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住宅をカスタマイズするためのシンポジウムレポート

Customize YOUR House! ~住宅をカスタマイズするためのシンポジウムレポート~ 2012年12月12日(水) 大和ハウス工業 東京支社 2F コンベンションホール、D'sスマートハウス

Q&Aセッション

Q1. 「過去にあったような各社の囲い込みによる普及の遅れが心配です。回避するためのポイントについて教えて下さい」
慶応義塾大学 梅嶋氏:
ポイントは3つあると思います。一つはECHONET Liteというインターフェースが技術情報的には無償でオープンになっており、世界的にも評価されていること。二つ目は、インターフェースがオープンになる事への恐怖感に対して、我々の頭を切り替えること。三つ目にはスピードですが、今回は過去にないスピードで標準化を行いましたので、そこで足を取られることはないと思います。
普及の遅れが心配ですということに関しては、今回がスマートハウスを離陸させる最後のチャンスだという気持ちでやる必要があります。日本がやらなければ他の国がやります。
Q2. 「スマートハウスのあり方は、完全自動化の方向に進むのでしょうか?」
お茶の水女子大 椎尾氏:
完全な自動化というのは少なくとも間違いだと思います。家がいくら自動化されても、ユーザーが自分でコントロールしてるという気持ちを無くさないようデザインすることが重要です。
ただ、手動と自動化のバランスは結構難しいです。車のオートマがいい例ですが、ユーザーがやりたいのはただ速く走りたいのか、ゆっくり走りたいのかということで、それ以外のところは裏で自動化してあげるというのがその一つの解ではないかと思います。
Q3. 「家のカスタマイズを楽しむコミュニティーをどう育てていくべきでしょうか?」
ソニーコンピュータサイエンス研究所 大和田氏:
コミュニティーが育っていく前提として、それが非常に面白そうだという気持ちになれることが重要だと思います。ただ、どんな楽しさが実現できるかは僕自身もわからないし、皆で知恵を出し合って共有すること、そのための場を設けたり、ツールを充実することが必要と思います。
今回のイベントもその一環ですが、家をカスタマイズするとこんなに面白いということをアピールしていくことが必要じゃないかと思います。
Q4. 「住宅、住設機器と情報通信技術が融合することにより、今後どういうビジネスが考えられるでしょうか?」
神奈川工科大学 一色氏:
21世紀はオープンなプラットフォームにビジネスを賭ける、これに尽きると思います。今までは囲い込めたし、自分の会社の商品を売れば良かった。しかし今後は国内だけの市場では仕事はできません。世界に出したときに、いかにオープンなプラットホームの上に、みんなのビジネスを乗っけられるか。要するに、共通プラットフォームを使い、かつ自分のサービスが特徴づけられれば、皆さんが作ったものが一気に世界の市場に出ていきます。
アメリカはこの分野が得意です。皆さんが使ってるiPadやiPhoneとかも同じハードウエアが世界中で売られていて、同じサーバーにつながってる。これに日本は勝たないといけない。
ですから僕はHEMSに関しては、日本より先にアジアをベースにやってやろうという動いています。ECHONETを搭載したエアコンを世界中に売って、学生が作ったアプリケーションとかで100円稼げば、60億人に売れれば相当な額になりますよ。本質的には、オープンな上でどういうサービスを作るかであり、いかにそうした意識を作るか、場所を用意するかだと思います。
Q5. 「住宅関連の建材や住設機器メーカー、ソフトウェアベンダーを早くから巻き込んでおくことが大事だと思いますが、その辺の取り組みに関して聞かせて下さい。」

大和ハウス工業 吉田:
建材や住空間にセンサーを埋め込んでいく必要があるのではないかという質問かと思いますが、今なら安い車を買ってもオートロックは当たり前ですが、数千万円の住宅を買ってもサッシの開閉センサーさえ付いていないのが現状です。このあたりは、住宅を作ってる側の意識を変えていかないといけないんではないかと思います。 また、センサーを新たに付けるんじゃなくて、家電とか設備に乗ってるセンサーを使う方法もあります。温水洗浄便座をネットワークにつなげば、高齢者の見守りとか、健康チェックもできます。

慶応義塾大学 一色氏:
ソフトウェアベンダーを巻き込むには、いかにお金を回してあげるか、つまり開発コストをいかに下げるかが重要で、プラットフォームをつくることが有効です。また、最終的にはお客様から500円なり1000円なりを頂くモデルを住宅メーカーに作って頂くことに尽きるんじゃないでしょうか。

お茶の水女子大 椎尾氏:
例えば玄関入ってきたらおかえりなさいというソフトを作ろうとしても、玄関についてるセンサーも違うし、家の状況も違うし、簡単には作れない。全ての家でカスタマイズしなくてはいけないところが、産業として成り立たない一つの理由です。標準化することが、最も寄与するのではないかと思います。

Q6. 「実際の機器制御を行う上で安全性への対策についてはどうお考えでしょうか?」
大和ハウス工業 吉田:
先ほどの住宅APIのコンセプトですが、赤外線リモコンの機能をWebベースのソフトウェアで提供しようというものです。別にエアコンのコンプレッサーを直接制御しようという話ではありませんので、安全性は担保されてると思います。
また、もともと住宅内のリモコンやスイッチを統合したいという考えが基本ですので、まず宅内制御があって、外部からの制御については専門家を交えた議論が必要と思います。

デモセッション

今回のシンポジウムは、住宅をカスタマイズすることで、いかに生活そのものを楽しく有意義なものにできるか探ることが目的でした。その将来性をリアルに実感させてくれたのが、第2部のデモセッションです。学生6チームとヤフー!3チームが、スマートハウスを活用する生活サービスのアプリケーションを開発。コンベンションホールでのプレゼン後、デモンストレーションを行いました。

各チームがデモを行う第2部は、学生やエンジニアたちの熱気を帯びたプレゼンで大盛況。家電がリハーサル通りに動かないアクシデントもありましたが、見学者は秀逸なアイデアにうなづいたり、自由な発想に笑いながらも感心したり、大きな収穫になったのではないでしょうか。
すべてのデモセッションが終わった後は、優秀作品の表彰へ。大和ハウス工業、ソニーコンピュータサイエンス研究所、ヤフー!により、学生チームから最優秀賞1チーム、学生賞3チームを選出。企業チームは、会場にいた参加者の挙手で企業賞1チームが選ばれました。入賞チームの名前が呼ばれるたびに歓声が沸き起こり、副賞が発表されると、さらなる大歓声で会場はにぎやかに。主催者から「今日は皆さんのパワーを感じることができ、本当に有意義でした。賞は、アプリを開発した全員にあげたいくらいです」と講評もあり、最後は全員笑顔で一本締め。「産学連携」の言葉どおり、大学や企業、学生たちが一体となり、皆で創り上げたシンポジウムとなりました。

今回の「Costomize Your House!」は、スマートハウスを活用したコンテンツやサービスの新たな可能性を示唆するとともに、開発者たちのコミュニティ形成にも寄与する場となりました。参加者・聴衆の皆様にとって、このシンポジウムが、住宅や生活を自分なりにカスタマイズしようと考える、さらなる力になればと願っています。

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