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コラム vol.390-2
  • 賃貸住宅経営のポイント

多様化する人生100年時代のライフプランと賃貸住宅経営(2)モノの高齢化

公開日:2022/03/31

POINT!

・老朽化は空き家や所有者不明土地の問題と関連性が高く、法改正・新設によって対策が進められている

・老朽化の“絶対的”な基準をクリアするためには、建物をしっかりと作り、定期的な補修・保全をすることが大切

・老朽化の“相対的”な基準をクリアするためには、情報や知識を得て、信頼のおけるサポーターと付き合うことが大切

賃貸住宅経営を行う際に必要な長期的視点に立つと、現在いわれている高齢化は影響度が高く、「ヒト」から見た長寿化、住まいなど「モノ」から見た老朽化、その2つを主な原因とした家計「おカネ」から見た状況の悪化という3つの視点から対策を事前に考えておく必要があります。
今回は「モノ」の視点からみていきます。

「老朽化」とは?

「老朽化」とは、言葉の通り、「老」いて、「朽」ちること。つまり、「古くなり、役に立たなくなること」(デジタル大辞泉)をいいます。「古くなること」と「役に立たなくなること」という2つの条件が必要です。 モノが古くなってしまうことは避けられません。 ですから、いかに役立つ期間を延ばすか、つまり、いかに機能が陳腐化しないようにするかを考え、対応することが大切です。例えば、築年数が古い物件でも、機能さえ落ちなければ(使い勝手が悪くならなければ)、「ビンテージ」化し、かえって重宝される可能性もあります。 モノが役に立たないとき、“絶対的”な基準と“相対的”な基準が存在します。“絶対的”な基準とは、自他共に利用できなくなってしまうことです。例えば、技術革新などにより、携帯電話の電波の規格である3Gがなくなってしまうため、いわゆるガラケーが使えなくなるというようなことです。携帯電話自体が壊れて利用できなくなることもあるでしょう。このようなケースは耐用年数なども関係してきますが、予測が可能です。定期的に情報収集し、計画的に適正なタイミングで買換えや補修などを図る必要があります。 “相対的”な基準とは、「自分にとって」使い勝手が悪く、使えなくなることです。主観的な基準ですから、他の人が使えるケースもあるでしょう。例えば、今まで利用していたスマートフォンが、嗜好や流行の変化、また、個々人の経済状況など、個々人が重視する基準により役立たないと判断してしまう(されてしまう)ことです。ただ、他の方にはそうではなく、むしろ評価されることもあるでしょう。今後、多様性の社会に向かっていくわけですから、このような傾向は大きくなると思われます。世の中の動きなどを意識しながら、情報収集などに努めましょう。

実際の住宅やその周辺環境はどのような状況か

老朽化に関して賃貸住宅に限定したデータはありませんが、①住宅全般、②マンション、③社会インフラに関するデータがあるので、まずはそれらを見て、状況を認識しましょう。 国土交通省が公表している2018年(平成30年)時点の「建築年代別の住宅ストック総数」(図1)を見ると、住宅総数のうち、旧耐震下の1980年(昭和55年)以前に建てられた住宅は1,160万戸あり、全体の21.6%(1,160万戸/5,362万戸)になっています。

図1:建築年代別の住宅ストック総数

引用元:国土交通省

また、国土交通省が公表している「分譲マンションストック戸数」を見ると、2020年(令和2年)末時で675.3万戸あり、このうち築40年超のマンションは103.3万戸となり、マンションストック総数の約15%もあります。しかも令和12年末には約2.2倍の231.9万戸、令和22年末には約3.9倍の404.6万戸と増加する見込みです(次ページ図2)。

図2:築後30、40、50年超の分譲マンション数(令和2年末現在)

引用元:国土交通省

最後に住環境に影響の大きい、社会インフラ=社会資本ストックの状況です。高度成長期以降に整備された道路橋、トンネル、河川、下水道、港湾等の社会資本ストックは、国土交通省の予測(2018年3月現在)(次ページ図3)によると、今後20年で建設後50年以上経過する施設の割合が加速度的に高くなりそうです。

表1:建設後50年以上経過する社会資本の割合

建設後50年以上経過する社会資本の割合 2018年3月 2023年3月 2033年3月
道路橋:約73万橋(橋長2m以上の橋) 約25% 約39% 約63%
トンネル:約1万1千本 約20% 約27% 約42%
河川管理施設(水門等):約1万施設 約32% 約42% 約62%
下水道管きょ:総延長 約47万km 約4% 約8% 約21%
港湾岸壁:約5千施設(水深-4.5m以深) 約17% 約32% 約58%

引用元:国土交通省

現在はヒトの高齢化ほど大きな度合いではありませんが、今後、老朽化の度合いが大きくなるのは間違いないようです。

空き家や所有者不明土地の問題が代表例

実際に、空き家について建築時期別の割合を見てみると、「1970年以前」が46.4%と最も高く、次いで「1971~1980年」が24.0%などとなっており、旧耐震下の1980年以前に建てられた世帯所有空き家が全体の7割以上を占めているという事実があります。 また、その取得方法別に割合をみると、「相続・贈与」が52.2%と最も高く、全体の5割以上を占めています。

図3:世帯所有空き家の建築の時期 取得方法別空き家の割合 全国(2018年)

引用元:総務省統計局「平成30年住宅・土地統計調査(住宅の構造等に関する集計)の結果の概要」

つまり、空き家対策は、老朽化との関連性が高いといえます。実際、耐震性の改善と相続制度の是正との関連性も高いため、近年、耐震性や相続制度に関連した諸制度の改正が進められています。 所有者不明土地問題も、相続登記がされないこと等により発生するといわれ、2017年(平成29年)の国土交通省調査でも土地全体から見た割合は22%となっています。昨年2021年(令和3年)4月に所有者不明土地問題解消のため、民法など関連法が改正・新設され、来年2023年(令和5年)4月から徐々に施行されていきます。

図4:両法律の概要(民法・不動産登記法等一部改正法・相続土地国庫帰属法)

引用元:法務省 所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し

多様化する人生100年時代のライフプランと賃貸住宅経営

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