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コラム No.6-3

CREコラム

CRE戦略とは何か(3)社会的な効果

更新日:2019/09/30
公開日:2016/04/27

企業不動産は経営資源と同時に国、地域の資産

企業が保有する不動産は、貴重な経営資源であることは間違いありませんが、同時に日本の国土、地域としての資産という社会的資本の側面も持っています。
つまり、地域社会の一員としての責任(社会的責任:CSR)を果たすこともCRE戦略の重要な側面のひとつです。
企業の持つ不動産は、ヒトやカネといったほかの資産とは違い、公共性を持っています。つまり、その土地の近隣に住む住民も、企業のステークホルダーということになります。ビジネス上の取引によって生み出される社員(社員の家族も含めて)や協力パートナーの経済的責任だけではなく、地域の人々と共に暮らし、共に生きる責任を負っています。
CRE戦略を考えるときには、企業として地域、地域の人々に対する責任、社会的、公的な責任を自覚し、CSRの観点からもCRE戦略を考えることが必要となります。

まったく活用されていない不動産や、遊休地、余剰スペース、不動産の無駄遣い、環境への不適応、建物の老化、不十分な機能、といった状態を放置したままにしていると、CREの活用という点において、社会的な損失、機会損失となっているといえます。
また、不動産を保有する企業の中には、不動産への過度な固執、逆にまったくの無関心、財務や会計知識の無知、運用能力の欠如などといった問題を抱え、CREを十分に活用できていない企業も存在します。特に老朽化や不動産の放置、不適切な景観などは、地域に直接的な悪影響を与えますので、明らかに企業にとってはリスクとなります。

地域経済の再生

日本は国土が狭く、不動産は貴重な資産です。国民生活水準を向上させるためにも、不動産を有効に活用することで生産性を上げ、競争力を高めることが必要です。企業がその土地を活用することで経済活動を適切に行えば、当然、その地域の雇用を生むことになります。
地方にとっての最大の課題のひとつは雇用の創出です。その地域に適したオリジナル性の高い効果的な新規事業を行うことができれば、その地にユニークな産業を育てることにもつながります。その事業が成功することが条件にはなりますが、そうなれば、雇用の確保から始まり、企業や個人の所得も増え、その地域の経済的な活性化にもつなげることができるでしょう。

また、新規事業だけなく、企業の移転、新設によっても地域経済の活性化につながることもあります。 現在、多くの地方都市が、工業団地や物流、工場、オフィスなど、地元の雇用を生み、税収増につながる企業誘致を積極的に行っています。
さらに、条件によっては、買い替えの特例や税制上の優遇措置を活用することで、過疎化地域から繁華街へ移転し、その過疎化地域には、CRE戦略のノウハウを持つ企業が進出することで、全体を活性化することも可能になります。
また、地域住民の利便性を考慮し、新たなショッピングセンターやコミュニティのための施設づくり、将来の人材開発やイノベーションまでを視野に入れた研究開発施設や文教施設の開発といったことも考えられます。
当然、こうした問題は一企業で解決できる問題ではなく、国や地方自治体、地域の各種団体などと力を合わせて取り組むことが必要ですが、特に地方においては、地元の産業の育成、人材の確保は喫緊の課題であり、新しいアイデアや戦略を待ち望んでいます。
こうした取り組みが地域に評価されれば、将来企業にとっても優秀な人材の確保やブランディングなど、地域の強力な支援を得ることにもつながるでしょう。

適正な地価の形成

企業の適正なCRE戦略は、適正な地価の形成にも貢献します。不動産資産を短期的な利益のためだけの手段としてしまうと、かつての不動産バブルの二の舞になりかねません。
あくまで、不動産の実需、将来に向けた確実な運用、適正な供給に基づいた取り引きとならなければならないでしょう。
長期的な視点によって、地域社会の発展も踏まえ、CREの本質的な有効活用を図ることが企業の経済的な成長、地域経済の活性化、競争力の向上、そして、不動産市場の適切な価格決定にもつながるのです。

参考:「CRE戦略実践のためのガイドライン(2010改訂版):合理的なCRE戦略の推進に関する研究会」(国土交通省)

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