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コラム No.122-7

CREコラム

注目集めるWELL認証(7)不動産の環境認証

公開日:2022/03/31

不動産における快適性などを評価・認証する制度はWELL認証のほかにもあります。不動産投資においてもCO2削減など地球環境の保護や少子高齢化への対応など課題改善(解決)型の手法が求められています。不動産の環境評価・認証制度とWELL認証の関係について考えます。

英国のBREEAMが最古の評価制度

WELL認証は2014年に米国の住宅開発・リフォーム会社であるデロス・リビング社が考案した空間性能評価システムです。認証業務はNGO団体であるGBCI(Green Business Certification Inc.)が行っていますが、GBCIは既に1996年、LEED(Leadership in Energy and Environmental Design)の認証制度を先行して運営していました。

LEEDはグリーンビルディングに関する認証制度です。当連載5回目「グリーンビルディングとWELL認証」で触れました。グリーンビルディングは、建造物や周囲の敷地などが将来にわたって持続可能な環境と生活の質的向上に寄与するのかを立地選定などの段階から設計・建設、さらに保守・改修・解体まで一連のサイクルを通して取り組む建築活動を意味します。しかし建築物の環境性能だけでなく、そこで働く人々の快適性も重要視されるべきとの声が高まり、WELL認証の登場に繋がったといわれています。LEEDが制定された年にはフランスで不動産の環境評価基準である「HQE」が制定されています。環境に配慮した「建築」と「マネジメント」、「快適性」、「健康」の4つの視点から不動産を評価しています。HQEは高品質環境基準の略で、フランスのグリーンビルディング基準です。

これより以前の1990年、英国で不動産の環境評価制度「BREEAM」(Building Research Establishment Environmental Assessment. Method)が登場しています。「英国建築研究所」(BRE)と、エネルギー・環境コンサルタントの「ECD」=(Energy and Environment)が、によって開発されました。BREEAMは建築環境性能の評価制度としては最も古いものとされています。

図1:英国のBREEAMが最古の評価制度

国土交通省Webサイト「不動産の環境性能評価」、(株)ヴォンエルフWebサイトなどをもとに作成

国のお墨付き価制度 CASBEE

CASBEEは「Comprehensive Assessment System for Built Environment Efficiency」の略で、直訳すれば建築環境総合性能評価システム。通称「キャスビー」とも呼ばれています。建築物や街区、都市などに関わる環境性能を多くの視点から総合的に評価する制度。2001年に国土交通省が主導し、現在は国内の建設事業者や設計事務所、建物所有者、不動産投資機関などで広く活用されており、一部の地方公共団体では届出制度としての活用が進んでいます。

図2:CASBEE&LEED認証国内累計数

出典:ビューローベリタスWebサイト2021年12月10日付け「環境性能評価認証が増えているのはなぜか」

CASBEEは「国産」で国のお墨付き制度で、国内での普及が拡大しています。運営している一般社団法人建築環境・省エネルギー機構の調査によれば、認証件数1251件(2021年5月1日現在)、自治体への届出物件28227件(2020年3月31日現在)となっています。全国の自治体はCASBEEを基準にした環境性能の高い建築を奨励しており、そうした基準に合致すれば助成金や容積率の緩和などの優遇措置を受けることができることが認証取得のインセンティブになっているようです。

2019年には「CASBEE-WO」認証の運用を開始しています。WOは「Wellness Office」の略。CASBEEのWELL認証版とえるもので、オフィスビルで働く人々の健康や快適性を維持・増進することを目的にした制度です。国が後押しするWELL認証制度で助成や規制緩和などのメリットを享受することができるため、今後も取得を希望する企業・自治体などが増加するものと思われます。

自然との共生を重視する認証制度 ABINC

国産の認証制度がもうひとつあります。一般社団法人いきもの共生事業推進協議会「ABINC」が運営している「ABINC認証」です。ABINCは、生物多様性の保全を目指して積極的に行動する企業の集まりであるJBIB(Japan Business Initiative for Biodiversity)が作成した「いきもの共生事業所推進ガイドライン」と「土地利用通信簿」をベースにして認証を行っています。JBIBには国内のゼネコンや不動産、損保など大手企業など31社が正会員として名を連ねています(2021年7月28日現在)。

ABINCは、湿地や草地を生かしながら緑地を造成したり、ビオトープ池のある緑地を利用した工場や、野鳥やチョウを誘致できる植生を配置した集合住宅など、自然を生かした建築物を認証事業所として認定しています。LEEDやCASBEEに比べると、自然との共生、融合を重視した建造物を評価し、生態系の維持・保護に努めている点で異色の認証制度かもしれません。

米国には多くの認証制度がある

環境不動産評価の本場米国は、LEEDをはじめ多くの認・証評価制度があります。林立する高層ビルの数では世界でも群を抜く国だけに、不動産の環境認証はオフィスビル事業の発展に欠かせない要素になっているのではないでしょうか。2009年には全米ビル協会(BOMA)が制定した、ビル経営に関する評価制度「BOMA360」と、LEED認証を運営するGBCIが建物の有無にかかわらず新規または大規模改修のプロジェクトを対象とするグリーンインフラの評価・認証制度「SITES」を立ち上げました。BOMA360の「360」は360度の意味で、セキュリティやマネジメント、テナントの関係などビル経営の全方向を評価する、との意味が込められています。

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