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コラム vol.457
  • 不動産市況を読み解く

2023年最新路線価を読み解く

公開日:2023/07/31

POINT!

・2023年路線価は、全国平均で前年比+1.5%。前年から1ポイント伸び率が拡大し、回復が鮮明となった

・都道府県別では、変動率が上昇したのは45都道府県。地方主要地域の上昇が目立った

・都道府県庁所在地の最高路線価では、上昇地点が43地点と大幅に増え、ほぼ全国に広がった

2023年7月3日に国税庁から路線価が発表されました。路線価は、相続税、贈与税に係る土地などの評価額の算定基準となります。
発表された路線価の全国平均は前年比+1.5%、2年連続の上昇となりました。新型コロナウイルス感染症の影響も減少し、経済活動の再開、国内外の観光客増が顕著に反映された格好となりました。公開された2023年路線価を解説します。

路線価とは

路線価は毎年7月1日に国税庁が公表しますが、価格時点は1月1日です。今年は1日が土曜日だったため、3日の発表となりました。路線価は、4つの「公的な土地価格」の1つで、道路に面した宅地の評価額を示すものです。国税庁が公表していることから分かるように、相続税・贈与税、固定資産税における不動産の価格算定に用いられます。路線価は、全国にある宅地、田、畑、山林が対象となります。ここでいう「宅地」とは、住宅地という意味ではなく、住宅、商業施設、ビル、工場など、その用途にかかわらず、「建物の敷地となる土地」を指します。
2023年中に、亡くなられた方の相続に伴う相続税、2023年中に行われた贈与に伴う贈与税などは、今回発表分の路線価を使い、土地の評価額の算定を行うことになります。

地価公示との関係

路線価は、3月下旬に公表される公示地価と同じ価格時点であり、また公示地価などを基にした価格(地価)の80%程度を目途に評価されているため、公示地価と同じような傾向となります。そのため、2023年の路線価も地価公示と同じような結果となっています。

2023年路線価の状況

全国約31万6千地点(標準宅地)の平均変動率は、前年+1.5%となりました。前々年は-0.5%、前年は+0.5%でしたので、前年から1ポイント伸び率が拡大したことになり、回復が鮮明となっています。
都道府県別の変動率で見れば、前年比で上昇した都道府県は27都道府県、変動率が上昇(もしくはマイナス幅が縮小)したのは45都道府県となっています。また、マイナスからプラスになったのは、7県となりました(長野県、滋賀県は四捨五入で0.0)。

図1:都道府県別 路線価標準宅地の対前年変動率の平均値

国税庁資料より作成

上昇率がトップだったのは北海道の6.8%(前年も1位:4.0%)、続いて福岡県4.5%(前年も2位:3.6%)、宮城県の4.4%(前年も3位:2.9%)、沖縄県の3.6%(前年も4位:1.6%)、東京都3.2%(前年は6位:1.1%)となっています。上昇率ベスト4は昨年と同じで、また地価公示と同じように、地方主要地域の上昇が目立っています。

県庁所在地の最高路線価

都道府県庁所在地の最高路線価地点(図2)を見ると、上昇したのは42地点でした。前年は31地点、前々年は8都市の地点でしたので、大幅に増え、ほぼ全国に広がっていることが分かります。
下落したのは4地点で、前年は16地点でしたので、全国的な地価回復状況が分かります。

図2:都道府県庁所在都市の最高路線価

注:千葉市は最高路線価地点に変動があり圏外としています

国税庁資料より作成

図2は、都道府県県庁所在都市の最高路線価を「対前年比」の順に並べたものです。
トップは岡山市、次いで札幌市、さいたま市、福井市、奈良市、岐阜市、秋田市の順となっており、地方の県庁所在地中心部での地価上昇が顕著なことが分かります。

借地権の場合の路線価の算定

路線価は、道路における土地価格が示されていますが、特定条件や奥行距離等による補正率など、その計算方式はかなり複雑です。国税庁ホームページで計算方法が紹介されていますので、ご自身で路線価を計算することもできます。 こちらを参照ください。
国税庁ホームページでは、借地の場合、数字で示された路線価の後にAからGのアルファベットが付与されています。これは借地権割合を示すもので、A:90%、B:80%、C:70%、D:60%、E:50%、F:40%、G:30%となっています。
例えば「60B」とあれば、路線価はm2単価・千円単位の表記なので、m2単価60万円、借地権割合80%となります。つまり、この土地の借利権を所有している場合、48万円(m2単価)が路線価となります。

  • ※課税額については、個人の状況によりかなり異なりますので、より詳細な税額については、税理士など専門家に相談してください。

今後の見通し

路線価の今後の見通しですが、冒頭に述べたように基本的には地価公示と同じ傾向になります。今年の地価公示についてのコラム「2023年地価公示を読み解く地価上昇は地方へも波及」でも紹介したように、経済状況が活況であることが鮮明なこと、観光客の増加、人流増加が顕著であることなどから、2024年に公表される地価公示、路線価ともに、今年を上回るエリアが多くなるかもしれません。

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