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コラム vol.349
  • 不動産市況を読み解く

全国の空き家の利用状況を国土交通省が公表。空き家所有者は、どう考えているのか?(前編)

公開日:2021/01/29

POINT!

・空き家が社会問題化しており、国土交通省が2020年に詳しい調査を行った

・空き家の取得経緯は相続が多く、その後も利用せず空き家になるケースが多い

「空き家が全国的に社会問題化している」といわれています。空き家が多いと、防犯上よくない、街の景観がよくない、土地(不動産)の有効活用ができないなどが問題となるからです。
空き家所有者に関する調査としては「住宅・土地統計調査(総務省統計局が主体:最新は2018年調査データ=2019年公表)」がありますが、調査事項は空き家に関する基本的な項目(所在地、建て方、取得方法、建築の時期、居住世帯のない期間)などに限定されています。
この調査をさらに深掘りした「空き家所有者の意向」についての調査が国土交通省主体で行われ、結果がこのたび発表されましたので、その内容を複数回に分けて分析してみたいと思います。

この内容を分析したものは本サイトのコラム「横ばいだった空き家率。なぜ、空き家はほとんど増えていないのか?」に掲載しておりますので、本稿と合わせてお読みいただければと思います。

空き家所有者実態調査

「全国の空き家について利用状況、管理状況、所有者の意識・意向等を把握すること」を目的とした「空き家所有者実態調査」(国土交通省)が、2020年12月16日に発表されました。
この調査では、5年に1度総務省が実施している「平成30年住宅・土地統計調査」において「居住世帯のない住宅(空き家)を所有している」と回答した中から、全国で12,151世帯を無作為に抽出した世帯を調査の対象としています。

調査結果の概要

まず、国土交通省資料より、今回の調査結果のポイントをお伝えします。空き家の分類などは、「住宅・土地統計調査」と同じです。
以下は、「令和元年空き家所有者実態調査結果のポイント」からの引用です。

  • (1)空き家の5割超は腐朽・破損がある。
    別荘や貸家・売却用等以外の「その他」の空き家(一般的イメージの使われていない空き家)では、腐朽・破損がある割合が6割を超える。
  • (2)空き家の約4割は、最寄りの鉄道駅から2,000m以上離れている。貸家用の空き家(空室)の約半数は、鉄道駅から1,000m未満に立地している。
  • (3)所有世帯の約7割は、空き家まで1時間以内の場所に居住。貸家用やその他の空き家を所有している世帯は、比較的近くに居住している割合が大きく、1時間以内が8割を超える。
  • (4)空き家の管理頻度は、「月に1回~数回」の割合が最も大きく約4割。
    二次的住宅・別荘用の空き家の利用頻度についても「月に1回~数回」の割合が最も大きく約4割。
  • (5)空き家を取得した際に、登記の名義変更や新たに登記を行った割合は約8割。利用現況がその他の空き家や、相続により取得した空き家は、「いずれも行っていない」割合が約2割見られる。
  • (6)今後5年程度の利用意向は、「空き家にしておく」が約3割、「賃貸・売却」や「セカンドハウスなどとして利用」がそれぞれ約2割。
  • (7)賃貸・売却の場合の課題は、「買い手・借り手の少なさ」「住宅の傷み」「設備や建具の古さ」の順になっている。
  • (8)寄付・贈与の意向があるもののうち、一定の費用負担を伴っても寄付・贈与をしたい人の割合は、約4割であった。
  • (9)空き家にしておく理由は、「物置として必要」「解体費用をかけたくない」「さら地にしても使い道がない」の順になっている。

空き家の取得経緯、今後の利用意向について

図1を見ると空き家を取得した経緯は、空き家全体では、「相続」のタイミングが54.6%と最も多く、次いで「新築・建て替え」が18.8%、「中古の住宅を購入」が14.0%の順になっています。その利用現況別にみると、普段使わず、賃貸用でも販売用でも別荘やセカンドハウスでもない「その他」の空き家では、「相続」の割合が大きく58.7%です。このパターンの空き家は、建築時期が古いものが多くなっています。昭和25年以前に建てられた空き家のうち約8割が「相続」により取得されています。

図1:取得方法(総数・利用現況別)

国土交通省住宅局「令和元年空き家所有者実態調査報告書」より作成

今後5年程度のうちの利用意向についての質問では、「空き家にしておく(物置を含む)」が28.0%、「セカンドハウスなどとして利用」が18.1%、「売却」が17.3%の順となっています。 「その他」分類の空き家では「取り壊す」が21.9%と割合が大きくなっています。建築時期別 にみると、建築時期が古いものほど「空き家にしておく」「取り壊す」の割合が大きく、昭和25年以前のものでそれぞれ37.6%、21.1%となっています。

「相続によってかつて住んでいた実家を所有することになったので、いつかその対応しなければならない」と分かっていても、なかなか動けていないのが現実のようです。相続した実家への対応方法は、取り壊す、売却する、あるいは、別のことで有効活用するなどさまざまあります。「何にも使えないのではないか?」と短絡的に考えるのではなく、まずは大和ハウス工業をはじめとした専門家に相談するとよいでしょう。

図2:今後の利用意向(総数・建築時期別)

国土交通省住宅局「令和元年空き家所有者実態調査報告書」より作成

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