乾燥機や室内干しができるランドリールームを利用する人が増えた昨今、
ベランダやバルコニーを作らないという選択をする人もいます。
ベランダやバルコニーをどのように活用しているのか、
逆に作らないことでどんなメリット・デメリットがあるのかを探るべく、
アンケートを実施しました。
※「ベランダ」とは屋根やひさしがあるもの、「バルコニー」とは屋根やひさしがないものを指します。
調査時期 | 2023年11月6日~11月16日 |
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調査対象 | My House Palette メールマガジン会員 |
有効回答数 | 769件 |
調査方法 | My House Palette メールマガジンでのアンケート |
Q1.ご自宅にベランダやバルコニーはありますか?
9割近くがご自宅にベランダ・バルコニーがあると答えました。住まいの種類別で見ると割合は少し異なるようで、「ある」と回答した割合は、分譲マンション(分譲賃貸住宅を含む)で98%でしたが、戸建住宅で84%、賃貸マンション・アパートで83%でした。
賃貸マンション・アパートの中には、元々ベランダ・バルコニーがない物件もありますが、気になるのは戸建住宅の16%にベランダ・バルコニーが「ない」という回答。その理由は後ほど見ていきましょう。
Q2.ベランダやバルコニーをどのように使っていますか?(複数回答)
ベランダ・バルコニーの用途を尋ねると、圧倒的に多かったのが「洗濯物や布団を干している」(79%)の回答でした。最近は、乾燥機やランドリールームの導入により、ベランダ・バルコニー不要論も耳にしますが、まだまだベランダ・バルコニーで洗濯物や布団を干している人は多いようです。そして、そのうち6割は、洗濯物や布団を干す用途でしか使っていないことも判明。「ベランダ・バルコニー=洗濯物や布団を干す場所」という認識は根強いようです。
次に多かったのが「植木や植栽を置いている」(18%)、「使っていない」(13%)と続きました。他にもこんな使い方がありました。
- 晴れた日に太陽光パネルを設置してポータブル電源に蓄電している(分譲マンション)
- ピザ窯でピザを焼いてランチをしたり、バーベキューをしたりしている(戸建住宅)
- 机と椅子を置いて、受験生の娘が勉強をしている(戸建住宅)
- 干し芋、干し柿、切り干し大根を作っている(賃貸マンション・アパート)
- 4人用のテントを張れる広さなので、おうちキャンプや天体観測を楽しんでいる(戸建住宅)
- 夏はベランダから花火を眺めるのが楽しみ(分譲マンション)
ベランダやバルコニーは、ただ洗濯物を干すだけの場所としてだけでなく、工夫することで生活を豊かにする用途にもできるようです。
Q3.ご自宅のベランダやバルコニーで特に気に入っているのはどんなところですか?また、より快適によりおしゃれに使うための工夫があれば教えてください。
前問では、生活を楽しむためにベランダ・バルコニーを活用する様子も伺えました。それでは住まいの種類別に、何か特長があるのでしょうか?
快適に・おしゃれに使うための工夫を、住まいの種類別にまとめました。
戸建住宅
- 夏はビニールプールを出してトレーを持ち込み、ビールと食事を楽しむ。また、日差しを遮るパラソルを設置している
- 軒を深くしたので、急に雨が降っても洗濯物が濡れる心配が少ない
- 壁で囲っているので、人目を気にせずプール遊びなども楽しめる
- 広く見せるために、物干し竿などの障害物を置かないようにして、室内からの見栄えを良くしている
マンション・アパート
- 素足でも出られるよう掃除を欠かさず、室内の延長として使っている
- くつろげるようにウッドデッキを敷いていたが、古くなったので人工芝に変える予定
- 本当はテーブルを置きたいが、狭いのでイスだけを置いて読書を楽しんでいる
- 物干し竿は洗濯物で視界を遮らないよう、低めに設置している
Q4.べランダやバルコニーの掃除はどのくらいの頻度で行っていますか?
工夫次第でさまざまな使い方ができるベランダやバルコニー。しかし、気持ちよく利用するためには、掃除など定期的なメンテナンスが欠かせません。
掃除頻度については意見が割れて、15%が「掃除はしていない」と回答しました。一方、「掃除をしている」人の頻度を見てみると、「数カ月に1回」(25%)が最多で、「月に1回」(17%)、「年に1回」(14%)と続きました。全体の半数以上は、掃除はしていないか、しても数カ月に1回か年に1回程度ということが分かります。ベランダ・バルコニーの掃除は後回しになりがちな実態が浮き彫りになりました。
一方で、「週に1回」(12%)、「月に2~3回」(11%)、「週に2~3回」(6%)とこまめに掃除している人もいました。
Q5.ご自宅のベランダやバルコニーで不満に思っていることはありますか?(複数回答)
「狭い」(34%)が最多で、次に「鳥や虫などがくる」(28%)、「掃除やメンテナンスが大変」(26%)、「特になし」(18%)と続きました。この回答は戸建住宅・マンションともに似たような傾向でした。
「狭い」と回答した人のベランダ・バルコニーの用途を見てみると、半数以上が「洗濯物や布団を干すだけ」と回答していました。「本当なら子どもをプールで遊ばせたり家庭菜園をしたりバーベキューをしたいが、そこまでのスペースがないので洗濯物を干すだけ」という意見もあり、狭さゆえに最低限の用途にとどまっている現状がうかがえます。
「鳥や虫などがくる」については周辺環境に左右される部分が大きく、「掃除やメンテナンスが大変」については、雨風やホコリ、鳥のふんなどで汚れやすいため、悩みの上位にくるのもうなずけます。持ち家の戸建住宅の場合は、床材の劣化を防ぐための防水処理を定期的に行う必要もあるでしょう。
Q6.ベランダやバルコニーがない家を選んだ理由を教えてください。
ご自身の判断でベランダ・バルコニーがない住まいを選んだ理由を、住まいの種類別に聞いてみました。
戸建住宅
- 平屋なのでベランダ・バルコニーがそもそもない。もし2階建てを建てたとしても、メンテナンス費の問題や掃除の手間、洗濯物は室内干し&乾燥機使用のためベランダは作らない
- ベランダ設置費用節約のため。洗濯物は庭に干すのでベランダの必要性が低いと思ったのと、掃除とメンテナンスが大変そうだから
- ベランダを作らない分部屋を広く取りたかったから。定期的なメンテナンスが必要で費用がかかるし、掃除が大変だから。洗う、干す、しまうが1階で完結する間取りにしたので、バルコニーやベランダを使わないと思ったから
- 建築費用減額のため。ランドリールームを作ったので不要
- 防犯上不安があるのと、手入れが大変というイメージがあったから
マンション・アパート
- 乾燥機があるのでバルコニースペースは不要だった
- サンルームがあり、それで十分だから
- ベランダはないが外に洗濯物は干せるのでそれで十分と思った
マンション・アパートの人の意見からは「ベランダ・バルコニーがない物件を積極的に選んだわけではないが、なくても特に困らなかった」というニュアンスが感じられました。しかし、戸建住宅(主に注文住宅)の人は、ベランダ・バルコニーのイニシャル&ランニングコスト、掃除の手間などをトータルに判断した結果、作らない決断をしていることが分かります。
Q7.ベランダやバルコニーがなくて不便に感じていることや、後悔していることはありますか。
- 乾燥機があるので外干しの必要性はないが、一部乾燥機不可の衣類や、乾ききらないものを干す場所は必要なので、あっても良かったとは思う
- 布団を干す頻度が減ってしまった
- 下着などを干すときに、外から見えにくい深めのバルコニーがあれば良かった
- 外でコーヒーが飲める場所があれば良かったと思う
- 家庭菜園ができないこと。プランターをベランダに置いてちょっとした野菜を育てたい
- 足場がないと窓ガラスの外側の掃除が大変
- ベランダがある方が、開放感があっていい
Q8.今後家を建てるとしたら、ベランダ・バルコニーを作りたいですか?その理由も教えてください。
「はい」と答えた理由
- SNSや住宅展示場で、室内とつながりを持たせたバルコニーを安らぐ空間として活用しているのを見るといいなと思う
- 室内の延長のように使えれば、日常生活が豊かになると思う
- 洗濯物を干すのにベランダは必須。急な雨でも濡れない深い軒が理想的
- 洗濯物干し場とは別に広いバルコニーを作り、テーブルやイスを置いてそこで過ごせる空間を作りたい
- ベランダからの眺めを楽しむなど、精神的なゆとりを持たせてくれると思うから
- 季節や天気を問わず、遊んだり食事したりできる開閉式屋根がついたバルコニーを作りたい
- 都内で十分な広さの庭が持てない分、貴重なスペースになる。子どもが小さいのでプール遊びができたり縄跳びができたりすると良い
「いいえ」と答えた理由
- ベランダが3カ所あるが、現状使っていないので不要
- 再度家を建てるとしてもベランダは不要派だが、住宅密集地や狭い土地であれば、庭の代わりに使えて便利だと思う
- 布団を外干しできるのはメリットだが、建築・メンテナンス費用、掃除の手間がかかるのがデメリット
- ベランダがあると足場ができて防犯面が不安
- 土地が十分あるので、ベランダを作らなくても庭に干せば事足りる
- 外干しだと花粉がつくので、自分にとってはあまり利用価値がない
- 手入れや掃除が行き届かないし、なくても現状困っていない
「不要派」の意見も、それぞれ納得できるものがありました。
室内とつながりを持たせたり、物干し場とお茶をする場の領域分けをしたりなど、アイデア次第で工夫あるベランダ・バルコニーの設計が可能です。ご自身がどんな生活を送りたいかを想像しながら、プランニングのアイデア出しができると良いですね。
まとめ
ベランダ・バルコニーは単に物干し場だけでなく、ある程度の奥行きを設ければ、建物の「内」と「外」をつなぐ中間領域として暮らしを豊かにしてくれるでしょう。しかし、屋外であるという特性上、掃除を怠ると汚れやすい一面も。メンテナンスしやすい床材にするなどの検討も必要になってきそうです。ベランダ不要論、必要論のどちらにも耳を傾けて、後悔のない選択をしましょう。