大和ハウス工業 吉田:
建材や住空間にセンサーを埋め込んでいく必要があるのではないかという質問かと思いますが、今なら安い車を買ってもオートロックは当たり前ですが、数千万円の住宅を買ってもサッシの開閉センサーさえ付いていないのが現状です。このあたりは、住宅を作ってる側の意識を変えていかないといけないんではないかと思います。
また、センサーを新たに付けるんじゃなくて、家電とか設備に乗ってるセンサーを使う方法もあります。温水洗浄便座をネットワークにつなげば、高齢者の見守りとか、健康チェックもできます。
慶応義塾大学 一色氏:
ソフトウェアベンダーを巻き込むには、いかにお金を回してあげるか、つまり開発コストをいかに下げるかが重要で、プラットフォームをつくることが有効です。また、最終的にはお客様から500円なり1000円なりを頂くモデルを住宅メーカーに作って頂くことに尽きるんじゃないでしょうか。
お茶の水女子大 椎尾氏:
例えば玄関入ってきたらおかえりなさいというソフトを作ろうとしても、玄関についてるセンサーも違うし、家の状況も違うし、簡単には作れない。全ての家でカスタマイズしなくてはいけないところが、産業として成り立たない一つの理由です。標準化することが、最も寄与するのではないかと思います。
今回のシンポジウムは、住宅をカスタマイズすることで、いかに生活そのものを楽しく有意義なものにできるか探ることが目的でした。その将来性をリアルに実感させてくれたのが、第2部のデモセッションです。学生6チームとヤフー!3チームが、スマートハウスを活用する生活サービスのアプリケーションを開発。コンベンションホールでのプレゼン後、デモンストレーションを行いました。
各チームがデモを行う第2部は、学生やエンジニアたちの熱気を帯びたプレゼンで大盛況。家電がリハーサル通りに動かないアクシデントもありましたが、見学者は秀逸なアイデアにうなづいたり、自由な発想に笑いながらも感心したり、大きな収穫になったのではないでしょうか。
すべてのデモセッションが終わった後は、優秀作品の表彰へ。大和ハウス工業、ソニーコンピュータサイエンス研究所、ヤフー!により、学生チームから最優秀賞1チーム、学生賞3チームを選出。企業チームは、会場にいた参加者の挙手で企業賞1チームが選ばれました。入賞チームの名前が呼ばれるたびに歓声が沸き起こり、副賞が発表されると、さらなる大歓声で会場はにぎやかに。主催者から「今日は皆さんのパワーを感じることができ、本当に有意義でした。賞は、アプリを開発した全員にあげたいくらいです」と講評もあり、最後は全員笑顔で一本締め。「産学連携」の言葉どおり、大学や企業、学生たちが一体となり、皆で創り上げたシンポジウムとなりました。
今回の「Costomize Your House!」は、スマートハウスを活用したコンテンツやサービスの新たな可能性を示唆するとともに、開発者たちのコミュニティ形成にも寄与する場となりました。参加者・聴衆の皆様にとって、このシンポジウムが、住宅や生活を自分なりにカスタマイズしようと考える、さらなる力になればと願っています。