色やデザインの素敵な家具をインテリアに取り入れて楽しみたいけれど
金額が大きいだけに、もし失敗したら…と不安になった経験はありませんか。
日本はもちろん、海外にもさまざまな家具ブランドがありますし、
手頃なものから高級なものまで価格も幅広く、
どれを選ぶのが自分にとっての正解なのか、迷うのも当然かもしれません。
予算、空間の広さ、好み、メンテナンス性などを考慮しつつ
家族にぴったりの家具を選ぶには、
どんな点に気を付ければ良いのでしょうか。
今回はインテリアコーディネーターとして多くの実績を持つ小山珠香さんに
家具選びの基本や現在のトレンドについて教えていただきました。
Advice
株式会社デザインアーク インテリア事業部事業推進部
小山 珠香さん
家具の選び方〈ダイニング編〉ダイニングセットの選び方
ダイニングテーブルの大きさと形状
食事をするだけでなく、子どもの勉強やテレワーク、書き物など、さまざまな作業に使うのがダイニングテーブルです。家族が頻繁に使う家具なので、使いやすさには十分配慮して選びたいものです。
テーブルのサイズは、座る人数によって決まります。食事の内容にもよりますが、一般的に1人分のスペースは幅60~70cm×奥行30~50cm。したがって、4人掛けなら幅120~150cm×奥行80~100cm、6人掛けなら幅180~200cm×奥行80~100cmが目安です。また、チェアの形状によっても必要な幅は変わります。
4人掛け・6人掛けテーブルの大きさの目安
チェアのスペースや、テーブルまわりの動線も考慮しなければなりません。チェアを引いて座った状態では40cm以上、立ったり座ったりする動作には60cm以上のスペースが必要です。また、人が歩くために必要な幅は60cm以上なので、チェアの後ろを通路にする場合は合計100cm以上のスペースが必要ということになります。
テーブルまわりに必要なスペースの目安
ダイニングスペースが狭い場合は、テーブルを壁やキッチンカウンターに寄せて置くと省スペース化できます。円形テーブルは座る人数の自由さはありますが、長方形に比べるとより広いスペースが必要になる場合もあるので注意してください。
半円形のテーブルをキッチンカウンターにつけて設置し、4脚のチェアを組み合わせた例
ダイニングテーブルの脚に注目
天板はインテリアイメージに合わせてお好みで選んでOKですが、脚の形状とチェアとの関係は慎重に検討してください。
前述のテーブルサイズを目安に選んでも、4隅に脚のあるタイプではベンチは出入りがしにくく、アーム付きなど横幅が広いチェアを組み合わせると、脚に干渉して収まらない場合も。これに対して2本脚や中央に脚のあるテーブルなら脚が邪魔にならず、チェアを収めやすくなります。ただし、4本脚のテーブルよりも不安定になりがちで、天板の隅に重いものを置いたり体重をかけたりすると、ぐらつく危険性があります。きちんと構造計算をしてデザインしている、信頼のおける家具メーカーで購入することをお勧めします。
2本脚のテーブルなら、ソファやベンチに多人数が腰掛けても脚が邪魔になりにくい
写真提供/カリモク家具
チェアの脚が収まりやすい1本脚のテーブル
テーブルを有効に使いたいときは
来客時や将来的に家族が増えたときのためにと、伸長式ダイニングテーブル(エクステンションテーブル)を選ぶ方も多くいらっしゃいます。ただ、伸長が面倒でほとんど伸ばさず使っているという声も…。伸長式ダイニングテーブルを選ぶ際は、手軽に伸長できるか吟味してください。最初から少し大きめのテーブルを選択するのも良いでしょう。
テレワーク用のデスクや勉強机、趣味の作業スペースなどとしてテーブルを使う機会が増えています。そんな中、ものが出しっぱなしでテーブルを広く使えないというお悩みをお持ちの方も多いでしょう。そうした問題には、可動式のワゴンがおすすめです。使いたいものが使いたい時に、使いたい場所ですぐに取り出せ、作業が終わればすぐに収納できるので、ものがテーブルに出しっぱなしになるのを防げます。また、空間がおしゃれになる、デザイン性のあるワゴンも多く販売されています。
豊富なカラーから選べるMAGIS 360度コンテナ
写真提供/Magis Japan
家具の選び方〈寝室編〉ベッド・マットレスの選び方
長時間体をあずける家具だから
ベットは1日のうち最も長く体をあずけ、顔の近くで接することになる家具です。健康という観点からも、ベッドやマットレスは慎重に選びましょう。ベッドフレームやマットレスの材料に、もしも有害物質が使われていれば、睡眠中の呼吸で吸い込んでしまうことになります。
シックハウス症候群の原因物質の一つであるホルムアルデヒドは、家具に使われている接着剤や塗料などからも少しずつ放散されます。このホルムアルデヒドが多量に放散した室内で長時間過ごすと、目や気道に刺激を感じ、ひどい時には呼吸困難などを引き起こす可能性もあります。
ベッドを選ぶ際は、ホルムアルデヒドの放散量が限りなくゼロに近い製品に付けられる「F☆☆☆☆(Fフォースター)」マークを確認してください。
また、中身の素材や構造がきちんと品質保証されているマットレスや、ベッドフレームを選ぶには、全日本ベッド工業会の「衛生マットレス」「フレーム環境基準」マークが目安の一つになります。
全日本ベッド工業会「衛生マットレス」・「フレーム環境基準」マーク
厳しい環境基準にクリアしたマットレスやベッドフレームに付けられるマークです
マットレスには寿命がある
「長く使えるかどうか」が家具選びの基準になりつつある昨今ですが、マットレスには寿命があることを覚えておいてください。素材によりますが、一般的には約10年が目安といわれています。同じ箇所に体重がかかり続けると、どうしてもその部分がへたりやすくなり体への負担になります。寿命がきたら思い切って買い替えをしましょう。
ローテーションが可能なマットレスの場合は、シーズンごと~約半年を目安に、前後・裏表を入れ替えることでへたりを分散でき、長持ちさせられます。
※睡眠中適度に寝返りをうつことで体の成長を促すといわれています。成長中の子どもは寝返りを補助する少し硬めのマットレスがおすすめです。買い替えのタイミングでマットレスの硬さを変えると、より良い睡眠時間が得られるでしょう。
家具のショールームに行く前に
「空間に対して家具のサイズが大きすぎた」「搬入経路を確保できず、吊り上げて搬入したため余計な費用がかかった」といった失敗はよく起こりがちです。こうした失敗を防ぐため、ショールーム見学の当日は、住まいの間取り図を持参することをお勧めします。また、必ずご自宅の搬入経路を確認しておきましょう。新築の際は、住まいの設計士やインテリアコーディネーターに相談して選べば、より安心です。