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コラム No.14-3

トレンド・サプライチェーン

オムニチャネル化がサプライチェーンを変え、CRE戦略のポイントとなる

公開日:2016/12/22

CRE戦略を考えるうえで、昨今、重要なポイントとなっているのがサプライチェーンマネジメントの問題です。
そして、そのサプライチェーンに大きな影響を与えそうな動きが、今大きな話題となっている「オムニチャネル化」です。現在「オムニチャネル」が流通ではキーワードとなり、流通事業者、EC事業者を中心に積極的な取り組みが続いています。

消費者が商品を購入する際には、さまざまなプロセスやツール、媒体を(実店舗、PC サイト、スマートフォン、ソーシャルメディア、新聞・雑誌・TV、カタログ、DM 等)経て、購入・受取に至るわけですが、オムニチャネル化とは、消費者がこうしたどのような媒体やチャネルを経由してもスムースに情報のやり取り、商品の受け取りができるようにすることであり、そのための戦略、仕組みのことです。

オムニチャネルにおいて大切な点は、消費者が、商品の存在に気づき、関心を持ち、比較検討し、購入し商品を受け取るという、一連のプロセスがストレスなく、快適に利用されるかどうかです。

オムニチャネルの概念図

出典:電子商取引に関する市場調査(経済産業省 商務情報政策局)平成28年6月

このような消費者の利便性を追求した仕組みづくりは、ビッグデータの収集やICTの進化によって可能になりました。これまで収集できなかった様々なデータを集め分析することで、消費者にとって本当に利便性があり、ニーズに応えることができることは何かにフォーカスできるようになってきました。
消費者が購買までに至る一連のプロセスを「カスタマージャーニー」(商品に気づき購入に至るまでの思考、行動の動きを旅に例えたもの)とも呼びますが、商品やサービスと消費者の間にある、様々な接点(タッチポイント)において、どのように出会い、どのような体験、思考の変化があり、最終的にはどのようなきっかけによって、心理的、行動的な変化が起きて購入に至るのかを分析することで、消費者に向けたより良いサービスを考えるのは、非常に重要なことであり、その分析結果に基づいて、提供するチャネル戦略の再構築へと発展したのが、オムニチャネル化の動きです。
ものづくりからの視点ではなく、消費者の視点として考え組み立てることが重要であり、Eコマースの活用などは、そのひとつの戦略・戦術だといえるでしょう。

こうした動きは、特にEコマースとオムニチャネル化が重要な位置を占める小売業界においては、サプライチェーンマネジメントに大きな影響を与えます。サプライチェーンマネジメントの再構築は、今過渡期の状況にあるといってもいいでしょう。
なかでも重要なファンクションが、物流です。これまでのように入出荷、在庫管理を行うのみではなく、「カスタマージャーニー」の動きに合わせ、受注、入庫、出荷という物流の予測管理をタイムリーに行うことで、サプライチェーンの主役としての機能を持つ必要がでてきます。そうすることで、製造、物流の効率化、合理化に加えて、売上の予測、管理、効果的な商品の配置による、販売機会の獲得にもつながっていきます。

加えて、2020年の東京五輪の開催を控え、日本の知名度や評価も上がり、訪日外国人のさらなる増加が予測されていることも大きな要因でしょう。実際、2015年の訪日外国人、在留外国人は過去最高となっています。

物流機能において、オムニチャネル化の重要なファクターは、配送のスピードに加えて、受け取り方法の多様化です。
消費者としては、少しでも早く受け取りたいニーズもありますが、好きな時間に好きな場所で受け取ることができるというニーズもあります。実際に、受け取れる時間には自宅にいない、あるいは、自宅への配送を嫌うという理由で、自宅以外での受け取りを望む消費者は多く存在します。
現在、コンビニや郵便局、配送会社の営業所、駅のロッカーなど、受け取り方法は多様化しており、将来的にはさらに拡大すると予測されています。
当然、消費者の受け取り場所や時間が変化すれば、対応するサプライチェーンも変化します。消費者への利便性を高めるためには、受け取りの多様化を支える効率的な在庫管理、またそれぞれのステップでの時間短縮、欠品の防止など、精度とスピードへの追求は、これまでにないものとなるでしょう。
さらに、消費者のデータネットワークとサプライチェーンの連携を強化したり、ICTへの投資も必要となるでしょう。こうしたサプライチェーンへの投資は、消費者へのサービスクオリティに直結します。
スピードへの要求、受け取りの多様化への要求、これはますます大きくなる一方です。物流を起点としたサプライチェーンの再構築は、待ったなしの状況と言えるのではないでしょうか。

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