家族団らんの時間を過ごすリビングは、
自然の光を感じて開放的に過ごせる快適な空間にしたいと思う人が多いでしょう。
リビングの日当たりが悪く、採光が不足していると、健康面への影響や、
光熱費が割高になるなどのデメリットも生じてしまうようです。
ここでは、リビングが暗くなる原因や、明るさを確保するために押さえておきたい、
設計やインテリアの工夫のポイントを解説します。
Part15世帯に1世帯が採光に不満?

リビングやダイニングなどLDK空間の居心地の良さが、明るさと関係すると考える人は少なくないようです。国土交通省が実施した、住宅の不満についての調査からも、そのことが分かります。
日本では建築基準法により、健康で快適に暮らせる住環境を実現するために、採光基準が設けられています。住宅の居室には「床面積の1/7以上の採光上有効な開口部が必要」とされているにもかかわらず、国土交通省が実施した令和5年の住生活総合調査※1では、約5世帯に1世帯(21.7%)が「居間など主たる居住室の採光に不満がある」と回答しています。
これは、単に窓の面積などの基準を満たすだけでは、必ずしも明るいとは感じられないことを示しているといえるでしょう。窓の方角や、目の前に隣家やマンションがあるかといった周辺環境によっても、実際の光の入り方は大きく左右されます。暮らし始めてから「想像していたより外から光が入らず、リビングが暗い」と感じてしまったり、次項で紹介するようなデメリットが生じたりしないように、家を決める際や住まいづくりをする際にはリビングの採光についてしっかりと考慮しておきましょう。
Part2日当たりが悪いリビングのデメリットとは?

太陽光をリビングに効果的に取り込めないと、どんなデメリットがあるのでしょうか。家族が一緒に長い時間を過ごす部屋だからこそ、健康、家計、衛生といった面で見逃せない影響が生じるようです。
生活リズムが崩れる
人間の心と体には「日の出とともに活動を始め、日の入りとともに寝る」、大昔の生活リズムが刻み込まれているといわれます。ほぼ1日の周期で体内環境を変化させる「体内時計」と呼ばれる機能が備わっていて、周囲の環境の「明暗」によってズレを調整する働きがあるようです。朝の強い光は体内時計を早め、逆に夜の光はこれを遅らせる※2ため、「夜なかなか寝つけない」「日中頭がぼーっとしてしまう」といった不調がある場合は、朝早めに起きて明るい日差しを浴びると良いでしょう。
※2厚生労働省 健康日本21アクション支援システム ~健康づくりサポートネット~
リビングに太陽光が入りにくく、ずっと暗い状態だと、家族みんなが生活リズムを整えるのが難しくなってしまうかもしれません。また、太陽光に含まれる特定の波長には、心の健康を保つために重要な働きをする神経伝達物質「セロトニン」の分泌を促す働きがあります。太陽光をあまり浴びないと気分が落ち込んだり、ストレスを感じやすくなったりする可能性もあります。心身の健康を維持する自律神経を整えるために、太陽光が入る明るい部屋で過ごすことは大切な要素なのです。
光熱費が増加する
採光がうまくできないために部屋が暗くなってしまうと、夜間だけでなく昼間も照明を点灯させる必要が出てきます。家族の共用スペースであるリビングは、家の中で使われる頻度が高い傾向があり、そのリビングが暗いと電気代が増えてしまう可能性があります。家族の人数が多かったり、家で仕事をしたりするケースでは、照明の点灯時間が長くなるだけでなく、照明器具もたくさん設置することになり、大きな影響があるかもしれません。
また、日当たりが悪いと太陽からの日射熱も室内に取り入れることができず、冬場は温度が上がりにくくなるため寒くなりがちです。部屋を暖めるためにエアコンや床暖房などの使用時間が長くなり、暖房費用が増えることもあるでしょう。
カビが発生しやすくなる
日差しが入らない、暗いリビングは湿気がたまりやすく、風通しが悪い場合はカビが生えることもあります。梅雨の時期や蒸し暑い夏場はもちろん、暖房で結露が発生する冬場も注意した方が良いでしょう。カビはダニが増える要因ともなり、アレルギーの症状やぜんそくの症状を引き起こすため、小さな子どもや高齢者がいる家族は特に用心しなければなりません。また、長期間にわたって建物に湿気が蓄積されると、木造の構造部分が劣化したり、白アリの被害にあったりする恐れもあります。
太陽光は、湿気を取り除いてリビングを乾燥させるだけでなく、紫外線による殺菌効果も発揮します。家族が健康で安心して暮らすために、日差しの入る明るいリビングは重要なポイントになります。
一方で、強すぎる直射日光には注意も必要です。カーテンや家具の色あせを招いたり、観葉植物に悪影響を与えたりするほか、時間帯によってはまぶしさを感じるなどのデメリットもあります。採光と同時に、遮光カーテンやブラインドなどで光をコントロールする工夫もしましょう。
Part3リビングが暗くなってしまう原因は?

リビングが日中ずっと暗いと感じられる場合は、原因は一つだけでなく、複数あるかもしれません。部屋が暗くなってしまう原因を知り対策をして、明るく快適なリビングを実現しましょう。
窓が小さい・少ない
日本では一般的に南向きの部屋が人気ですが、一日を通して採光を確保しやすいというのがその理由でしょう。南向きの大きな窓を複数設置できればよいのですが、北向きの小さな窓しかなかったり、数が少なかったりすると日差しを効果的に取り込めないかもしれません。ただし、条件が悪いケースでも、窓の方角や位置、高さを工夫したり、天窓を設けたりすることで、明るさを確保できることがあります。あらかじめ採光計画を立てておくことが重要です。
また、窓の位置を考える際には外からの視線についても考慮が必要です。せっかく光を取り込むために大きな窓を設けても、通りや隣家から室内が丸見えでは、結局カーテンを閉め切って過ごすことになりかねません。採光とプライバシーを両立できる窓の配置を検討することも意識しましょう。
窓の大きさ、位置、数などにより、部屋の中に入る日差しの量は大きく変わります。一方で、むやみに窓を増やしても、部屋の断熱性能が下がってしまったり、家具を置くための壁がなくなってしまったりと、住み心地という点では逆効果になる場合もあります。ハウスメーカーや設計事務所によっては、プランニングの段階で、採光のシミュレーションを行ってくれることがあります。住宅建築にかかる費用全体に対して、窓を設置するための費用は意外と大きな割合を占めます。費用対効果という観点からも慎重に検討すると良いでしょう。
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隣家によって光がさえぎられている
都市部では隣家との距離が近いケースが多く、周囲の建物や塀などが太陽光をさえぎることがあり、日照条件に大きく影響してきます。太陽高度が低くなる冬場は特に条件が悪くなりがちで、1階リビングの奥に光が届きにくい状態になることもあるでしょう。リビングの窓のすぐ目の前に隣家の壁が迫っていたり、南側に高層マンションが建っていたりするケースでは、日中のほとんどの時間帯で直射日光が入らないこともあるかもしれません。
家を建てる際には、隣家の高さや窓との位置関係など、周辺環境の影響を踏まえた設計を行う必要があるでしょう。ちなみに、隣家の外壁色が黒や濃色の場合は、太陽光の反射が弱まり周辺が暗くなることがあります。そんなときは外からの光が少ない前提で、室内を明るくできるよう工夫した方が良いでしょう。また、暮らし始めてから、思いがけず近くに高層マンションが建設されることもあります。すべての条件をコントロールすることはできませんが、将来的な可能性を含めて検討することが大切です。
内装の色が暗い
窓から入ってきた太陽光は、壁、床、天井に反射することで部屋全体に明るさが広がっていきます。そのため、壁紙や床材、カーテンなどのインテリアが、黒や濃い色合いで光を吸収しやすい素材だと、リビングが暗い印象になってしまいます。窓の近くは明るいのに、奥の方が暗いと感じられるときは、光が室内で反射しにくい状態になっているかもしれません。窓から入る光の量だけでなく、家具や家電の配置、インテリアの色合いや素材の選び方にも注意した方が良いでしょう。
Part4部屋を明るくする方法を解説

窓の配置や間取りの工夫、インテリア、照明の選び方などで、リビングを明るく開放的な空間にできます。大掛かりなものから簡単なものまで、その方法について紹介しますのでぜひ参考にしてください。
窓を工夫する
太陽光を取り込む一番シンプルな方法は、窓を大きくする、もしくはたくさん設けるということです。大きな窓は明るさを感じられるだけでなく、視線が抜けることで空や庭を眺めることができ、気持ちをリラックスさせる開放感も手に入れることができます。部屋の奥までたっぷり光が届くようにしたいなら、「天窓(トップライト)」や「高窓(ハイサイドライト)」もおすすめです。これらは高い位置にあるため、道路や隣家からなどの視線をかわしながら光を取り入れることができます。

天窓は、空から直接光を取り込むことができます。高窓は、部屋の高い位置から入った光が、天井や壁に反射しながら広がるため、より明るさを感じやすくなります。特に吹き抜けなど高さのある空間に高窓を設けると、光が拡散されて室内全体を明るくする効果が増すようです。
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さらに、天井を高くして、床から天井まである窓を取り入れてみるのもおすすめです。窓が高くした天井まで伸びることで、空とのつながりが生まれ、たくさんの光が降り注ぎます。視界が縦にも広がるので、空間全体がぐっと広く、伸びやかに感じられる効果もあります。
また、都市部の密集地ですぐ近くに隣家があると、外の視線が気になり窓のカーテンを閉めたままになりがちです。そんなケースでは、視線が入りにくい低い位置に「地窓」を設けたり、防犯性もある細長い「スリット窓」を設けたりすると良いかもしれません。小さな正方形の窓を縦横2つずつ、合計4つ並べれば、採光を確保しつつ外観デザインのアクセントにもなります。また、スリット窓と聞くと、縦に配置するイメージを持たれることが多いかもしれませんが、横に設置するケースも見られます。壁の上の部分に横向きのスリット窓を設置するのも採光に効果的です。さまざまな形の窓を効果的に配置することで、明るいリビングを実現しましょう。
間取りを工夫する
リビングのスペースを広くするとそのぶん壁面も増え、窓を大きくしたり、窓の数を増やしたりすることができます。間取りを決める際は、なるべく部屋を細かく区切らないことを意識すると良いかもしれません。
また、隣家で日差しがさえぎられそうなときは、リビングを採光条件の良い2階に移動させる方法もあります。道路を歩いている人の視線が窓から入らないので、プライバシーも確保しやすく、立地によっては空や遠くの景色を眺めて楽しめるでしょう。2階リビングにするときは、家事のしやすさも考慮して、キッチンやダイニング、洗濯場なども2階にまとめるとよいようです。

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インテリアを工夫する
インテリアを、光を反射しやすい白やベージュなどの色・素材でコーディネートすることで、リビングを明るく広々とした雰囲気に変えられます。特に面積が大きな壁紙や床材、ラグ、マット、カーテンなどを明るい色にすると、印象が大きく変化します。
テーブルやチェアなどの家具は高さを抑えたタイプを選び、窓からの光をなるべくさえぎらない場所に置くのもポイントです。また、大きな鏡を置くことができれば、光を反射してリビングを明るくするだけでなく、奥行き感も生まれて広さを感じられます。ただし、万が一の地震や衝突による転倒・破損を防ぐため、壁にしっかり固定したり、飛散防止フィルムが貼られたものを選んだりと、安全対策には十分配慮してください。窓のまわりにものを置かないようにする、窓ガラスの清掃をこまめに行うようにするなどして、日差しを最大限に取り込むことも忘れないようにしましょう。
照明を工夫する
窓からの採光が難しいときは、Part2で見たようなデメリットの解決にはつながりづらいですが、照明の工夫でリビングを明るくすることができます。中央から照らすシーリングライトだけでなく、明るさを補いたい場所にダウンライトを埋め込んだり、家具の背面にやわらかな光が広がる間接照明を設置したりして、複数の照明効果をいかすのがおすすめです。光色が電球色タイプのランプは温かみがあるものの、暗いと感じる人もいるかもしれません。昼白色や昼光色タイプのランプなどとも比較して、好みに合ったもので統一すると良いでしょう。
ペンダントライトは狭い空間だと視線をさえぎり邪魔に感じることもありますが、バランスを考慮して選べば、空間のアクセントになりおしゃれな雰囲気を演出してくれます。照明は部屋を明るくするだけでなく、気持ちをリラックスさせてくれる居心地の良さと密接な関係があるので、その効果をうまくいかしましょう。既存の照明器具が対応している範囲でワット数の大きな明るいLEDランプに変えたり、フロアライトを追加して照明の数を増やしたりする方法なら、すぐに実行でき、明るさの効果を実感できそうです。
Part5天井まで窓になる「グランフルサッシ」で明るいリビングを

リビングが明るいと、気持ち良く快適に暮らせるのはもちろん、経済面や健康面のメリットもあります。これから住まいづくりを予定しているなら、太陽光が入りやすい大きな窓を設けるのがおすすめです。例えば、大和ハウスのグランフルサッシなら、サッシ枠をスリムにすることで天井近くまで窓にすることができ、光が部屋の奥まで届くので、自然光のあふれる明るい部屋が実現できます。
リビングが暗くならないようにする一番シンプルな方法は、大きな窓を設けることです。敷地の制約でリビングを広げるのが難しい場合でも、天井を高くして天井の高さまである窓を導入することで、たっぷりの陽光が部屋の奥まで届くだけでなく、空へと視線が抜ける開放感も手に入れることができます。大和ハウスのxevoΣ「グランリビング」は、構造強度を高めることで壁や柱が少なく、天井の高い広々とした開放的なリビングを可能にしています。1階または1・2階とも2m72cmの天井高※3が実現でき、天井高いっぱいの大開口「グランフルサッシ」から、部屋の奥まで自然光をたっぷりと取り入れながら、外とつながる開放感を実現できるので、ぜひチェックしてみてください。
まずは住まいづくりの参考になる、自分たちのイメージに合った、明るいリビングの事例を集めてみることをおすすめします。SNSで紹介されている実例宅の画像や、ハウスメーカーが無料で提供しているカタログなどをチェックしてみましょう。
また、光の入り方や空間の広がりは、実際に体感してみるのが一番でしょう。住宅展示場のモデルハウスなら、窓の大きさや明るさ、そして心地よさを肌で感じることができます。ぜひお近くの展示場へ足を運び、理想の暮らしをイメージしてみてください。家族が自然と集まる、大きな窓のある明るく居心地の良いリビングを実現しましょう。
※3xevoΣの天井高は2m40cm、2m72cm、さらに2m80cm、3m8cmと3m16cm(1階のみ)の仕様を選ぶことができます。
天井高については間取りや建設地、建築基準法(法令)等により、対応できない場合があります。
お話を伺った方
住宅アドバイザー
大塚 有美さん
住宅情報誌の編集職を経て、フリーランスに。現在「住宅とその周辺」をテーマに雑誌などを中心に活動中。住み手の目線から長く暮らせる家を探求している。
















