Part1トイレ作りは難しい?
家族全員が毎日使うところなのに、家づくりで間取りを考えるときには後回しにされがちなトイレ。現在のトイレ事情に対するアンケート調査をもとに、家の中での位置や広さなど考えるポイントをまとめました。
現在住んでいる住宅のトイレ事情を聞いた大和ハウスのアンケート調査(※1)では、トイレに満足している人の割合は7割近く(「とても満足している」「やや満足している」の合計)。また、トイレで考え事をしたり、本・新聞を読んだり、スマートフォンなどで動画を見る・メッセージをやり取りするといった人も全体の半数を占めています。中には、「イライラを落ち着かせ、嫌な気持ちごとトイレに流してスッキリしたいので、トイレで気分をリセットしている」「家族に邪魔されずにスマートフォンをゆっくり操作したいときにトイレに行く」といった声もあり、トイレは用を足す以外にも、快適に過ごすための空間として考える必要がありそうです。
一方、トイレについての不満では「寒い、もしくは暑い」が36%、「狭い」が27%と快適に過ごせないことが不満の上位になっています。冷暖房が十分でないトイレは夏は暑くて冬は寒く、特に冬には急激な温度変化で起きるヒートショックによる健康被害も考えられます。
夜中トイレに行くときに、寒さですっかり目が覚めてしまったといった経験がある方も多いのではないでしょうか。これから家づくりをするならトイレ内の温度変化が起きにくい工夫や広さの検討も大切です。
さらに、汚れやにおいが取れない、掃除がしづらいといった衛生面での困り事、音が気になるなどプライバシー面の悩みも不満点となっています。他にもトイレを設置する位置もいろいろ考えられます。水回りをまとめられる洗面所・浴室の近く、出かける前や帰ってすぐに利用しやすい玄関近く、寝室近くや家族が集まるリビング近くなど、生活動線のどこに置くかは家族構成や生活スタイルをもとに考える必要があります。
Part2トイレの位置はどこがいい?間取り3選!
トイレの位置は暮らしにどう影響するのでしょうか?ここでは3つの間取り例をもとに、生活する中で感じるメリット・デメリットを解説します。
トイレが玄関に近い間取り

玄関の近くにトイレを設置すると、出かける前や帰宅後にトイレをすぐ利用できるほか、来客がトイレを使うときに家の奥にまで入ってもらわずにすみます。また、リビングやキッチンなどの生活空間とある程度の距離を置けるので、音やにおいが気になりにくいのもメリットです。
ただし、玄関先からトイレのドアの開け閉めで便器が丸見えになったり、玄関に来客がある際に音が聞こえたりしないように、玄関とトイレの位置やドアの向きを配慮する必要があります。また、玄関の近くのトイレは冬場に冷えがちになるので、断熱性能の高い家かどうか確認が必要になるでしょう。
トイレが洗面所に近い間取り

洗面所や浴室の近くにトイレがある間取りでは、リビングやキッチンから目につきにくい位置にトイレを配置できる場合が多い、トイレから出てすぐにしっかりと手洗いができるなどがメリット。水回りがまとまっているため日常動線がシンプルで使い勝手が良いだけでなく、上下水道の配管がまとまり、コストを抑えることができる点も魅力です。
しかし、家族が洗面所を使っているときはトイレに出入りしにくい、ゲストがトイレに入るときに洗面所を通らないといけない、といったデメリットも考えられます。
寝室に近い間取り

寝室の近くにトイレを設けると、就寝前や起床後、夜中などにトイレに行くときにも便利です。夜間使用時に足元を見えやすくなるため、フットライトなどを導入するとより快適に使えるかもしれません。また上記の間取りでは、リビングや玄関とも比較的近くて利用しやすいのもメリットでしょう。
ただ、においや音は家族が行き交う廊下に漏れてしまう可能性も考えられますし、来客時にトイレを使ってもらうとき家の奥に案内することが気になる人もいるかもしれません。

間取りの中でトイレの代表的な位置を3タイプご紹介しましたが、ほかにもトイレの位置にはバリエーションがあります。どのような位置が使いやすそうか、さまざまな間取りを見て検討してはいかがでしょうか。
Part3トイレが寒い!トイレの寒さ対策3選
暑さ対策も併せてご紹介
前掲のアンケート調査でトイレの不満の1位だった「寒い、もしくは暑い」。特にトイレの寒さはヒートショックによる健康被害も考えられます。そこで、家づくりのときから考えたい寒さ対策を、夏の暑さ対策と併せてご紹介します。
暖房器具・サーキュレーターを
設置する
便座に座ったときにヒンヤリ感を感じたことがある方も多いのではないでしょうか。これを軽減するには暖房便座を使うといいでしょう。またトイレ内を全体的に暖めるなら、小型のヒーターを導入することも考えられます。トイレに入った後に電源を入れても早く暖められるタイプのほか、設定した室温や人感センサーによって自動で電源をON/OFFしてくれるタイプなどもあります。

また、夏場の蒸し暑さ対策には、サーキュレーターなどで空気を動かして換気を補助する方法もあります。トイレは狭く熱気がこもりやすい場所のため、空気が流れることでムッとした感じがやわらぐことがあります。季節に合わせて器具を使い分けられるよう、トイレ内のコンセントの位置や数も確認しておくと良いでしょう。
窓をカーテンなどで断熱する
トイレに窓がある場合は、外の寒さが伝わりにくくなるよう断熱カーテンを利用する方法があります。また、窓の断熱性能を高めたい場合は、複層ガラスや内窓の設置なども検討するとより効果的です。また、窓の断熱性を高めることで、冬の冷気を防ぐだけでなく、夏の強い日差しや熱気を抑える暑さ対策にもなります。
ただ最近は住宅の換気性能が向上したことで、トイレに窓を設けない戸建て住宅も増えています。日中は自然光が入る、開放感が加わるといった窓がある場合のメリットと、断熱性能やセキュリティの確保など、窓がないときのメリットもあります。どのような暮らし方を重視するかによって、トイレに窓を設けるかどうかを検討するとよいでしょう。
家の断熱性能を高める
家づくりの段階で住宅全体の断熱性能を高めておくと、冬でもトイレの寒さを感じにくくなります。家全体の断熱性能が高ければ、部屋から廊下、トイレへと移動する際の温度差が小さくなり、「ヒートショック」と呼ばれる、寒暖差による体への急な負担を軽減しやすくなります。また、高断熱の家は外気の影響を受けにくいため、冬の寒さはもちろん、夏の厳しい暑さも軽減し、一年中快適なトイレ空間を実現できるでしょう。
大和ハウスの注文住宅、セミオーダー住宅「Smart Made Housing.」では、「断熱等級6」が標準仕様となっています。トイレの寒さ対策はもちろん、夏の暑さ対策にも有用ですのでぜひチェックしてみてください。
Part4後悔しない快適なトイレ作りのポイント

トイレの位置や数は、暮らしの満足度を左右する重要なポイントです。家づくりの初期段階で、家族の人数やライフスタイルを踏まえてメリット・デメリットを整理し、何を優先すべきか検討しましょう。また、使い勝手や掃除のしやすさなど、快適性を高める設備選びも大切です。
動線
トイレの位置は玄関の近く、洗面所の近く、寝室の近くなど、それぞれにメリット・デメリットがあるため、家族のライフスタイルや生活動線に合わせて検討することが必要です。
例えば出かける準備を終えた後でトイレを利用することが多い人、帰ってすぐにトイレを使いたい子どもがいる家庭などは、玄関近くのトイレを検討するといいでしょう。また特に高齢期になると夜間の動線はできるだけ短い方が安心です。少し先のことを考えて寝室近くにトイレを設けることも考えられるでしょう。さらに寝室近くのトイレは、就寝前にトイレに行く、起床後すぐにトイレに行くという生活習慣の人にもマッチしています。
におい・音
特にリビングと直結したトイレなどではにおいや音が気になることもあるでしょう。それを避けるにはリビングや寝室のような生活空間から離して玄関近くに配置する、生活空間との間に廊下を設けるといった工夫が必要です。
また、2階以上にトイレを設けるときは一般的に配管を1階へとつなげるため、トイレの下にどんなスペースがあるかも重要になります。1階も同じ位置にトイレがあれば問題ありませんが、リビングや寝室などの上にあると、2階でトイレを使ったときに排水管から音が響くことも考えられるので注意しましょう。
数
前掲のアンケート調査では、トイレの満足度はトイレの数によっても違っていました。満足している人の割合は、全体では67%でしたが、1カ所の場合は58%、2カ所では76%、3カ所以上では84%と、特に1カ所と2カ所では満足度の違いが大きくなっています。
例えば家族が毎日同じような時間帯に登校・出勤するなら、朝にトイレが混みあうことも多いでしょう。各階にトイレがあると、混雑を避けやすくなります。また2階建て以上の建物で2階に寝室があるのにトイレが1階にしかない場合、夜間に階段を下りたり上ったりするのは面倒で、転落のリスクも伴います。
トイレに対する満足度、将来の家族構成、高齢になってからのトイレの使いやすさなども考えて、トイレは各階に設置するのがよいでしょう。
広さ
トイレの中に手洗い場や収納スペースを設ける場合には、通常よりも幅や奥行きに余裕が必要になります。このほか少し広めの方が体を動かしやすく、立ち座りや服の着脱動作がスムーズになり、掃除の際にも作業がしやすくなります。
さらに車椅子でも入れるようにするためには1.5畳~2畳程度の広さが必要です。将来のことも考えながら、どの程度の広さが必要なのか、あらかじめ知っておく方がいいでしょう。
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ドア
住宅ではトイレのドアを外開きにするケースがよく見られます。万が一、トイレの中で体調を崩した場合でも、外開きであれば外側から開けやすく、対応しやすいためです。また、車椅子のままトイレに入る場合、内開きだと室内で十分なスペースが確保しにくいことがあります。
トイレのドアを引き戸にする方法もあります。引き戸を取り付ける袖壁が必要ですが、引き戸ならドアを開けておいてもトイレの外側でも内側でも邪魔にならず、車椅子の利用により適しているといえます。

内装材
トイレの内装材には水に強く、汚れがつきにくく、掃除がしやすい素材を選ぶとお手入れが楽になります。床材はクッションフロアやパネルなどが掃除をしやすくおすすめです。また、タイルは汚れにくく耐久性が高い一方で、冬場は床が冷えやすい点には注意が必要です。
最近では、防臭効果があるタイプや水拭きができる内装材などもあり、汚れが気になりにくい素材を選べば、ベージュやアイボリー、薄いグレーなどの定番色に限らず、色の選択肢も広がって、トイレをより快適に楽しむこともできます。
また、将来的に手すりを設置できるよう、壁の中に下地を入れておくのもおすすめです。
照明
家族みんなが使うトイレでは、電気がつけっぱなしになってしまうことも少なくありません。それを見つけるたびに電気を消しに行ったり、消し忘れを気にしてストレスをためたりすると、トイレの使い勝手とは直接関係がないところで快適性を損ねてしまいます。そんなストレスをなくすためにも、人感センサー付きの照明にするのもおすすめです。電気の消し忘れが防止できるだけでなく、手を洗った後にスイッチに触れずに済むので衛生的です。

収納
トイレの中には予備のトイレットペーパー、生理用品、掃除用具一式、消臭スプレーなどを置いてあるのが一般的です。そのため収納スペースは不可欠で、トイレの奥側に棚を設けたり、手洗い場の下を収納にしたりすることも多いでしょう。また市販の突っ張り棚を使って、トイレの上部に収納スペースを設けることもできます。
Part5適切な間取り・温度対策で、快適なトイレ空間を
家族が毎日使うトイレが快適でないと、生活の満足度を下げてしまうかもしれません。
快適なトイレをつくるためには、家族構成やライフスタイルを考慮した間取り計画が不可欠です。家づくりを考える際には、リビングとの距離、将来的な介護の可能性、朝の混み具合など、具体的な生活シーンを想像しながら後悔しないためのトイレの間取りを計画しましょう。
ただ、トイレを含めた間取り計画といっても、最初のうちはどんな位置や広さが適しているか分からないもの。そんなときは、これまでに建てられた家の間取りを参考にして考えてみませんか。
大和ハウスの「Smart Made Housing.」は耐震性や断熱等級6などの性能の高さと、コストパフォーマンス、住み心地を備えた規格住宅・セミオーダー住宅。大和ハウスがこれまで建てた何万件ものプランのうち人気の間取りを厳選してデータベース化してあり、こだわりの条件検索をもとに間取りを探せます。トイレの位置や広さなども間取りによって異なるため、さまざまな実例を見ることで使いやすいトイレを考えるヒントになるはずです。
選んだ間取りをそのまま規格住宅として建てることも、自分好みのカスタマイズを行いセミオーダー住宅として建てることも可能です。専用サイトで簡単な登録をするだけで、2,000以上の間取りをすべて見られるので、家づくりを進めるうえで具体的なイメージを持ちやすくなるでしょう。
お話を伺った方
井上 恵子さん
住まいのアトリエ 井上一級建築士事務所 所長。日本女子大学家政学部住居学科卒業。京都芸術大学大学院芸術研究科修了(MFA/芸術修士)。総合建設会社勤務を経て独立。集合住宅や保育施設などの設計・工事監理に携わる。現在は実務に加え、住まいや暮らしに関するセミナー講師、建築・防災関連の記事執筆・監修など、「伝える建築士」としての活動にも力を入れている。
















