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コラム No.51-3

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投資主価値の最大化を実現させる (3)注目を集める物流施設特化型リート。変わる物流施設

公開日:2018/06/29

物流施設は、オフィスや商業施設、ホテルなどの建築施設と比較して、地味な印象を受けますが、現在の証券化市場において、物流特化型リートは非常に活性化しています。

証券化の対象となる不動産の取得実績(倉庫用途)の推移

出典:国土交通省「不動産証券化実態調査」

物流施設は安定した賃料収入が見極めるケースが多い

特に首都圏を中心に、物流施設の供給量が大幅に増加しており、需要も伸びています。中でも、賃貸型の割合が増加傾向にあり、不動産業者が開発の主体者となるケースや証券化を活用した資金調達方法などが増加しており、物流施設に対して投資としての注目が非常に高まっているといえます。
また、国土交通省の資料によれば、Jリートによる不動産の取得は三大都市圏だけではなく、2012年度以降、着実に地方都市における物件取得割合が増加しているようです。

こうした背景には、様々な要素が考えられますが、まず、オフィスやホテルが景気の変動などに対して賃料変動率が比較的高いのに比べ、物流施設は景気の影響を受けにくく、そして、テナントも比較的長期の契約を結ぶ傾向にありますので、安定した賃料収入が見極めるケースが多いことが挙げられます。
また、オフィスや住宅と比較すると開発期間も短く、コストも抑えられるケースが多く、維持管理費も比較的押さえやすいといわれています。さらに、償却年数もオフィスに比べると短く設定されるため、減価償却費が大きくなります。国税庁が定める減価償却資産の耐用年数(建物・建物附属設備)では、鉄筋コンクリート造のオフィスは50年、住宅は47年であるのに対し、物流施設は38年です。減価償却費が多く、修繕費が少ないということは、残る手元資金が増加しますので、「利益超過分配」が行われることもあります。

変わる物流施設の役割

ここ数十年において、物流施設の位置づけが大きく変化してきました。1990年以前は、基本的に物流施設とは保管型であり、倉庫運営会社が自ら物流施設を所有し、荷主から委託された荷物を保管し、必要に応じて出荷するのが主な機能でした。
90年代後半になると、サプライチェーンはアジアスケールへと拡大し、サプライチェーンそのものが大きく変わります。コストの削減や物流機能の再構築(ロジスティクス戦略として)というサプライチェーンの最適化ニーズが大きくなり、次第に物流施設は大型化、多機能化が進むことになります。高機能のマテハン機器や流通加工などの機能を持つようになり、物流のプロフェッショナルである、3PL事業者がビジネスを拡大し、所有と運用の形態が多様化しました。
そして1998年、「資産の流動化に関する法律」いわゆるSPC法が公布され、証券化の環境が整い、外資系を含む不動産会社など様々なプレーヤーが参画し、施設の所有者と運用者が異なる形態が一般化しました。物流施設もさらに大型化、多様化が進み、マルチテナント型の物流施設が増加しました。

インフラの充実も物流施設の拡大に影響

同時にインフラの整備も進みました。国土交通省は、2017年11月に、茨城県区間の境古河IC~つくば中央IC間が開通(2017年2月)し、大半が開通した圏央道の整備効果を発表しました。
同資料によれば、茨城県内の圏央道沿線で企業立地が活発化(この4年間で79件立地)し、茨城県は、4年連続で工場立地面積が全国1位となっているようです。圏央道沿線の五霞町では工業地の地価が上昇し、工業地の地価上昇率が全国1位(約18%)となりました。(圏央道沿線の通過自治体では約4%上昇)
また、物流施設においても、Eコマースの市場規模の拡大をサポートするように、高度な仕分け・荷捌き等の機能を有する大型マルチテナント型物流施設の立地が圏央道沿線で活性化しており、圏央道沿線の主な大型物流施設提供企業4社においては約4倍近くに増加(7件 → 27件)したとしています。(国土交通省 東日本高速道路株式会社 記者発表資料より)
また全国規模で見ても、「高規格幹線道路」は確実に増加しており、1993年と比較すると、約2倍の距離となっています。

高規格幹線道路の延長推移

出典:国土交通省資料より

さらに、2018年6月には、東京外かく環状道路(三郷南IC~高谷JCT)が開通しました。この開通によって4つの放射道路(東関東道・常磐道・東北道・関越道)が接続し、千葉の湾岸エリアから関東各地(埼玉・栃木・群馬等)に、都心を通ることなくアクセス可能になるなど、環状道路の効果が更に発現し、物流の生産性向上に大きな影響を与えそうです。
(国土交通省関東地方整備局 首都国道事務所 東日本高速道路(株)関東支社 記者発表資料より)

こうした背景を受け、物流の重要性はますます高まっています。今後、物流施設特化型リートは、さらに注目を集めると思われます。

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