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コラム vol.245
  • 不動産市況を読み解く

2018年6月レポート 賃貸住宅の建築数は今後どうなる? 消費税10%は、賃貸住宅の建築数にどう影響するか?

公開日:2018/06/29

POINT!

・消費税の引き上げにより、2018年末あたりから駆け込み需要が起こると予測

・賃貸住宅の建て替えは今後伸びると思われる

2019年10月から消費税が10%に

今年の秋以降、消費税増税による住宅などの高額商品において「駆け込み需要」が起こり始めると予想されています。
消費税が8%から10%になるのは、来年2019年10月からです。現在、「予定」となっていますが、今の政治的な流れからすれば、今回の再々延期はなさそうです。
長く消費税5%で慣れてきた日本国民からすると、消費税8%はかなり負担増と感じました。また、最近は外税表記が一般的ですので、値札やメニューなどでのイメージと比較してレジで精算する時の価格イメージが、「意外と高い」と思う方が増えているようです。これが10%になると、さらにこの感覚が大きくなるものと思います。

消費税10%に向けての駆け込み需要はどれくらい起こるのか

消費税増税に際して、今回も経過措置がとられることが決まっています。
賃貸住宅の建築には、請負契約を行ってから着工、そして完成、引き渡しまでに、おおむね半年以上かかります(建物規模や工法によってはこれよりも早く完成することもできます)。そのため、増税施行日(10月1日)の6カ月前の前日(2019年3月31日)までに請負契約が完了した建物については、仮に引き渡しが増税後であっても、増税前の税率が適用されます。これが「経過措置」です。

こうした流れから、2018年の11月、12月あたりから駆け込み需要が起こると思われます。駆け込み需要が少しずつ起こり始めたころに年末を迎えますので、2018年の貸家の着工戸数に多少プラスがあると思われます。

2014年4月に消費税が5%から8%になった時、2013年9月末日が経過措置の締め切り日でしたが、2013年の夏ごろから9月末には賃貸住宅請負契約においてかなりの駆け込み需要がありました。低金利や税制度の変更予定など、消費税増税以外の追い風もあって、2013年の貸家の着工戸数は前年対比+11.8%となり、1996年に前年比+12%がありましたが、それ以降昨年(2017年)までで最も高い伸びを示しました。(図1参照)

2018年の終わりから2019年の1月~3月に起こるであろう、賃貸住宅建築の駆け込み需要は、これよりもかなり少なく、おそらくプラス1万戸あるかどうかだと思います。
その理由として、5%→8%に増税になる際に、8%は10%に段階的に上げるための通過点であり、10%になることが決まっていたため、かなり多くの方が慌てて契約したということがありました。つまり10%への増税時における駆け込み需要を先取りした格好になったということです。

図1:貸家の住宅着工戸数の推移(全国)

国土交通省「建設着工統計調査報告」より作成

1991年からの賃貸住宅着工戸数の推移:2013年以降は賃貸住宅バブルなのか?

ここで、1991年以降の貸家(賃貸用住宅)の着工数の推移を見てみましょう。
図1は、1991年~2017年の賃貸住宅の着工数の推移(棒グラフ)と前年対比(折れ線グラフ)を示したものです。この26年間の賃貸住宅の着工数の平均は約46万戸でした。最も少ない年は、2011年の約28.5万戸、逆に最も多い年は1992年の約67.2万戸です。約40万戸の差があります。2011年はリーマンショックでの景気悪化から未だ回復できていない最中に東日本大震災が起こり、大きなマイナスとなりました。しかし、翌年2012年からは2017年まで6年連続のプラスとなっています。
図2は着工数が最も少なかった2011年の翌年2012年以降の着工数の推移です。貸家カテゴリーに注目してください。
12年、13年はプラス11%を超えた大幅増となりました。14年は消費税増税の反動減が各カテゴリーで起き、総計はマイナス10%近くになりましたが、貸家はプラス1.7%とプラスをキープしました。

図2:住宅着工戸数の推移(全国)

  2012 2013 2014 2015 2016 2017
総計 882,797 980,025 892,261 909,299 967,237 964,641
105.8% 111.0% 91.0% 101.9% 106.4% 99.7%
持家 311,589 354,772 285,270 283,366 292,287 284,283
102.0% 113.9% 80.4% 99.3% 103.1% 97.3%
貸家 318,521 356,263 362,191 378,718 418,543 419,397
111.4% 111.8% 101.7% 104.6% 110.5% 100.2%
分譲住宅 246,810 263,931 237,428 241,201 250,532 255,191
105.2% 106.9% 90.0% 101.6% 103.9% 101.9%

※上段:実数値(戸) 下段:前年対比

国土交通省「建設着工統計調査報告」より作成

2014年~15年は相続税制度の変更での追い風、その後マイナス金利政策が行われ、史上最低水準の金利となった2016年に再び二桁プラスになりました。
結果6年連続のプラスとなり、大都市だけでなく、地方都市でも賃貸住宅の着工数が増えました。こうした状況を受けて、一部メディアは「賃貸住宅バブル」と報じました。
しかし、図1を見れば明らかなように、平均からするとまだまだ少ないのが実情で、「バブル」には程遠い状況だといえます。

賃貸住宅は建て替え期を迎える

現在の賃貸住宅建築市況は、ここ6年間のプラスの勢いはなくなっています。
地方都市においては、相続税制度変更により、賃貸住宅経営を始める方(あるいは、建て増しをした方)が増えましたが、それらの需要が一服したこと、また大都市部では、賃貸住宅適地の減少により、購入希望者は減っていませんが、供給が追い付かないこと、などがマイナスの要因のようです。

図3:建築年別(平成25年時点)貸家の総数

総務省統計局「平成25年住宅・土地統計調査」より作成

一方、今後伸びると思われる要因は、賃貸住宅の建て替えです。

図3は、平成25年(2013年)の賃貸住宅の築年別の総数を示したものです。これを見ると、築25年超の賃貸住宅は全体の4割を占めています。これらがほとんど建て替えられていないとすると、現在はこのデータから5年経っていますので、40%よりもかなり増えているでしょう。
こうした物件が徐々に建て替え期となります。建て替えするかどうかは、オーナー様の状況次第ですが、適切なアドバイスを受けて、新しい物件を建てると再び賃貸住宅経営による収益を得ることができます。

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