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生活を考える

ペットの終生飼育に必要なもの
―飼い主の愛と心がまえを知る【前編:ペットを迎えるまで】

ペットは、私たちに喜びや安らぎをもたらしてくれる存在です。
自宅で過ごす時間が増え、癒やしを求めて犬や猫を飼いたいと考えている人もいるでしょう。
しかし、安易な考えで飼い始めてしまっては、ペットも飼い主も不幸になりかねません。

飼い主の義務である「終生飼育」を踏まえて、
ペットを家族に迎え入れる前にどのような準備や心構えが必要なのか、
ペットケア用品の販売を行う株式会社ハートランドの方にお話を伺いました。

Profile

株式会社ハートランド 営業部 犬猫飼養アドバイザー

木村 智也さん

株式会社ハートランド 経営企画推進室 ゼネラルマネージャー

永田 将史さん(写真左)

株式会社ハートランド 経営企画推進室 チーフ

後藤 真也さん(写真右)

ペットを迎え入れる前に、家族で話し合うべきこととは?

昔は「家畜」だった動物が愛玩化され、今では「家族の一員」と考えられることが多い犬や猫などのペット。家族が増えると、面倒なことや背負わなければいけないリスクも増えるのは当たり前のことです。「思っていたのと違った」という事態になるのを避けるために、ペットとの生活がどのようなものか、飼い主が負うべき責任とは何か、事前にしっかりと家族間で話し合いを行うことが大切です。最後まで飼いきること=「終生飼育」を大前提として、飼う前にもう一度考えてほしいポイントをご紹介します。

室内飼いで大変なこと

出典:大和ハウス工業株式会社「犬と猫とテレワークに関するアンケート」/調査対象:大和ハウス工業従業員/有効回答数:1,479名(うち、犬または猫飼育者数:1,023名)/調査時期:2021年2月8日~2月12日

家族で話し合いたい6つのポイント

1. 家族全員がペットを飼うことに賛成していますか?

誰か一人でも反対している人がいると、一緒に生活を送る上で不都合が生じるかもしれません。家族全員がペットを飼うことに前向きで、世話をすることに協力的かどうかを確認しましょう。

2. ペットのために手間と時間をかけることはできますか?

毎日のごはんやトイレの始末、しつけ、グルーミング、遊び、散歩など、飼い主がしなければならないことはたくさんあります。毎日ペットのために時間を割き、十数年間世話をし続けることが可能か考えましょう。

3. 家族の中に動物アレルギーを持っている人はいませんか?

ペットを飼い始めてからアレルギーを持っていることが分かるケースも少なくありません。簡単に検査ができる医療機関もあるので、心配な方は事前に調べておくといいでしょう。「アレルギー体質だがどうしても飼いたい」という場合は、こまめに掃除やブラッシングを行うことで、アレルギー症状の軽減が期待できます。

4. ペットを飼える住居ですか?

マンションや賃貸住宅は、そもそもペットの飼育が禁止されていたり、ペット飼育OKの物件でも「1世帯あたり○頭まで」というように頭数制限が設けられていたりすることが多いです。あらかじめ規約を確認しておきましょう。

5. 生涯でどれくらいの費用がかかるか知っていますか?

初期費用はもちろん、フード・ペットシーツといった消耗品や医療費など、継続的にお金がかかります。体の大きさや寿命によって異なりますが、犬の場合は年間で約35万円、猫の場合は年間で約17万円が必要になります。特に、けがや病気をした時、治療や手術にかかる費用は基本的には飼い主の全額負担となるため、医療費は出費がかさむ項目といえるでしょう。不測の事態に備えて、ペット保険への加入を検討するのも一つです。

※出典:アニコム損害保険株式会社【2021最新版】ペットにかける年間支出調査

6. 万が一、飼い続けることができなくなった時はどうしますか?

もしペットを飼い続けることが難しくなったとしても、保健所などで引き取ってもらうことはできません。ただ、飼い主の高齢化や家庭環境の変化でどうしても手放さざるを得なくなった場合のことを考えて、友人や親せきなど、引き取り先を決めておくことも重要です。

わが家に合った犬種・猫種の選び方

家族間で意思の確認ができたら、飼うペットの種類を検討しましょう。もちろん、一頭一頭で特性や性格は異なりますが、住まいの環境や家族のライフスタイルに合わせて犬種・猫種を選ぶことも、長く一緒に生活を送る上では重要です。

犬種・猫種を選ぶ時はここに注目!

1. 鳴き声

マンション・戸建てにかかわらず、ペットの鳴き声が近所迷惑にならないか気になる方は多いはず。ミニチュアダックスフンド、ウェルシュコーギー、チワワ、ビーグルなどは、比較的鳴き声が大きい犬種です。無駄吠えをさせないようトレーニングすることも大切です。

2. 毛質

長毛・短毛にかかわらず、ブラッシングや抜け毛の掃除は欠かせません。ただ、被毛の構造の違いによってお手入れの仕方やかかる手間が異なるため、飼いたい犬種・猫種がどのような毛質なのか調べておくといいでしょう。

  • シングルコート…「主毛」という太くて硬い被毛が皮膚を保護している。換毛期はなく、1年を通して徐々に生え変わる。被毛が抜けずに伸び続けるプードルなどの犬種は、定期的なトリミングが必要
  • ダブルコート…主毛としなやかな被毛(アンダーコート)の二重構造になっている。年に2回ほどある換毛期では、アンダーコートが大量に抜け落ちる

3. サイズ感

「小さくてかわいい」と思って飼い始めたら予想以上に大きくなって住環境に合わない、ということにならないよう、成犬・成猫になった時の大きさや体重をあらかじめ把握しておくことが大切です。雑種は成長後のサイズが予想しづらいため、迎える場合はゆとりのある居住スペースを確保する必要があります。

4. 運動量

1日に必要とされる運動量は犬種・猫種によって異なります。犬の場合は朝晩の散歩が欠かせず、小型犬でも1回30分程度、大型犬だと1時間以上は一緒に歩いてあげるのがベター。特に、ジャックラッセルテリア、ウェルシュコーギー、ボーダー・コリーは必要な運動量が多いため、たっぷりと時間がとれない方にはおすすめできません。猫は室内飼育が基本なので、家の中で運動ができるような工夫が必要です。1日10分~20分程度、おもちゃなどで遊びながら体を動かす機会を設けましょう。

愛犬・愛猫のための住まいづくりのアイデア


● 思う存分遊べる ドッグラン

庭にドッグランを設ければ、たっぷり遊んで運動不足を解消できます。散歩の途中で疲れてしまうシニア犬も、ドッグランなら自分のペースで運動できるので、良いストレス発散になるでしょう。

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● やっぱり高いところが落ちつく キャットウォーク

躯体の梁を利用して、高いところから眺めるのが好きな猫のための専用通路を作れます。キャットウォークを通って、1階と2階を行き来できます。足場を透明の素材にすると、愛猫のキュートな肉球を観察できます。

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5. 原産国の気候

日本の厳しい暑さ・寒さを苦手とする犬や猫は多く、基本的には原産国の気候が過ごしやすいといわれています。お住まいの環境に合わせて対策ができるかどうか、事前に検討しましょう。

  • 暑さに弱い犬種…シベリアンハスキー、セントバーナード、バーニーズマウンテンドッグ、フレンチブルドッグなど
  • 暑さに弱い猫種…メインクーン、ヒマラヤン、スコティッシュフォールドなど
  • 寒さに弱い犬種…チワワ、イタリアングレーハウンド、ミニチュアピンシャーなど
  • 寒さに弱い猫種…マンチカン、アメリカンショートヘアなど

愛犬・愛猫のための住まいづくりのアイデア


ダイワハウスが提案する「あんしん空気の家」では、各部屋の空調コントロールが可能。ペットも人も快適に過ごせる室温をキープできます。

あんしん空気の家 Clean-Air Design

多頭飼いをする時は…

2頭目のペットを迎える場合は、すでに飼っているペットとの相性が重要。相性が合わないとお互いにストレスを抱えてしまうので、飼っているペットが多頭飼いに向いているか、性格を見極めて判断しましょう。もし2頭目を迎えてから相性が悪いことが判明した時には、生活空間を分けられるように環境を整えてあげるといいでしょう。

ペットはどこから入手するのがいい?
迎えるために必要な準備とは?

ペットを迎える方法にもいくつか選択肢があります。
最も一般的なのがペットショップで購入する方法です。自分に合う犬種・猫種が分からなかったり迷いがあったりする場合は、ペットショップをいくつか回って、お店の人に直接相談するのもいいでしょう。さまざまな犬種・猫種に触れてきたプロの目線から、選び方のポイントや飼い方のコツをしっかり説明してもらえます。ペットを飼い始めてからもフォローアップを受けたり、ペット用品をまとめて購入することもできるので、初心者の方におすすめです。

続いて、ブリーダーから直接購入する方法。特定の犬種・猫種に精通しており、飼育方法やしつけに関する的確なアドバイスがもらえます。犬舎を訪れ、育った環境や両親・兄弟姉妹を見てから購入を決められるのもメリットといえます。

そして、譲渡会で譲り受けるという方法も考えられます。譲渡会とは、動物保護団体などが保護した犬や猫と、新しい飼い主の出会いの場です。人と暮らしていた経験があり、すでにトイレのしつけができている犬や猫もいます。種類も年齢も性格もさまざまなので、自分のライフスタイルに合う犬・猫をじっくり探したい方に向いています。ただ、中には人に慣れていない犬・猫もいるので、譲り受ける際は慎重に相性を見極める必要があります。

ペットを迎えるまでにそろえておきたい!ペット用品チェックリスト

ペットを迎えることが決まったら、当日までに必要最低限のペット用品を買いそろえておきましょう。

  • 首輪
  • リード
  • 食器(フード用/給水用)
  • 給水器
  • フード
    最初はブリーダーのもとやペットショップで食べていたフードと同じものを与え、徐々に切り替えていきましょう。
  • トイレ
  • ペットシーツ
  • おもちゃ
  • ペット用シャンプー
  • ブラシ・コーム
  • 爪切り
  • サークル
  • キャリーバッグ

愛犬・愛猫のための住まいづくりのアイデア


● 掃除がしやすい トイレスペース

トイレスペースは、人の動線と交わらない場所に設けるのがベター。マグネットボードの壁面であればトイレシートを固定でき、愛犬が足を上げて用を足しても壁が汚れません。

● 食べこぼしもOK 食事スペース&収納

犬は食事の際、ごはんや水をこぼしてしまいがち。周囲が汚れても掃除がしやすいように、食事スペースの床をタイル貼りにしておくといいでしょう。上部にペットフードなどがしまえる収納を設置すれば、毎日のごはんの準備も楽になります。

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● 家族で一緒にごはん 食事スペース&収納

ごはんを何度かに分けて食べることの多い猫の行動を見守るため、人の目が届くダイニングの一角に食事スペースを設けてみてはいかがでしょう。傍らにはペットフードなどがしまえる収納を設置。猫が入り込まないよう、扉を付けるのを忘れずに。

● お気に入りのスポット 爪とぎ場

猫が好む硬くて安定した爪とぎ専用場所を用意してあげましょう。気に入ると同じ場所で爪とぎを繰り返すため、壁紙や家具での爪とぎを防ぐ効果も期待できます。

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後編では、ペットを迎えてからの日々の過ごし方や健康管理についてご紹介します。

取材協力

株式会社ハートランド

グループ企業「中野製薬株式会社」が開発・製造するペット専用商品ブランド「ZOIC」の販売元。「キレイ=美(健康・清潔・美容)」をキーワードに、ペットとの生活をより豊かにする事業を展開している。

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