社会性中期計画(エンドレス ソーシャル プログラム)
当社グループは、創業者精神を基軸とした社会性長期ビジョンの実現に向け、メガトレンドと当社グループのビジネスモデルを念頭においた重要課題を特定しました。
そして、第6次中期経営計画の対象期間(2019~2021年度)に合わせて、3ヵ年の具体的な目標と計画を定め、社会性中期計画「エンドレス ソーシャル プログラム(以下ESP)2021」を策定しました。
社会性中期計画のあゆみ
エンドレス ソーシャル プログラム 2021の全体像
当社グループは、経営理念(社是)にある「事業を通じて人を育てる」の通り、事業の推進と経営基盤の強化の相乗効果を生み出しながら、経営を推進してきました。
エンドレス ソーシャル プログラム 2021では、当社グループにおけるESGのうち「S」(社会領域)に関して、ビジネスモデルとバリューチェーンをふまえ、重点テーマを「6つの基盤の強化」と設定。 各基盤をバランス良く強化していくことで、長期視点での社会変化を見据えた「経営基盤構築」や「ステークホルダーとの関係性強化」を図ります。そして、事業との相乗効果を図ることでサステナブル経営を実現し、ひいては社会のサステナビリティや社会課題の解決に貢献していきます。
マテリアリティの特定ステップは「経営ビジョン実現のためのマテリアリティの特定」へ
重要課題とステークホルダーの関係性について
重要課題に対するステークホルダーから要請や期待について、ステークホルダーの代表として社外有識者からのレビューにより把握し、下記の通り整理しています。
社会性中期計画におけるガバナンスの位置づけ
計画の策定にあたり、 コーポレートガバナンスを「狭義のガバナンス」とし、計画には含めていません。一方、リスクマネジメントや企業倫理・コンプライアンスといった「広義のガバナンス」については「社会性」領域に位置づけています。
広義のガバナンス
経営管理体制の強化と凡事徹底
- 人権マネジメント
- リスクマネジメント(内部統制)
- 企業倫理・コンプライアンス・腐敗防止
- ステークホルダーとのコミュニケーション
- 外部パートナーとの協業
など執行機能に関する項目
当社グループでは「社会性」領域と位置づけ「社会中期計画(エンドレス ソーシャルプログラム2021)」において、重要課題・KGIを設定。
狭義のガバナンス
コーポレートガバナンス
- 取締役会評価
- 取締役の多様性(社外・ジェンダー等)
- 監査役および会計監査人の選任
- 指名諮問委員会
- 報酬諮問委員会
など監督・意思決定機能に関する項目
当社グループでは「社会性」領域と位置づけ「社会中期計画(エンドレス ソーシャルプログラム2021)」において、重要課題・KGIを設定。
重要課題とKGI(経営目標指標)
重要課題については、長期ビジョン(経営ビジョンと社会性長期ビジョン)と6つの基盤に大きな影響を与え、2030年まで継続するメガトレンドをふまえ、16の重要課題とそのKGI(Key Goal Indicator/経営目標指標)を策定しました。
また、16の重要課題の解決に向けて、各本社部門や事業所が実行する具体的な打ち手を「戦略」として58の戦略を策定。「戦略」のプロセス(進捗)を測る管理指標について「戦略KPI」(Key Performance Indicator/戦略プロセスの管理指標)として71の指標を設定しました。
これら重要課題への対応について、サステナビリティ委員会、コーポレートガバナンス委員会を中心とした経営層が監督するとともに、事業所やグループのマネジメント体制に組み込み全従業員が実践していくことで、サステナブル経営を推進していきます。
1. イノベーション基盤
「SDGsビジネス」に代表される、社会に役立つ“新規事業の創出”、または“既存事業の変革”を起こしやすい組織(イノベーション基盤)のあり方を明確化し、強化する。特に、新規事業開発に関する、「協業のあり方」、「人財育成のあり方」、「事業のESGリスクおよび社会的貢献度の評価体制」を強化する。
※なお、当社グループの全事業は「キャッシュフローを創出しつつ、社会的貢献を果たすこと」を目的とすることを前提とする。
2021年度目標
社会課題解決に資する新規事業・研究開発に関するイノベーション創出の協業数
2018年度をベンチマークに量・質の高水準を維持
- ※件数増加そのものを目的とせず、「体制の構築」を目的とした協業を行う
- ※協業先として、ベンチャー・スタートアップ・先進優良企業・国連・政府機関・NGOなどを想定
2030年、2055年でもまちや物件の魅力が下がらず、価値が高まるよう、長期視点での設計やエリアマネジメントを行い、包摂的かつ持続可能な都市化を促進し、居住計画・管理の能力を強化する。
当社グループが提供する都市開発や大型物件建設におけるすべての開発プロセスに、多様な存在を包摂する「インクルーシブデザイン」の考え方を導入する。
2021年度目標
まちづくりガイドラインに基づいた大型案件・各事業部大型物件の開発比率
70%
- ※開発件数または延床面積にて算出
- ※対象は不動産投資委員会対象のまちづくり案件を想定
2. 人財基盤
社是およびSDGsゴール8「働きがいも経済成長も」をふまえ、当社の全従業員が、「業務成果の最大化」と「心身ともに安全かつ健康な職場環境」を両立する組織へさらなる変革を進める。
※前提として創業者精神にある、従業員の生活・人財育成重視の考え方、人財観(目指す人物像など)をふまえる。
2021年度目標
従業員全世代の「働きがい」に関する実感度
80%
※Sustainability Surveyの「働きがい」に関する設問より算出。
2030年、2055年という長期的な視点に立ち、創業者精神・社是に表れる価値観・ビジネスモデルをふまえた人財育成・採用のあり方を明確化する。事業を支える中堅・管理職の社員がミレニアル世代となり、初級社員の中心がZ世代となることをふまえた教育・採用・職場環境の整備を行う。また、構成比率の高まるシニア社員が能力を発揮できるような制度を構築する。
2021年度目標
若年社員
(入社3年目まで)の定着率
90%
当社従業員の多様性(人種・国籍・民族・性別・性的指向・性自認・障がいの有無・年齢・信条・社会的身分など)を尊重するとともに、多様な従業員が働きがいをもって能力を発揮できる職場環境を構築する。
ダイバーシティ&インクルージョンを経営に活かし商品、サービスなどのプロダクトやプロセスにおける新しい発想を生み出し、多様な視点でのリスク予見を実現するために、意思決定の多様性の強化ならびに各機能(職種)における多様性を促進する。
2021年度目標
ダイバーシティ&インクルージョン総合指数
下記5指標で目標設定
- ①管理職女性比率5%
- ②女性管理職ライン長比率40%
- ③女性工事比率6%
- ④女性営業比率13%
- ⑤新卒採用女性比率30%
※2022年4月1日時点
3. 技術・ものづくり基盤
国内の少子高齢化による取引先の熟練技能者の減少、外国人労働者の増加などによる、施工現場での安全管理能力の低下に対応する。また、酷暑化や自然災害の増加など、長期的に施工現場で増加する傾向のある労働災害リスクについて対応する。
2021年度目標
施工現場労働災害の度数率
0.21
- ※100万
延 実労働時間あたりの労働災害による死傷者数(休業4日以上)
IoTの活用による技能伝承や生産性向上による省人化、長時間労働の是正を進める。離職のない職場環境の整備を進めるとともに、建設技能者の定着を進める。
2021年度目標
施工現場の年間休日
112日
(4週8休達成)
工場の年間休日
117日
※毎年3日ずつ、休日を増加
グループ会社の取引先(川上・川下含む)に対するCSR調達の推進について、ICTなど新しい技術を活用しながらPDCAを回すマネジメント体制を構築する。 不買運動などの評判リスクにつながる社会への悪影響を排除するとともに、国内外のガイドラインに則った情報開示の実現と機関投資家からの評価を獲得する。
2021年度目標
主要取引先におけるCSR調達ガイドライン適合比率
70%
(80点以上を適合と判定)
※主要取引先:従業員数300名以上の取引先
全取引先へのCSR調達ガイドラインにともなうセルフチェックの回答率
70%
※推進は当社グループ7社、KGI管理対象は大和ハウス工業・フジタ・大和リースの取引先を対象
4. 顧客基盤
「社名の認知」に留まらず、創業者精神、社是に表れる価値観、経営ビジョンと一体のコーポレートブランドを確立し、維持するとともに、磨きをかける。
2021年度目標
インターブランド社
Japan’s Best Domestic
Brand /ブランド価値金額
1,000百万USD
日経企業イメージ調査
- ①好感度(一般個人)70%
- ②一流評価(ビジネスパーソン)90%
新築からストック事業、新規開拓から紹介販売の比重が高まる事業環境に備え、CS(カスタマー・サティスファクション)体制を強化する。オーナーさまのライフサイクル・世代交代に合わせた適切な提案ができるよう、最適な人財の配置・育成に加え、情報システムを構築する。
2021年度目標
顧客基盤を活かした受注率
70%
※住宅:紹介販売率
(達成に向けては主管部門ほか関連各部門連携のうえで戦略実行)
5. コミュニケーション基盤
経営層、本社部門、事業所、グループ会社での財務(事業)・非財務(ESG)情報の一体的なコミュニケーションを行うことができる体制を強化する。特に情報開示に関しては、証券取引所などへの報告と提出先の多様化を念頭に、連結ベースでの非財務情報の開示に向けて効率的なシステムを構築する。
2021年度目標
財務・非財務コミュニケーションの制度・仕組みの確立と、統合経営への理解促進
2021年度末までに構築
ICT(情報通信技術)の進化に対して、システム構築や従業員のリテラシーの面で、同規模のグローバル企業をベンチマークとしながら、遅れをとらないように対応する。一方で、事業・ESGの両面で競争優位となる側面については、積極的な投資を行う。情報管理の制度設計や従業員のSNS等のメディアリテラシー向上について、従来のリスク回避だけでなく、機会側面もバランスよく考慮しながら対応する。
2021年度目標
個人の情報武装を実現させるコミュニケーション変革基盤の確立
- ①社内外ステークホルダーとの各種情報を共有できる機能を構築(2019年度から運用)
- ②社内情報を有効活用できる機能を構築(2020年度から運用)
- ③当社グループ会社へコミュニケーション基盤導入支援(2020年度から運用)
6. リスク対応基盤(凡事徹底)
気候変動やインフラの劣化による、自然災害・異常気象の「想定」を拡大し、被害を最小限にするための体制づくりとBCP(事業継続計画)の強化を行う。 体制構築にあたっては、当社事業、従業員の業務プロセス、お客さまの生活(建物使用上)におけるリスクについて幅広く、長期の視点で抽出する。
2021年度目標
事業継続体制スコア
100点
※下記に代表される各テーマの取り組み状況をスコア化しBCM部会メンバーにて評価
- ①従業員の安全確保
- ②電源確保および情報システムのバックアップ体制強化
- ③引渡し済顧客の支援体制強化
- ④生産購買機能の維持
- ⑤グループ全体の機能維持
- ⑥顧客の長期リスクをふまえた開発体制の確立
工場における人権デューディリジェンスプロセスの手法を確立し、今後グループ会社へも展開できる実施手法の開発を行う。
2021年度目標
工場における人権デューディリジェンスプロセスの手法を確立
2021年度末までに確立
大和ハウスグループ企業倫理綱領・行動規範に基づいたグループ役職員の「凡事徹底」を定着させる。行動規範の理解に基づいた自発的な行動を促すため、各種媒体や研修を通じた考え方の共有を行うとともに、意識調査などを活用したPDCAを推進する。
2021年度目標
内部統制体制充実度のスコア
447ポイント
(2017年度比15%向上)
下記の事情を勘案して評価する。
1.内部統制体制の充実度
- ①情報収集・共有体制(リスク情報等の報告・共有状況)
- ②管理・監督体制(内部統制委員会等の管理・監督機関の運用状況)
- ③研修・啓発体制(社内研修や社内通達等の啓発活動の実施状況)
2.損害・損失の程度
- ①経済的損失の程度や、重大案件の発生状況など
グローバル拠点が10年、20年と長期で地域に根付くための経営基盤の構築を行う。海外拠点の現地管理部門(総務・経理担当)の手が回らず、本社部門も対応しきれていないテーマについて、対応を行う。
腐敗防止(贈賄防止)については、国内外での注目が高いことからグループ会社でのマネジメントを徹底する。
2021年度目標
海外拠点におけるSustainability Surveyスコアの改善率
2020年度より
初回調査実施(目標設定へ)
※当社100%出資の海外グループ会社の従業員を対象