在宅勤務やステイホームでおうち時間が増え、
ペットと一緒に過ごす時間も増えたという方は多いのではないでしょうか?
いつでもペットの可愛らしい姿に癒され、ペットも飼い主と過ごせて寂しくない。
そんなメリットの一方で、家での過ごし方や生活リズムが変わり、
予想外の事故が起きているという声も。
今回は、ペット共生住宅管理士の資格を持つ平野直子さんに、
人とペットが安心・安全に暮らすための工夫や、
住まいづくりのポイントについて聞きました。
在宅勤務の時に注意すべきこと
休日などのオフタイムは気持ちにゆとりがあるため、ペットの行動も把握しやすいでしょう。ですが、在宅勤務で仕事に集中していると、ペットの様子に気づきにくくなることがあります。ペットには仕事中かどうか分からないため、飼い主が注意してあげる必要があります。
気をつけたいのが、家具などの転倒や机上の物の落下です。事故が多いのがテレビやパソコンで、ぶつかったりコード類に引っかかったりすることが原因といわれています。在宅勤務では電源コードを使ってノートパソコンを使用する、スマートフォンを充電するといった場面が増えるため、コード類には特に注意をしましょう。
仕事に集中しているとペットに対する意識がおろそかになり、足元に座っているのに気づかず踏んでしまう、換気のために開けている玄関や窓から飛び出してしまうなど、ふとした瞬間に事故が起きることがあります。ペットに配慮した行動を取りやすいよう、家での過ごし方を工夫できるとよいかもしれません。
ONとOFFを明確にして、ペットのストレスを軽減
飼い主が自宅にいるのに構ってもらえない、という状況はペットにとってストレスになり、時には問題行動につながることもあるようです。ONとOFFの切り替えを意識して暮らせるとよいでしょう。ペットが遊んでもらえない状態が長時間続かないよう、50分仕事をしたら10分休憩し、その時に触れ合うなど、ルーティンを決めるのがおすすめです。
お互いにとってよい気分転換になりますし、習慣として続けることで、ペットの生活リズムが定まります。飼い主が仕事用の服に着替えることで状況を察して、静かになるペットもいると聞きます。ペットの性格や状況に合わせて、様子を見ながらよい方法を見つけましょう。
ペットの危険につながる、気をつけたいもの
普段何気なく使っているものの中に、実はペットにとって危険なものがあります。新しい生活様式で、特に気をつけたいものをご紹介します。
除菌グッズは
アルコール不使用のものを
今や欠かせない除菌グッズですが、アルコールを使用したものが一般的です。しかし、犬や猫はアルコールを分解する酵素を持たないため、中毒になる可能性があり危険です。ペットに優しいという表示があるものや、ノンアルコールのものを選びましょう。殺虫剤などの薬剤、アロマグッズなどにも注意が必要です。
食べ物ゴミに注意!ゴミ箱は蓋付きに
家で食事をする機会とともに、食べ物にまつわるゴミも増えたのでは。ペットは食べ物のニオイがするものは、何でも口に入れてしまいがちです。焼き鳥の串やアイスの棒、食べ終わった後のフライドチキンの骨などを食べてしまう事故が実際に起こっています。急いで食事を済ませて仕事に戻るときでも、後片付けは必須。ゴミ箱はペットが開けにくい蓋付きのものがよいでしょう。
観葉植物はペットに害がないか調べる
最近、人気の観葉植物の中には、ペットが口にしてはいけない植物があります。ポトスやポインセチア、アロエ、ユリ科の植物などは、口に入れると炎症を起こし、下痢や嘔吐のほか、腎機能にダメージを与える場合があります。毎日の暮らしに潤いを与えてくれる植物ですが、ペットにとって害がないものを購入するか、ペットが触れることができない場所に飾ることをおすすめします。
ペットとのおうち時間を安心・快適にする工夫
玄関につながる通路にゲートを設置
宅配便や来客時など、急いでいて部屋のドアを閉め忘れると、玄関までペットがついてきてしまうことがあります。玄関からペットが飛び出してしまう事故を防ぐには、飛び出しを防止するゲートを設置するのがおすすめです。設置場所に適した大きさや種類を選び、ペットが自分で開けてしまうことのないようにします。
食べ物や危険の多いキッチンには
近づけない
調理器具やストック食材など、キッチンはペットが興味を持つものでいっぱいです。火や熱湯、油、包丁など、危険なものを扱う場所でもあるので、ペットがキッチンに入って来られないようゲートなどを設けるとよいでしょう。
食材は使ったらすぐに冷蔵庫や扉付きの収納などに片付け、ペットがいたずらしたり、食べたりできないようにします。ブドウやレーズン、チョコレート、キシリトールなどは、実はペットにとって中毒性のある危険な食べ物。お菓子も出しっぱなしにせず、しまうことを習慣にしましょう。
可変性のある間取りが過ごしやすい
飼い主とペットは、互いの様子が見えると安心できるもの。たとえば、ペットの居場所と隣接するワークスペースとの間に引き戸を設け、必要に応じて開放してつなげたり、独立させたりできる、可変性のある間取りが便利です。引き戸が半透明の素材なら、ペットの気配を適度に感じながら仕事ができ、休憩時間はオープンにして広いスペースで一緒に遊んで過ごせます。
危険なコンセントは、まとめる・しまう
感電や火災などの事故につながるコンセントは、ペットがなるべく触れないように「まとめる・しまう」ことが大切です。コード類をまとめられるラックや、束ねておけるスパイラルチューブなどで手軽に対策が可能です。また、コードが内部に収納できる構造になっているデスクや、TVボードなどを利用するのもおすすめです。
理想的なのは、コンセントを床から離れた高い位置に設置したり、壁の窪みに埋め込んだりして、ペットが触れられないようにすること。住まいづくりの段階で設置できれば、安全なだけでなく見た目もスッキリします。また、コンセント埋め込み型Wi-Fiアクセスポイントなどを利用すれば、インターネット関連の配線や装置も邪魔になることがありません。
雑貨などの小物も
すべて収納に片付ける
子犬や子猫の時期は好奇心が強く、何にでも興味を持っておもちゃにして遊び、口の中に入れてしまいます。ティッシュや在宅勤務でよく使うイヤホンなどの細かなものにも注意が必要です。使うもの以外は表に出さないようにして、扉や引き出しがある収納にしまうようにしましょう。
お掃除ロボットは専用スペースに収納
ペットの毛なども掃除してくれるお掃除ロボットはとても便利。しかし、ペットにとっては非常に好奇心をそそる存在です。遊ぼうとじゃれたり、叩いたりして壊してしまう可能性があるので、使わない時間は収納しておきましょう。コンセント付きの専用収納スペースを設け、出入りできる構造にすれば、時間を設定して自動清掃もできるので便利です。
ペットとのおうち時間をより楽しむための住まい
ペットが安心・安全に暮らすためには、行動を制限するだけでなく、思い切り遊べる場所を用意して、ストレスなく過ごせる環境をつくることが大切です。そんな住まいを自分たちで完成させることもできますが、さまざまなペットと快適に暮らせる住まいづくりで実績とノウハウのあるプロに相談するという方法もあります。ダイワハウスなら「エクセレント インテリアコーディネーター」に相談が可能ですので、下記のようにペットの習性に合わせた住まいのあり方を一緒に考えるのもよいかもしれません。
猫の場合
猫はどこでも高いところに登っていきます。調理器具を置いているキッチンや薄型のテレビ、小物が置いてあるテーブルなどに飛び乗ってしまうと、重大な事故につながることも。なるべく人の生活空間と分けて、遊び場を設けられるのが理想です。
渡り廊下やキャットウォーク、猫用の階段などの自由に遊べる場所や爪研ぎ、日光浴のスペースなど、習性に合わせた居場所を設けられるとよいでしょう。ダイワハウスでは、キッチンに入れないようにする間仕切りやゲート、きれい好きな猫が快適にトイレをできる設備などを用意しています。
犬の場合
犬の場合は庭にドッグランを設けるなど、活発に遊べるスペースを用意できるとよいでしょう。敷地の都合で難しい場合は室内で動き回って遊べるよう、人の家事動線と分けたうえで、犬のために長めの動線を確保するのがおすすめです。
上り下りしやすい段差の低い階段、ひっかき傷や汚れに強く滑りにくい床材、気になるニオイを抑える空気清浄機、ペットゲートなどを備えれば、一緒の暮らしがより快適になります。ダイワハウスでは、リードやお散歩バッグをしまう土間収納、グルーミングスペースとして使える洗面室なども提案しています。
まとめ
おうち時間が増えてペットと一緒に過ごせるのは幸せなこと。しかし、在宅勤務中など、飼い主とペットの双方が落ちつかない状態になることがあります。そんな時に起こる事故を防ぎ、ストレスなく暮らせる工夫をぜひ取り入れてみましょう。ペットと人が安心・安全に過ごせることはもちろん、一緒の時間をもっと楽しいものにする、そんな住まいづくりについて考えてみてはいかがでしょうか。
Profile
ペット共生住宅管理士
平野 直子さん
ワークライフ&マネーバランスの実現を支援するFP。夫・平野泰嗣さんとともに、夫婦FPとしても活動中。相談・執筆・講演を通して、その人らしい理想のワークライフバランスとマネーバランス=「ワークライフ&マネーバランス」を実現できるようサポート。宅地建物取引士、ペット共生住宅管理士、ファイナンシャルプランナーCFP(R)。