大きな地震や激しい大雨など、突然身に降りかかる災害は、
私たちの日常を大きく変えてしまうかもしれません。
9月は、防災を意識するきっかけとなる「防災月間」です。
この機会に、ご家庭の備えだけでなく、
いざという時に愛猫をどう守るかについても改めて考えてみませんか?
今回は、地域防災や減災の啓発に取り組まれている、
一般社団法人ひとtoペット理事長 西村 裕子先生に、
「愛猫のための防災」についてお話を伺いました。
もしもの時にパニックにならないために。
家の中でできる備えを
災害時、猫は大きな揺れや音に驚いてパニックを起こし、思わぬ行動をとることがあります。特に室内飼育されていることが多い愛猫は、環境の変化に敏感で、突然の出来事に強いストレスを感じやすい傾向も。だからこそ、普段から「防災・減災」の視点で、家の中を愛猫にとって安心できる場所に整えておくことが大切です。

家具の固定と、危険な隙間の対策
家具の転倒やガラスの破損などは、愛猫の負傷や脱走の原因になります。また、家具の隙間やドラム式洗濯機の中など、愛猫が入り込みやすい場所は、日頃から侵入できないように対策をしておきましょう。災害後に愛猫が隠れて見つからなくなるケースもあるため、「安心してこもることができ、安全が確保されている場所」をあらかじめ用意しておくことが重要です。
安心できる「隠れ場所」を用意する
パニックになった猫は、本能的に隠れようとします。その際、逃げ込める場所が決まっていないと、かえって危険な場所に入り込んでしまうことも。おすすめは、キャリーケースを普段から部屋に置いておき、中でおやつを与えたり寝床として使わせたりして慣らしておくことです。いざという時の避難にもスムーズに対応できます。
脱走・迷子対策も忘れずに
猫は警戒心が強いため、災害時はパニックになって逃げてしまったり、隠れてしまったりして人間に捕獲されにくい場合があります。さらに室内飼育の愛猫は首輪をしていないことも多いので、保護されても飼い主さんのところへ戻れなくなります。マイクロチップや迷子札、名前入りの首輪を日頃からつけておくことも大切な備えです。

食事・トイレ・避難に備えるための「備蓄」と「慣れ」
もしもライフラインが止まってしまった時、愛猫の命綱となるのが日頃の備えです。特に猫は環境の変化や食事の違いに敏感なため、「備蓄」と「慣れ」の両方を意識した防災・減災対策が大切です。

フードと水は「いつものもの」を
備蓄するフードや水は、愛猫が普段から食べ慣れているもの・飲み慣れているものを用意しましょう。いきなり違うフードになると食べてくれない場合があります。ドライフードや缶詰など、賞味期限の長い製品をローリングストックしながら、常に新しい状態を保つことが理想です。
トイレ用品も「使い慣れたタイプ」で
猫砂やペットシーツも、愛猫が普段使っているものを備蓄しておくのが基本です。ただし避難時に備えて、事前にいくつかの種類に慣れさせておくとさらに安心です。段ボールやシステムトイレを使った簡易トイレも時々試しておくとよいでしょう。
「慣れ」が命を守る!
備えていても、愛猫がいざという時に使わなければ意味がありません。食事、水、トイレ、キャリーケースなど、「いざという時にとまどわない」ように、日頃から少しずつ慣らす練習をしておくのがおすすめです。
住まいの工夫で「普段からできる防災・減災対策」!
災害はいつ起こるかわかりません。だからこそ、「普段の暮らし」の中に防災・減災を組み込んでおくことが、愛猫との安心な未来につながります。そこで、地震や停電、断水といった状況下でも、在宅避難がしやすくなるよう設計された、大和ハウス工業の住宅設備と工夫をご紹介します。
地震への備え
耐震性に優れたエネルギー吸収型耐力壁「D-NΣQST(ディーネクスト)」により、繰り返し発生する大地震による揺れを抑え、地震後のダメージを最小限に抑えることができます。
また、窓ガラスには防災防犯ガラスを採用することで、台風などによる飛来物や地震による衝撃に対して優れた耐貫通性を発揮し、万一破損しても破片がほとんど飛び散らず、室内でのケガを防止します。建物そのものが災害に強く、家族と愛猫の安全を守ります。

耐震性に優れた「D-NΣQST(ディーネクスト)」

防災防犯ガラス
停電・断水時の備え
「太陽光発電」「エネファーム」「蓄電池」などの電源確保の仕組みや、「飲料水貯留システム」による断水対策も備えています。ライフラインが止まっても、できるだけ普段に近い暮らしを維持できることは、人にも愛猫にも大きな安心につながります。
非常時に役立つ収納の工夫
非常時に使う道具は、すぐ取り出せる場所にあることが大切です。大和ハウス工業では、生活動線に考慮した収納など、災害用備蓄品を普段から無理なく備えておける収納設計を提案しています。

これからの住まいに求められる「省エネ性能」
2025年から新築住宅における「省エネ基準の適合」が義務化されたことを受け、大和ハウス工業では、より高性能な「断熱等級6」相当の住宅を標準化。冬は暖かく、夏は涼しい快適な室内環境を実現しながら、省エネにも貢献します。冷暖房効率が高まることで、停電時などの在宅避難中でも、愛猫と過ごす住環境の快適性を保ちやすくなります。

※一部対応できない商品があります。
やむを得ず家から出ることになったら…
愛猫に優しい避難の工夫
命を守る行動を優先した時に、避難所や車中泊、屋外での避難生活を選ばざるを得ない場合もあります。愛猫と一緒に避難することも想定し、事前にできる準備を整えておくことで、大きな安心につながります。

避難先の選択肢を複数持っておく
まずは、自宅周辺のハザードマップや自治体の防災情報を確認し、ペットと一緒に避難できる「同行避難所」があるかどうかを調べておきましょう。指定避難所以外にも、親戚や知人宅、猫を飼っている友人の家など、いざという時に頼れる場所が複数あると安心です。
避難生活のストレスをやわらげる工夫
避難所や車中泊では、愛猫が慣れない環境に強いストレスを感じることがあります。そのためにも、キャリーケースやケージは、普段から慣れさせておくことがやはり大切です。愛猫のニオイがついた毛布やおもちゃを一緒に入れてあげることで、落ち着きやすくなります。ケージは布などで覆い、周囲の視線や音を遮るだけでも、愛猫の安心につながります。
情報カードも準備
愛猫の名前・年齢・性別・持病・かかりつけ動物病院・飼い主の連絡先などを記載した「情報カード」をキャリーにつけておくと、万が一離れ離れになってしまった場合にも役立ちます。飼い主の顔と愛猫が一緒に写った写真も用意しておくと、身元確認にもつながります。

いかがでしたか?災害はいつ起こるかわかりません。だからこそ、日頃から少しずつ「愛猫のための防災」に取り組んでおくことが、いざという時に愛猫の命を守る力になります。
西村先生によると、「同行避難訓練」を行うこともおすすめ。実際にキャリーケースに愛猫を入れて避難経路を歩いてみる、車での移動を試してみるなど、定期的に練習をしておくことで、本番での行動がぐっとスムーズになります。
もちろん、リスクを調べ安全対策を行ったうえでの自宅避難も、同行避難の選択肢の一つです。「日頃やっていないことは、災害時にはできない」。この意識を持って、備えを実行できるものにしておきましょう。ご自身と大切な愛猫のために、できることを一つずつ始めてみましょう。
記事監修

西村 裕子先生
看護師(人・動物)/ 災害医療学修士 /
一般社団法人ひとtoペット理事長 / 日本愛玩動物看護師会地区理事
人と動物の双方に精通した看護師として、看護教育や講演活動を行うほか、動物看護師による危機管理チーム「動物支援ナース」を主宰。現在100名以上の隊員が登録し、地域における防災・減災に「ひとも動物も!(困らない)」を目指して活動を広げている。
名もなきペット家事~ねこ編~
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