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コラム No.29-6

CREコラム

不動産証券化のトレンドを追う第6回 金融軸で不動産証券化が過熱する「大手町と兜町結ぶ東京国際金融センター構想」

公開日:2017/05/22

東京国際金融センター構想が再浮上しています。東京都は知事の交代などで遅れていた構想の実現に向けて議論を再開。証券と銀行の集積地である東京・大手町と兜町を繋ぐゾーンを軸に、首都を一大金融センターにしようと動き出しています。大都市東京で、不動産証券化の熱気が高まることは必至です。

過去に2度あった国際金融センター構想

いま、東京国際金融センター構想が具体化に向けて動き出しています。日本の首都・東京をニューヨークのウォール街、ロンドンのシティと並ぶ国際的な金融街にしようとする動きは、過去に2度ありました。

最初は1985年。この年は、アメリカ経済が財政赤字と貿易赤字のいわゆる「双子の赤字」に苦しみ、国際協調によってドル安相場を作り上げる「プラザ合意」があった年です。同時に、金融の国際化で国境を超えた資金取引が盛んになり、外貨獲得のため各国で資金取引に関して税制を優遇する金融市場が次々にできました。この市場はオフショア市場と呼ばれ、86年に東京オフショア市場が創設されています。

当時の我が国は、バブル景気が始まりつつあった時代。外資系の金融機関が相次いで上陸しました。このため東京都は台場地区に国内外の金融機関を誘致する計画を立てましたが、バブル崩壊とともにこの計画は挫折しました。東京都内のテナント賃料が高騰したため、外資系企業は香港やシンガポールなど他のオフショア市場がある都市に引っ越していきました。

2度目は2007年。メガバンクなど大手銀行が公的資金を完済し、金融業界が活気を取り戻しつつあった時代です。金融庁は「金融資本市場競争力強化プラン」を発表、国際金融センターとして、東京の都市機能向上を提言しました。

東京都は、こうした2度の議論を経て2014年、大蔵省出身の舛添要一氏が都知事に当選。舛添知事のもとで「東京国際金融センター構想」が実現に向けて動き出したのでした。舛添知事は、「外国人が住みやすい環境を整えたり、英語や金融教育を強化したりして高度な金融人材を育成し、東京がアジア経済のけん引役を果たさなければならない」と構想実現に意欲的でした。
ところが、ご承知のとおり、舛添都知事が任期半ばの2016年に辞任、構想の行方が注目されていました。新たに就任した小池百合子都知事は同年11月の定例記者会見で、東京国際金融センター構想に関して言及、「この構想は、(東京五輪が開催される)2020年に向けた成長戦略の中核となる」などと発言しました。

都は昨年から「国際金融都市・東京のあり方懇談会」を開催、1年間をかけて議論を深めていく予定です。小池知事も、「東京をもう一度、活気ある国際金融都市にする」と意気込んでいます。また東京都は、「海外金融系企業の誘致促進等に関する検討会」を組成し、外資系金融機関の呼び込みを推進する意向です。

大手町と兜町を結ぶ「金融軸」が動き出す

東京国際金融センター構想の目玉のひとつが「金融軸」と呼ばれる再開発プロジェクトです。メガバンクなどわが国を代表する金融機関の本部・本店が集積する大手町地区と、東京証券取引所をはじめと証券業界のメッカである兜町地区を結ぶ永代通り沿いを、東京国際金融センター構想を支える金融軸(Tokyo Financial Street)として、官民が連携して様々な金融機能を整備しようとするビッグプロジェクトです。

出典:東京都政策企画局2015年「東京国際金融センター推進会議」資料より転載

金融軸に位置する常盤橋、兜町の両地区は、国家戦略特区(都市計画法の特例)を活用して金融機能を迅速に整備し、多くの海外の高度金融人材の誘致やプロジェクトに対する積極的な投資を呼びかける計画です。

兜町地区では、日本橋を結ぶゾーンの再開発も進んでいます。兜町と日本橋は、昭和通りと首都高速道路が走っているため両地区の間の人の流れが遮断されている、との指摘が昔からあります。同じように、大手銀行の本店・本部が密集している大手町と証券業界のメッカ兜町も、銀行・証券の垣根(業務範囲)がますます低くなっているにも関わらず、地理的には「近くて遠い」関係が解消されていません。金融軸は、大手町、兜町、日本橋を周辺を巻き込んだ一大金融ストリートに仕立てようという壮大な再開発プロジェクトになります。

センター構想で不動産証券化が過熱する

国際金融センター構想は、外資系金融機関をはじめ多くの海外企業を誘致して、国際色豊かな街づくりを目指していくことになります。また、高度な金融知識を持った海外の人材も数多く流入してくることでしょう。

そうなると、金融軸を形成する大手町―兜町のメインストリートだけでなく、周辺の街も新たなオフィスビルやマンションが必要になってきます。国際金融センター構想の実現を当て込んだ再開発事業はすでに民間の不動産会社によって進められています。我が国でも最も地価の高い地区のひとつだけに、国際金融センターや金融軸の完成には、不動産証券化が活発になることは間違いありません。

2017年2月、第3回の「国際金融都市・東京のあり方懇談会」が都庁で開催されました。席上、小池都知事は金融軸の中心になる常盤橋地区に最先端の金融ビジネス機能、愛宕地区に外国人向け住宅を整備するなど、構想の具体的なプランについて言及しました。東京国際金融センター構想は、2度の挫折を経て、ようやく実現に向けて動き出したと言えそうです。

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