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コラム vol.427
  • 不動産市況を読み解く

土地を所有している法人は何割か?~法人土地・建物基本調査について~

公開日:2022/09/30

法人が所有する土地や建物といった不動産の状況は、国土交通省が主体となって5年に一度行われる「法人土地・建物基本調査」で知ることができます。最新の調査は、2018年に行われ翌年9月に公表された調査となります。

法人土地・建物基本調査について

法人土地・建物基本調査は、我が国の基幹統計(総務大臣が指定する国の重要統計のこと)です。基幹統計ということで、予備調査が数年前から行われる大掛かりな調査です。
土地と建物に関する関連統計は、法人向けではこの「法人・建物基本調査」(主体:国土交通省、5年周期)、世帯向けでは「住宅・土地統計調査」(主体:総務省、5年周期)の2つから成り立っています。また、法人の土地の所有動向については、国土交通省が不動産所有権登記情報に基づき実態調査を行う「土地保有動態調査」(毎年実施)もありますが、こちらは一般統計です。
ちなみに、土地基本調査とは、「法人土地・建物基本調査」(国土交通省)と「世帯土地統計」(総務省が実施する「住宅・土地統計調査」のうち、土地部分を転写・集計により作成)の2本で構成されており、全国の土地・建物の所有・利用状況等に関する実態を明らかにし、土地の有効利用を的確に進めるうえで必要となる基礎的な統計データを収集・整備することを目的とする調査です。

法人の土地・建物の所有状況

「法人土地・建物基本調査」によれば、土地を保有している法人は法人全体の36%、建物を所有している法人は40.5%、両方保有している法人は29.8%となっています。建物だけを所有している法人は10.7%、また、どちらも保有していない法人は53.3%です。

図1:土地・建物所有状況別法人数・割合

図1:土地・建物所有状況別法人数・割合

建物だけを保有している法人、その多くは借地の上に自社の物件を所有している法人ということになると考えられますが、その数字が10%台というのは、「ちょっと少ない」という印象です。
また、土地のみを所有している法人は6.2%あり、この土地は何らかの有効活用を行っているものと思われます。

法人が所有している土地のうち貸している割合は?

土地の有効活用は、個人地主の方だけでなく、法人によっても行われています。
法人が所有する「宅地など」の土地のうち、他者に貸している土地の割合は約14%(件数ベース)となっています。件数ベースでは約30万件で、これは前々回調査(平成20年)の時は約20万件、前回調査(平成25年)が約25.5万件でしたので、回を追うごとに件数が増えていることになります。法人にとっても、「土地の有効活用」は徐々に浸透してきているようです。
不動産関連業を除くと、土地の貸付割合が目立つのが「宗教」系法人で、6.2万件、約17%(件数ベース)を貸しています。宗教法人は土地を所有している業種としてはトップで16.1%となっています。確かに、都内の物件情報を見ていると、寺社などの宗教法人が借地権を持つ物件をよく見かけます。また、宅地として貸しているだけでなく、非宅地(商業施設)などの底地を保有している宗教法人も多いようです。

低・未利用地の状況

今回の調査から、低・未利用地(駐車場、資材置き場、空き地など)の動向についての調査が加わりました。
現在、低・未利用地である土地(全体で約43万件もあります)のうち、5年前から同様の状態だった土地は、67.1%と約2/3は、継続的に低・未利用地のままとなっているようです。また、5年前は何らかの形で有効活用していた土地は4.4%でした。
また、今後の予定を聞けば、「転換の予定はない」が45.7%ということですが、一方で約3.7%(件数では約1.6万件)は今後売却を予定していると回答しています。
このような低・未利用地でも、固定資産税はかかりますので、法人にとっては何らかの有効活用を行うか、もしくは手放すかを検討することが求められます。

図2:低・未利用地の5年前の状況及び転換予定件数・割合(平成30年)

国土交通省「平成30年法人土地・建物基本調査」より

次回調査の展望

次回の調査は来年(2023年)に行われます。すでに予備調査が行われ、調査の研究会も定期的に行われています。
2020年春から広まった新型コロナウイルス感染症のまん延により、「ビジネスのあり方が変わった」という法人も多いと思われます。また、廃業や規模縮小、業種転換した法人も多くあります。こうしたことが、法人の土地や建物の保有状況にどのような影響があったのか、注目が集まるでしょう。

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