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連載:みんなの未来マップ 「雪が降らない未来」を、止めよう プロスキーヤー 小野塚 彩那さん

連載:みんなの未来マップ

「雪が降らない未来」を子どもに見せないために。プロスキーヤーとして今できること

2025.11.28

    小野塚さんのロングインタビューはこちら

    雪が変わった——。プロスキーヤー・小野塚彩那が語る「雪と暮らし」のつながり、そして危機

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    2014年ソチ五輪のフリースタイルスキー女子ハーフパイプ銅メダリストで、2018年に自然のままの地形を滑るフリーライドに転向した小野塚彩那さん。一児の母となった現在も、プロスキーヤーとして世界を舞台に活躍しています。

    一方で育児うつも経験し、アスリートであり母であること、その両立の難しさに直面しているそうです。2024年にはドキュメンタリー映画『MOMENTAL』を公開。挑戦する母としての姿、葛藤を発信しました。

    また、小野塚さんが雪山で活動する中で実感しているのが、気候変動が雪にもたらす影響です。いずれ雪が降らなくなり、子ども世代、孫世代がスキーをできなくなるのではないかと危惧します。小野塚さんが考える、次世代のために今すべきこととは?

    子育てをしながら、アスリートであり続ける

    女性アスリートとしての競技活動と育児を両立する日々の中、ドキュメンタリー映画も制作されました。どのような思いがありましたか。

    私自身、現在も子育て中ですが、息子が生まれてから1年半くらいがとてもつらかったです。子どもはとてもかわいい。でも育児をこなすのがしんどい。それまで自分は鋼のメンタルを備えていると思い込んでいたけれど、毎日泣いていました。オリンピックや世界選手権など目標に向かってトレーニングをすることとは、まったく異なるつらさでしたね。

    明確な目標は見えず、寝られないし、プロスキーヤーとして以前のパフォーマンスに戻れるのかとか、キャリアに対する不安もあって。これは多くの女性たちが抱えている思いだと気づいて、ドキュメンタリー映画で発信しました。やりたいことがあっても、それを言い出せない社会の雰囲気もある。見た人が一歩踏み出せたらいいなと思いました。

    ドキュメンタリー映画『MOMENTAL』

    小野塚さんのように、子育てをしながら命を懸けた雪山でのスポーツを続けることは、とりわけ勇気がいることだと思います。

    命の危険がありますから、世間から見たらやめるのが普通なのかもしれません。でも、私の人生ですから、やっぱりやりたい。今も昔もスキーが大好きで、常にもっと上手くなりたいと思っています。もちろん死にたくないし、子どもの待つ家にちゃんと自分の足で帰りたい。現在進行形でさまざまな悩みを抱えながら取り組んでいるところです。

    「サステナブル」とは、学びをやめないこと

    地元・新潟県南魚沼市の小学校などを回って特別授業を行い、雪の現状や気候変動のことを生徒たちに話していらっしゃいます。ご自身が親になり、次の世代に伝えなければという責任感も増しているのでしょうか。

    今は自分の子どもと一緒にスキーをしていますし、子どもも雪というものを当たり前に感じています。でも、70年、80年先、このまま温暖化が進行したら雪が降らなくなるといわれていて。食い止めるためのアクションをできるのは、自分たちの世代が最後だという見方もあります。

    自分の子どもや孫が雪を知らないのは悲しいし、さらには干ばつが起きたりして生活するのも大変になるかもしれない。みんながそういう未来を想像しなければならないと思います。

    生徒たちの反応はいかがですか。

    授業の後、生徒たちから感想文や手紙をもらうこともあります。「雪がなくなってきているとは知らなかった」「もっと環境について考えたい」など、いろいろ書いてくれて嬉しいですね。生徒たちが環境に関するポスターを描いて、校長先生に持っていったこともありました。

    そうした子どもたちの嬉しい反応はありつつも、大きな気候変動という問題に対して無力感を感じることはないですか?

    それでも、学びをやめないことが大事だと思います。特別授業の教材をつくる際に、自分で調べたり人に聞いたりして、知識量が増えていく。自治体などが出している資料を子どもにわかりやすいようにつくり直すため、自分の理解も深まります。南魚沼市は、2025年にゼロカーボンシティ宣言を表明したけれど、具体的にはどんなことをするのだろう、海外の再生可能エネルギー事情やリゾートの経営はどうなっているのだろう……などと調べていくんです。

    ゴールが見えなくても、インプットはどんどん増えていきます。私にとって「サステナブル」とは、学びをやめないことです。

    雪が降らない街にも、伝えていきたい

    再生可能エネルギーの活用など、雪の街では少しずつ変化が生まれていると聞きます。

    白馬村のスキーリゾートでは、今年からリフト、レストラン、人工降雪機などを含む全施設が再生可能エネルギーで運営される予定です。私の地元の南魚沼市もスキーリゾートで、同じように再エネに切り替えていけるのではないかなと思っています。

    生活や仕事と直結しているからこそ、自分事になりやすいのかもしれませんね。

    確かに雪が降らない地域の方々にもどのように伝えていくかは、模索中です。また、私が住む南魚沼市は日本有数の米どころ。雪が降らなくなったら、米づくりも心配です。お米は高温すぎる日が続くとダメですし、雪がなくなって春の雪解け水が供給されなくなってもダメ。お米ができなくなると、街の経済のみならず、全国的にも損失をもたらします。そういうことを、みんなで話していかなければならないと思いますね。

    決して他人事じゃないということを、雪の降らない地域の人たちにも伝えていきたいです。

    PROFILE

    小野塚彩那

    小野塚彩那Ayana Onozuka

    1988年新潟県生まれ。2歳からスキーを始める。2014年ソチ五輪のフリースタイルスキー女子ハーフパイプで銅メダルを獲得。W杯では2度年間総合優勝を果たした。2018年平昌五輪では同種目5位。2018年にフリーライドスキーに転向し、日本人女性スキーヤーとして初めて、フリーライドの世界一を決める「Freeride World Tour」に出場。2024年には、母であり、アスリートである自身の挑戦と葛藤を描いたドキュメンタリー映画『MOMENTAL』を制作、公開した。

    未来の景色を、ともに

    大和ハウスグループも「生きる歓びを、分かち合える世界」の実現に向け、様々な取り組みを進めていきます。

    大和ハウスグループの「気候変動の緩和と適応」に対する方針をはじめ、最新のサステナビリティレポートはこちらをご覧ください。

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