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コラム No.108-7

CREコラム

急拡大するESG投資(7)ESGと不動産投資【2】注目されるグリーンリース

公開日:2021/03/31

不動産投資の代表選手はオフィスビルの賃料事業ですが、ここにもESGの波が押し寄せてきま した。ビルのオーナーと入居者(テナント)が協力してオフィスの環境(Environment)を改善して双方がともにメリットを享受する仕組みである「グリーンリース」の導入が注目されています。

オーナー、テナント双方の利益になる環境改善

2016年2月に国土交通省が作成し公表した「グリーンリース・ガイド」によると、グリーンリース(GreenLease)は、ビルのオーナーとテナントが協力し合って不動産の環境負荷を低減し、より働きやすくするなどの改善を図る自主的な契約を結んでその内容を実践することとされています。
グリーンリースは主に、照明や空調などエネルギー消費量やCO2排出量の削減のほか、節水・節湯、廃棄物の分別回収を徹底することで生まれるリサイクル率の改善・向上に役立ちます。
さらに、空調や光環境、内装工事における有害物質含有の資材排除によるテナント入居者の快適性の向上にも関わってきます。
例えば、テナントビルで従来の照明設備をLEDに切り替えて導入すれば、導入当初は割高な機器を購入することになりますが、長期的にみれば蛍光灯は半永久的に使用できるうえに電気代も抑えることができます。オーナーにとっては 維持管理コストが軽減でき、テナント側は光熱費が低減できるので、双方にメリットが生まれます。

最新のエアコンなどは近年、省エネだけでなくAIを活用した適温調節で冷え過ぎなどを抑制して執務環境をより快適にするよう設計されています。こうした設備の導入はオフィスで働く人の健康や生産性向上に貢献すると同時に、不動産 価値を上昇させることにも繋がります。
国は2013年ころから不動産の環境性能の向上に積極的に取り組んでいます。2015年には「建築物のエネルギー性能の向上に関する法律」が成立し、大規模新築の建築物には省エネ基準への適合が義務化され、売買・賃貸時には省エ ネ性能を示すよう努力義務が課せられました。こうした法整備で「環境不動産」という言葉が広く使われるようになりました。

図1:グリーンリースで期待できること

出典:国土交通省「グリーンリース・ガイド」

運用改善と改修のグリーンリース

グリーンリースは省エネ・環境配慮・原状回復における相互協力と、オーナーの改修投資にお けるテナントから利益還元という2つの取り組み方があります。前者を「運用改善のグリーンリース」、後者を「改修のグリーンリース」と呼んでいます。
2つの取り組みが一体になって効果を発揮します。
オーナーとテナントが協力して不動産の環境改善を図ることから始まり、必要に応じて改修を実施していきます。
運用改善のグリーンリースは、文字どおりビルをより適切に管理・運営することで環境を良くする取り組みを指します。高性能の設備が完備したビルといえども、その性能を発揮する取り扱いをしなければ宝の持ち腐れです。省エネ性能が高いエアコンが導入されているのにテナントが長時間つけっ放しにしていたり、節水型の温水洗浄便座が備え付けられているのに何度も水を流したりすれば、期待している節電や節水の効果はいつまでたっても実現しません。

こうした浪費をなくすためにはオーナーとテナントが環境性能の理解を深めて協議し合う場が必要です。水光熱費など入居施設のエネルギー消費量と料金を情報共有して低減目標を設定したり、オフィス内の快適性を高めるための協議会を開催したりして相互理解を深める契約や覚書を交わす(明文化する)ことになります。

図2:「運用改善」と「回収」のグリーンリース

出典:国土交通省「グリーンリース・ガイド」

改修のグリーンリースは、オーナーが実施する省エネ改修投資によって生れたテナント側のコス ト軽減分をオーナーサイドに還元する取り組みを指します。例えば、LED照明に切り替えたことで個々のテナントが負担している毎月の電気料金が低減した場合、その一定額をオーナーに還元する仕組みをつくります。

オーナーは所有不動産に対して経年劣化などが起きることを想定し、定期的な設備投資を行うのが一般的です。その場合、少々割高でも省エネ機器を導入したほうが長い目で見ればコスト負担は少ないと思っても、初期投資が重くのしかかるので省エネ機器の導入に躊躇するかもしれません。

そこで、省エネ機器の導入で光熱費などのコスト負担が軽減したテナントがその分をオーナーに還元すればオーナーにも経済的な利益が発生するので、省エネ機器導入のインセンティブが高まります。テナントはその分を支払ったとしてもなお、コスト軽減になるのであれば反対する理由はないと思われます。テナントからオーナーに還元する対価が「グリーンリース料」になります。

図3:テナントの費用削減効果(イメージ)

出典:国土交通省「グリーンリース・ガイド」

改修のグリーンリースで最も代表的なのは、LED照明ではないでしょうか。長寿命で小電力、 水銀や鉛など環境負荷物質を含みません。特に2011年3月に発生した東日本大震災で電力供給が不安定になり節電意識が高まったこともあり、一般家庭での普及率も格段に上昇しました。
また企業でも照明は電力消費構成が大きく、大規模ビルや流通・小売業界で省エネ性能が高いLEDの導入が加速しています。

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