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コラム vol.291-2
  • 土地活用法律コラム

改正民法と賃貸事業(2) 借地上の建物買取請求権について

公開日:2019/08/30

POINT!

・借地借家法及び旧借地法は、借地人に建物買取請求権を認めている

・借地権設定者は、借地人より建物買取請求権を行使された場合、原則として拒むことはできない

土地を借地人に賃貸して、借地人が借地上に建物を保有している場合、オーナー様にとっては、借地借家法及び旧借地法にて借地人に認められている建物買取請求権がどのような権利であるかについては、押さえておきたい知識です。また、今後土地を賃貸することを予定されているオーナー様においても、リスク管理上、把握しておきたいところです。

建物買取請求権とは

借地権の存続期間が満了し、契約の更新がない場合には、民法の原則では、借地権者が借地上の建物を取り壊して、借地を借地権設定者に返還しなければならないはずですが、それでは借地権者が借地上に投下した費用が回収できず、また、現存建物を必ず取り壊さなければならないとなると、社会経済的にも不経済であるとして、借地借家法及び旧借地法は、借地人に建物買取請求権を認めています。そして、この建物買取請求権については、借地借家法等に反していたり、借地権者に不利な内容の特約は無効になるものとされております。

建物買取請求権が認められる要件

建物買取請求権が認められる要件としては、
(1)借地権の存続期間が満了し、契約の更新がないこと、(2)借地上に建物その他権限により土地に付属させた物が存在すること、が挙げられます。 では、以下のような事例においても、建物買取請求権が認められることになるのでしょうか。
(1)期間満了前に土地賃貸借契約を合意解除した場合
(2)借地人が地代を支払わなかったために土地賃貸借契約が解除された場合

上記(1)について、土地賃貸借契約を合意解除した場合には、その意思解釈として建物買取請求権の放棄の意思表示がされたと考えられることから、判例においても建物買取請求権は認められないと解されています。この点、上記を前提にしますと、建物買取請求権を放棄しているとはいえないような場合には、なお存続していると解される余地もあり得ますが、土地賃貸借契約を合意解除する以上、通常はその建物の処理についても合意するはずですので、実務的には、建物買取請求権の放棄の意思を合意解約上も明示する必要があるものと考えます。

上記(2)については、建物買取請求権は誠実な借地人を保護するためのものであり、借地人の債務不履行により借地契約が解除されるような場合には、判例では、借地人の建物買取請求権を否定しています。
建物買取請求権が認められるのは、普通借地権に限られるとされ、一時使用目的の借地、一般定期借地権、事業用定期借地権については建物買取請求権に関する規定は適用しないとされています。

建物買取請求権行使の効果

建物買取請求権は形成権であると解されていますので、その行使と同時に借地人と借地権設定者との間で建物の売買契約が成立し、建物の所有権は借地権設定者に移転し、借地人は売買代金債権を取得することになりますが、売買代金の支払いと建物引渡・所有権移転登記とは同時履行の関係に立ちます。 したがって、借地権設定者としては、借地人より建物買取請求権を行使された場合には、原則としてこれを拒むことはできず、その意思表示がされた段階で、建物売買が成立することになります。

建物買取請求権行使によって成立する建物売買における価格は、時価とされており、この時価は買取請求権行使時を基準時として、建物を取り壊した場合の動産の価格ではなく、建物が現存するままの状態における価格をいうとされています。この価格には、敷地の借地権価格は加算されませんが、建物が存在する場所的環境は斟酌されるものと解されています。そのため、過去の判例においては、建物が老朽化して耐用年数を超えたため市場価格が認められないような建物であっても、場所的利益を加算して建物価格を算出し、買取価格を0円とせずに、買取請求権を認めた事例があります。

建物買取請求権の行使対象建物に抵当権等が設定されている場合は、この抵当権等の負担を考慮に入れて、建物価格を算出することになるのでしょうか。この点、過去の判例では、抵当権の負担は考慮に入れずに時価を算定しています。もっとも、借地権設定者としては、民法577条により、抵当権消滅請求の手続きが終わるまで、売買代金の支払いを拒むことができるものとされています。

建物買取請求権の行使対象建物に借地人以外の居住者がいるような場合は、この居住者負担をどのように考えるか問題となります。この点、過去の裁判例では、建物の居住者が借地権設定者にその居住の権利を対抗することができるときは、その権利が付着していることを考慮して建物価格を算定し、その居住の権利を対抗できないときは、その権利を考慮せずに空家価格として算定するものとされています。

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