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コラム vol.178
  • 不動産市況を読み解く

土地活用に必須なデータの読み解き方第4回 賃貸住宅経営で重要な空室率データの読み解き方

公開日:2017/01/26

6回にわたり、土地活用に必要なデータを取り上げ、事例などを交えながら、データの読み解き方、使い方、収集方法などを解説していく第4回目。今回は空室率についてです。
今回も取り上げるすべてのデータは、一般公開されている(インターネットがあれば誰でも入手できる)ものです。本コラムの中では、それらを分析してグラフや表にしていますが、読者の方も興味があればアクセスして、その元データを見ることができます。

全国の空室率

賃貸住宅経営を始めようとしている方や、すでに賃貸住宅を所有されているオーナー様は、空室状況が気になることでしょう。
賃貸住宅の空室状況については、総務省統計局が公表している「住宅・土地統計調査」でデータを入手することができます。この「住宅・土地統計調査」は、5年に一度、その年の10月1日時点の実態を調査し、公表しているもので、現在の最新調査は平成25年(2013年)のデータです。次回の調査は平成30年2018年となっています。

この中のデータで、空き家の住宅数と入居中の住宅数というものがあります。賃貸用の住宅のデータを見れば、賃貸住宅の空き家数(人の居住していない家・部屋)と居住中の賃貸住宅の数が分かります。これらのことから、おおよその空室率を算出することができます。

平成25年(2013年)のデータでは、賃貸住宅の空き家数429万2000戸、居住中の数1851万9100戸、これらを単純に足すと2281万1100戸となります。(賃貸住宅の総数は、かなり古く賃貸の意思があるかどうかわかりにくいものや、自用の住宅を転勤などで一定期間だけ貸すなど、さまざまな要因から、その総数を把握することが難しいため、この2つの数字を合計と仮定します)

空き家数を単純に足した合計で割ると、18.8%となり、広くいわれている賃貸住宅の空室率約19%と合致します。

都道府県別空室率

今述べた数字は全国の数字ですが、これらの数字は県、市、区、町という単位でデータがありますので、それらを計算すれば、県、市、区、町単位でのおおよその空室率が算出できます。

図1:全国の賃貸住宅 空き家数データ

  1998年 2003年 2008年 2013年
賃貸住宅(空き家) 3,519,700 3,675,100 4,126,800 4,292,000
賃貸住宅(居住中) 16,729,900 17,165,800 17,769,600 18,519,100
賃貸住宅総数 20,249,600 20,840,900 21,896,400 22,811,100
賃貸住宅の空室率 17.4% 17.6% 18.8% 18.8%

平成25年総務省統計局「住宅・土地統計調査」より作成

図2:2013年の賃貸住宅の空室率

  空き家数 居住中数 合計 空室率
北海道 224,300 945,900 1,170,200 19.2%
札幌市 104,400 401,600 506,000 20.6%
青森県 40,900 137,900 178,800 22.9%
岩手県 30,200 144,500 174,700 17.3%
宮城県 48,800 376,300 425,100 11.5%
仙台市 33,500 258,600 292,100 11.5%
秋田県 20,500 81,500 102,000 20.1%
山形県 20,400 86,300 106,700 19.1%
福島県 35,900 222,000 257,900 13.9%
茨城県 104,100 287,800 391,900 26.6%
栃木県 76,000 200,500 276,500 27.5%
群馬県 74,700 203,000 277,700 26.9%
埼玉県 210,700 909,700 1,120,400 18.8%
さいたま市 36,500 188,000 224,500 16.3%
千葉県 194,200 780,900 975,100 19.9%
千葉市 33,700 140,900 174,600 19.3%
東京都 598,400 3,100,300 3,698,700 16.2%
特別区部 425,300 2,283,600 2,708,900 15.7%
神奈川県 304,300 1,456,300 1,760,600 17.3%
横浜市 112,300 598,500 710,800 15.8%
川崎市 59,800 327,200 387,000 15.5%
相模原市 23,600 111,800 135,400 17.4%
新潟県 51,100 194,800 245,900 20.8%
新潟市 22,000 101,900 123,900 17.8%
富山県 22,000 74,800 96,800 22.7%
石川県 35,900 123,400 159,300 22.5%
福井県 18,800 59,000 77,800 24.2%
山梨県 37,400 90,600 128,000 29.2%
長野県 64,800 203,800 268,600 24.1%
岐阜県 62,700 178,600 241,300 26.0%
静岡県 137,200 420,200 557,400 24.6%
静岡市 25,600 91,300 116,900 21.9%
浜松市 31,900 104,300 136,200 23.4%
愛知県 264,100 1,160,400 1,424,500 18.5%
名古屋市 115,800 554,200 670,000 17.3%
三重県 51,000 177,900 228,900 22.3%
滋賀県 31,300 131,200 162,500 19.3%
京都府 80,600 407,600 488,200 16.5%
京都市 58,900 301,200 360,100 16.4%
大阪府 418,700 1,654,700 2,073,400 20.2%
大阪市 189,800 728,000 917,800 20.7%
堺市 31,900 139,800 171,700 18.6%
兵庫県 172,700 767,200 939,900 18.4%
神戸市 58,700 272,500 331,200 17.7%
奈良県 35,100 127,500 162,600 21.6%
和歌山県 27,800 91,700 119,500 23.3%
鳥取県 13,200 60,800 74,000 17.8%
島根県 12,900 69,300 82,200 15.7%
岡山県 61,600 224,200 285,800 21.6%
岡山市 31,500 115,800 147,300 21.4%
広島県 105,100 413,100 518,200 20.3%
広島市 50,400 220,500 270,900 18.6%
山口県 43,700 185,000 228,700 19.1%
徳島県 23,300 80,000 103,300 22.6%
香川県 30,300 106,900 137,200 22.1%
愛媛県 50,300 185,400 235,700 21.3%
高知県 23,700 104,300 128,000 18.5%
福岡県 181,200 963,700 1,144,900 15.8%
北九州市 38,900 183,000 221,900 17.5%
福岡市 78,600 454,500 533,100 14.7%
佐賀県 17,200 84,500 101,700 16.9%
長崎県 42,700 187,400 230,100 18.6%
熊本県 47,700 237,500 285,200 16.7%
熊本市 30,300 145,200 175,500 17.3%
大分県 38,800 168,900 207,700 18.7%
宮崎県 27,500 144,700 172,200 16.0%
鹿児島県 44,300 239,600 283,900 15.6%
沖縄県 33,900 267,500 301,400 11.2%

平成25年総務省「住宅・土地統計調査」より作成

県別にみると、賃貸住宅の空室率が最も低いのが沖縄県で11.2%、最も高い県は山梨県で29.2%となっています。主要都市では、東京10.2%、神奈川が17.3%、愛知18.5%、大阪20.2%、福岡15.8%となっています。

ときおりメディア等の報道では、調査会社の算出データで、「賃貸住宅の空室率が大都市でも30%近い」という記事を見かけますが、それとは大きくかけ離れているようです。
この「30%」という途方もない数字には、あまり過剰な反応はしない方がいいと思います。

本サイトのコラム コラム vol.181でも、このことは書きましたが、算出の方法が異なっているためで、違いについてはそちらを参考にしていただきたいと思います。

全国平均の18.8%という数字にも、例えば建て替え予定や大きなリフォーム予定をしてる場合など、入居者の募集をしていない物件も空室率に入っていますし、あるいは、築年数が50年を超えるようなかなり古い物件も入っています。
こうした物件の空室数を除くと、大都市部ではもっと低いと予想されています。

空室に関するデータは、今後の賃貸需要を予測することや、現在の賃貸住宅の需給関係を知る上で重要な指標となります。データを正確に読み解くことが求められます。

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