「愛猫のために…!」と思いを込めて考えた住まい。
でも、実際に暮らしてみると「こうすれば、もっとよかったかも…」と感じることもあるようです。
今回は、そんなリアルな気づきをもとに、猫と心地よく暮らすためのヒントを集めました。
答えてくれたのは、聖母坂どうぶつ病院副院長の田草川 佳実先生です。
これから家づくりや住まいの見直しを考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
【体験談その1】猫タワーを設置したのに、全然使ってくれない…!

いいお値段がするものを買ったのに、完全にスルーで…
猫との暮らしを考えて新築したタイミングで、「絶対に喜ぶはず!」と思ってリビングに猫タワーを置きました。でも、うちのコはまったく登ってくれなくて…。買って1週間後には洗濯物置きになっていました(涙)。「どうして?」って悩んでいたけど、場所や高さが合っていなかったのでしょうか?
(シアンちゃん/2才の飼い主さんより)
田草川先生のアドバイス
基本的に猫は高いところを好みます。これは、周囲を見渡せる安心感に加え、獲物を見張るという狩猟本能を満たす行動でもあります。そんな猫ですが、猫タワーに登らないという場合は、まず腰や足が痛いなどの身体的な問題がないかをチェックしましょう。異常がなければ、使いたくない精神的な理由があると考えられます。
よくあるのは、猫タワーが不安定で倒れたことがあったり、大きく揺れた経験をしたりして怖くなってしまったケースです。安心できる場所でなければ猫は近寄りませんので、ご自宅の猫タワーがしっかり安定しているか確認してみてください。あとは多頭飼いで、相性の悪い猫がそばにいると近づかないこともあります。
猫が安心して登りたくなる猫タワーのポイント
外が見える場所:鳥や葉っぱなど動くものを観察できると満足感が得られます。
日当たりのよい場所:猫は日なたぼっこが好きで、陽が当たる場所を好みます。
高さがしっかり確保されている:周囲を見渡せることで安心して過ごせます。
足の短いコやシニアでも猫タワーを活用しましょう
上下運動は心身の健康維持につながります。年齢や体格に関係なく、猫自身に登りたい気持ちがあるなら、無理のない範囲で登らせてあげましょう。押し入れの中やケージの段差など、猫タワー以外のスペースでも上下運動は代用が可能です。愛猫に合った登れる場所を確保してあげてください。
【体験談その2】爪とぎ対策もむなしく、壁や家具がボロボロに…

引っ越して早々、壁にカリカリ…。ショックでした
壁紙とか柱とか、もう本当にあちこちやられてしまいました…。最初は「爪とぎがあるから大丈夫」だと思っていたのですが、うちのコは買ってあげた爪とぎには見向きもせず、家のほうばかり狙ってて…。猫にも好みがあるとは知りませんでした。
(たぴおかちゃん/6才の飼い主さんより)
田草川先生のアドバイス
猫の爪とぎには、爪のケアだけでなく、マーキングやストレス発散といった意味があります。特にマーキングには、指の間から出るニオイを残す「嗅覚のサイン」と、壁などを傷つけることで残す「視覚的なサイン」の2つがあり、「ここに自分がいる」という主張の役割も果たしています。
市販の爪とぎを使ってくれない場合は、素材・向き・設置場所などが好みと合っていないかもしれません。こればかりは個体差がありますので、いくつか試してみて、愛猫に合うものを見つけてあげましょう。
猫の爪とぎ確認ポイント
素材の好み: 段ボールや麻など、猫によって好みはさまざま。まずはいろいろな素材を試してみましょう。
向きの好み:横型・縦型など、好む姿勢も猫によって異なります。実際に置いてみて反応を観察しましょう。
設置場所:もし壁などで爪を研いでいるなら、その場所こそが「研ぎたい場所」です。同じ場所に爪とぎを設置してみると、使ってくれる可能性があります。ほかにも、通り道や玄関など、猫がマーキングしたくなる場所も好まれる傾向があります。
やっていい場所を用意する工夫も
ソファなど、やられて困る場所にはカバーをかける・近づけない工夫をしながら、代わりに「ここならOK」という場所に爪とぎを用意してあげましょう。
また、爪とぎをあまりしないコもいますが、爪が伸びすぎると肉球に刺さることもあるため、その場合は定期的に爪切りでケアしてあげてください。
【体験談その3】2階にトイレがあるので、
おしっこをしてもすぐに気づけない…

気づけないせいで、何時間も放置していることがたびたびあって…
ニオイが気になるので、トイレを2階の廊下に置いています。でも、家族は1階で過ごすことが多いから、排せつに気づくのが毎回遅れてしまって…。トイレを片付け忘れたせいで、猫が別の場所でしてしまうことも。でも生活動線の中にトイレを置くのは、見た目の問題もあってためらいます。
(梵天丸くん/12才の飼い主さんより)
田草川先生のアドバイス
ニオイや見た目が気になって、ついトイレを生活空間から離したくなる飼い主さんの気持ちもわかりますが、猫の健康を守るには、飼い主さんがトイレの様子をこまめに確認しておくことは非常に重要です。おしっこの回数や量、色、うんちの硬さや排便時の様子は、診察時の大切な情報にもなるため、日頃からチェックしてあげてください。
排せつに気づかず掃除ができないままでいると、猫自身も「行きたい時に行けない」状態になり、ストレスやそそうの原因になることもあります。
猫が快適に使えるトイレ環境のポイント
静かで落ち着ける場所:にぎやかすぎる場所や真っ暗な場所は避け、適度な明るさと安心感のある場所を選びましょう。
猫の生活動線上に設置:猫がふだん過ごす場所から離れすぎず、行きたい時にすぐ行ける場所が理想です。
置き場所を分ける工夫も:多頭飼いの場合、相性によっては同じトイレを使いづらくなることがあります。そんな時は場所を離して設置すると、猫同士が安心して使えるようになります。
こんな様子が見られたら注意を
何度もトイレに入っているのにおしっこが出ていない、排せつに時間がかかっている、うんちの出が悪い、などの様子が見られたら注意してください。尿路疾患や便秘などのサインかもしれません。また、トイレ以外の場所でのそそうも、環境が合っていない可能性や体調不良のサインであることがあります。
「次はこうしたい!」とお考えの飼い主さんへ。
「猫想いな家づくり」を相談してみませんか?

ダイワハウスなら、猫の習性を考慮しながらご家族のライフスタイルもふまえた、理想的な家づくりが可能です。体験談にあったような“あるある”も、住まいの工夫で未然に防ぎましょう。
キャットウォークや猫が登れるスペースを考えた間取り

キャットウォーク(左)/猫階段(右)
上下運動ができる空間は、猫のストレス発散や健康維持に大切なポイント。安定感があり、猫が安心して登れる高い場所を、日々の暮らしの中で自然に楽しめるような設計が可能です。
お気に入りの「爪とぎスポット」を用意する
猫が好む硬くて安定した素材でつくられた専用スペースをあらかじめ用意しておけば、自然とその場所を爪とぎの定位置にしてくれます。気に入った場所で繰り返し爪とぎをする猫の習性を活かして、壁や家具の被害を防ぐことにもつながります。

爪とぎ場
愛猫が安心して使えて、飼い主さんもお手入れしやすいトイレ設備

猫用自動洗浄トイレ「ネコレット」
「ネコレット」は、ニオイ・掃除・動線に配慮された猫用自動水洗トイレ。愛猫の使いやすさと飼い主さんの暮らしやすさの両立が実現できます。
いかがでしたか?新しく家を建てたい方も、今の暮らしをもっと快適にしたい方も、愛猫との心地よい家づくりならダイワハウスが頼りになります。ぜひ、あなたと愛猫にぴったりの住まいを実現していきましょう。
記事監修

獣医師
田草川 佳実先生
聖母坂どうぶつ病院副院長。
北里大学獣医畜産学部(現 獣医学部)獣医学科卒業。
●資格:獣医師/認定こいぬこねこ教育アドバイザー(JAHA認定)/
General Practitioner Certificate in Small Animal Surgery(小動物外科学)
●所属:日本獣医動物行動研究会/日本獣医がん学会/日本獣医腎泌尿器学会
名もなきペット家事~ねこ編~
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