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Sustainable Journeyは、
2024年3月にリニューアルしました。
2017.08.31
この記事の前編はこちら
前編:環境に配慮した"サステナブル・シーフード"とは?
詳細を見るさっそくテーブルに届いた「キモノロール」を食べてみました。
カニ、キュウリ、リンゴが裏巻きされ、その上にアラスカ産ギンザケがのっています。サーモンの上で、まるで着物の袖がゆれるかのように置かれているのが、リンゴの甘酢漬け。その上には、強めの香りを放つセージがのせられ、全体にライムの皮がちりばめられています。
MSC認証漁業で獲られたビンチョウマグロのカルパッチョ。
アラスカ産ギンザケをのせた「キモノロール」。
小ぶりにカットされたロールをほお張れば、カニやギンザケのやわらかな食感からリンゴのかすかなシャキシャキ感へと、食感が移り変わっていきます。その風味も次々に変化します。カニのまろやかさとみずみずしいギンザケを味わううちに、リンゴとキュウリのさっぱりした味覚へと変わり、最後にセージとライムという二層で描かれた新緑のような爽やかさに到達していきました。
それは日本ではなかなか味わえない、西海岸らしい個性であり、寿司の本場・日本でも十二分に通用するようなおいしさでした。
繊細でスピーディに行われる、握りの盛り付け。
海老の天ぷら、スパイシーな味付けのマグロなどを包んだ裏巻きを、天かすでくるんだメニュー「Chasing the Dragon」。添えられたワサビは、地元オレゴン産。
握りも、みかんジャムとガーリックソルトがマスにのせられていたり、赤味噌とバジルのペーストがバスにのせられていたりなど、口に含んだときの旨みの楽しみ方が広がるような、こだわりの工夫が施されています。ちなみにポートランダーがサステナブル寿司にあわせて好んで飲むドリンク類は、にごり酒などの甘めのものが多いそうです。
注文に応じて、カウンター越しで新鮮なネタが次々とおろされていく。
ネタの仕込みも、職人の手で丁寧に行われていく。
このように、工夫の多いメニューの開発は、1店舗につき平均7~8人いるという寿司職人たちがレシピを社内提案し、皆で試食していくというスタイルを実践し続けていることから生まれているといいます。
「Bamboo Sushi」は、5年ほど前にグリーン・レストラン・アソシエーション(環境に優しいレストランを認証する団体)によって、寿司レストランとしては全米初の「グリーン・レストラン」(環境問題に取り組むレストラン)認証を受けました。
この認証は、レストランで使用されるすべてのものが対象とされ、たとえばリサイクル可能な紙製品の利用や石けん、エネルギーの使い方など、レストランを経営する上で使用されるほぼすべてのものが環境に優しいということを示す証明です。
具体的に見てみましょう。まずは、店内で出たゴミは種類ごとに分別され、紙ゴミは100パーセント再利用されているといいます。生ゴミは40~80パーセントが堆肥に利用されています。
店舗には節水システムが導入され、トイレは節水仕様に設計されていました。もちろん電源にはソーラー発電が使用されています。
建築物としての内装にも、細やかなサステナブル精神が実践されています。使われている木材は、再生材が利用され、そこに使用されているペンキは有害物質を含まないものが選ばれているといいます。床面のカーペットは、ペットボトルのリサイクルから生まれたものが利用されています。
クールでアメイジングなジャパンを感じさせる内装。
また、寿司以外の一品料理で使われる肉の食材についても、ホルモン剤を飼料に含まず近郊の放牧で育てられた家畜肉を利用しているといいます。レストラン内のありとあらゆる場所に、徹底した環境への配慮がなされている状況を知ると圧倒されるばかりです。
多くのポートランダーがこの寿司レストランに集い、新店舗が続々できてしまうほどに店が繁盛しているという現状。それは、サステナブル寿司を食べる行為そのものに、新鮮な魚介類を食べる「おいしさ」に加えて、食べることで水産環境に多少なりとも寄与しているという「心地いいフィーリング」を心の深いところで実感できているからなのかもしれません。
仕切りは格子、壁面にはザルが飾られる店内。
テラス席でサステナブル寿司のランチを楽しむ女性たち。
客層は、平日のビジネスマンのランチから子連れのファミリーまでと幅広い。
ポートランダーの食の好みを上手にとらえてレシピ開発に励む寿司職人ヨシさん。
Sustainable Journeyは、
2024年3月にリニューアルしました。