土地活用ラボ for Biz

土地活用ラボ for Biz

コラム No.39-5

トレンド

今仲清の事業承継シリーズ(5)自社株式を贈与税ゼロで贈与できるケース

公開日:2018/02/28

自社株式等の贈与税の納税猶予制度の適用を受けると、課税される贈与税の全額を猶予されます。さらに、贈与者に相続が発生する時点まで保有し続けると、相続発生時点で猶予贈与税額の全額が免除されます。

先代経営者が6億円の株式を100%保有している場合

【1】3分の2部分だけ贈与を受ければ贈与税は一切かからない

20歳以上の直系卑属が発行済み議決権株式の100%、評価額6億円を保有する先代経営者から、3分2部分の自社株式だけ贈与を受けたとします。
評価額は4億円ですから、4億円から110万円の基礎控除を引いて、贈与税の速算表を適用して計算すると2億1,299.5万円と非常に多額な贈与税になります。しかし、納税猶予の適用要件を満たしていれば贈与税額全額の納税が猶予されます。つまり、贈与税を払わずに自社株式を後継者に贈与することができるのです(図1参照)。

納税猶予部分の税額(3分の2に達するまでの税額)
(4億円-110万円)×55%-640万円=4億円から110万円

【2】相続時精算課税の選択適用も可能

平成29年1月1日以降の非上場株式等の贈与から、相続時精算課税の選択適用を受けた上で、非上場株式等の贈与税の納税猶予の適用を受けることができるようになりました。相続時精算課税は法定相続人または孫しか適用を受けることができませんので、甥は暦年贈与で贈与税の納税猶予を受けるほかありません。

納税猶予部分の税額(3分の2に達するまでの税額)
(4億円-2,500万円)×20%=7,500万円

【3】全額贈与を受ければ3分の2を超える部分にかかる贈与税を納付

先代経営者から自社株式の全額を贈与されて、3分の2を超える部分についても暦年贈与課税(110万円の基礎控除のある普通の贈与)を選択すると、3分の1部分だけで1億1,000万円の贈与税を納めなければなりません。この場合の3分の2にかかる贈与税の納税猶予額も2億1,299.5万円です。相続時精算課税制度を選択した場合には、4,000万円の納付となります。3分の2部分だけ贈与されて残りは先代経営者が保有し続けてもかまいません。前年以前に先代経営者から相続時精算課税贈与を受けている場合には、贈与税は自動的に相続時精算課税になります。

図1:猶予される贈与税額

相続発生時に加算される株式の評価額は贈与時点の評価

贈与税の納税猶予の適用を受けた自社株式は、相続発生時にはみなし相続財産として相続税の課税対象となります。その際に加算される株式の評価額は贈与時点の評価額なので、後継者が株式の贈与を受けた後の努力による評価上昇分には相続税が課税されないことになります。もちろん、3分の2を超える株式について相続時精算課税制度の適用を受けていれば、これについても贈与時の評価額が相続時の課税対象となります。

相続発生時には相続税の納税猶予の適用対象に

平成29年1月1日以降に、先代経営者が取引相場のない株式等を相続時精算課税によって後継者に贈与し、受贈者が贈与税の納税猶予を受けると無税で贈与できます。その後、先代経営者が死亡すると猶予を受けている贈与税も免除され、贈与を受けた時点の評価額が被相続人の相続税の課税価額に加算されて相続税が計算されます。相続税の納税猶予の適用要件を満たしていると、その株式の評価額の80%相当額に対応する相続税額の納税が猶予されます。

既に贈与を受けるなどして保有している自社株式は猶予の対象外

既に後継者が保有している自社株式については贈与税の納税猶予の適用を受けることはできません。例えば、先代経営者から自社株式を一括して贈与を受けた時点で、過去に贈与を受けていたり、買いとったり、あるいは先々代の相続時に遺贈を受けたりして、後継者が既に保有している自社株式は贈与税の納税猶予の対象外となります。あくまでも今回贈与を受けた自社株式のうち、既に保有している自社株式に上乗せして発行済議決権株式の合計3分の2に達するまでの部分が納税猶予の対象となります。例えば、次のような場合です。

【1】後継者が既に自社株式を保有している場合

発行済み議決権株式が12万株、その評価額が6億円とします。先代経営者は後継者に保有株式9万株のうち7万株を一括して贈与します。後継者はその時点で先代経営者は他の人から暦年贈与、自社株式の買取り、先々代経営者かからの相続などで1万株保有しています。この場合の贈与税は次のようになります(図2参照)。

  1. (1)既に後継者が保有している1万株(評価額5,000万円)は贈与税の納税猶予の適用対象外
  2. (2)発行済み議決権株式総数の3分の2である8万株が適用限度
  3. (3)8万株から後継者が既に保有している1万株を差し引いた7万株が贈与税の納税猶予の適用可能株数
  4. (4)先代経営者保有株式9万株のうち7万株を一括贈与すれば贈与税の納税猶予の適用を受けることが可能
  5. (5)残りの2万株は、贈与しない、他の相続人等に贈与する、後継者に贈与する、売却するなどします
  6. (6)2万株を先代経営者から一括贈与を受けた場合、暦年課税の適用を受けるか相続時精算課税の適用を受けるか選択できる

図2:後継者が自社株式を保有している場合の贈与税

【2】相続時精算課税によって取得した自社株式がある場合

発行済み議決権株式12万株、その評価額が6億円となります。先代経営者は後継者に6万株のうち2万株を一括して贈与します。後継者はその時点で先代経営者から既に相続時精算課税贈与を受けて3万株を、また先々代経営者から相続で3万株の合計6万株を保有しています。この場合の贈与税は次のようになります(図3参照)。

  1. (1)既に保有している6万株(3億円)は贈与税の納税猶予の適用対象外
  2. (2)12万株の3分の2である8万株が限度
  3. (3)8万株(4億円)から既に保有している6万株(3億円)を差し引いた2万株(1億円)が相続時精算課税による納税猶予適用となる
  4. (4)6万株(3億円)から2万株(1億円)を差し引いた4万株(2億円)は「贈与しない」か「贈与する」かを選択でき、贈与した場合には自動的に相続時精算課税贈与となる
  5. (5)既に先代経営者から相続時精算課税によって取得している3万株は経過規定の適用を受けて平成22年3月31日までに手続きをしていない限り納税猶予の適用を受けることはできない

図3:相続時精算課税によって取得した自社株式がある場合の贈与税

  • 前の記事へ前の記事へ

メールマガジン会員に登録して、土地の活用に役立つ情報をゲットしよう!

土地活用ラボ for Biz メールマガジン会員 無料会員登録

土地活用に役立つコラムや動画の最新情報はメールマガジンで配信しております。他にもセミナーや現場見学会の案内など役立つ情報が満載です。


  • TOP

このページの先頭へ