情によって結論は異なります。
その前提には、自社株式の相続税評価額・法人買取時の時価などの算定、オーナーの個人所有資産の相続税評価額の概算を算定し、相続税額の概算見積もり等を行うことが必要です。また、次代の収益源への投資のための資金調達に関する資本政策についても検討します。

(3)特例事業承継以外のさまざまな自社株承継手法を検討

自社株式を承継する方法として一番優れているのは、暦年課税の適用を受けることです。しかし、自社株式の評価額が高い場合、通常は非常に低い効果しか見込めません。そこで特例事業承継の適用となるのですが、その前に次のような手法を適用できないか検討することが必要です。

  • ・本業の資金繰りに悪影響がない範囲での可能な限り評価引き下げの検討
  • ・評価の低い資産保有会社を親会社とする、本業である事業会社の株式交換による関連会社の子会社化
  • ・関連会社がある場合における、本業である事業会社を親会社とする株式交換による関連会社の子会社化
  • ・分社型分割または分割型分割による評価引き下げの可能性の検討(後継者が複数いる場合には重要)
  • ・その他会社の現状に応じたさまざまな検討

(4)現経営者

現経営者は代表権返上・株式贈与・取締役退任の時期を決断しなければなりません。これに沿って後継者への職務権限の委譲時期を決めます。もちろん、実際に行っていく過程で調整が必要になります。
相続人が複数で、自社株式の評価額が全財産に占める割合が高いときには、自社株式の贈与が完了した場合であっても、先代経営者の死亡後に遺留分の減殺請求が問題になることも考えられます。この場合、事前に経営承継円滑化法による民法特例の適用についても検討が必要です。もちろん、リタイア後の余裕資金の確保や余生のプランもしっかり検討しておく必要があります。

(5)後継者

後継者は、会社での現場を含む必要な経験を経て経営者として必要な実力をつけるための計画を立てます。経営革新等支援機関のような、外部での経営革新塾などへの参加を含め、経営者としての能力向上計画をまとめます。

以下、現経営者が分散している株を買いとって特例事業承継税制の適用を受ける場合の事業承継基本方針書(例)を掲載していいますので参考にしてください。

表1:事業承継基本方針書(PDF:1.02 MB)

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