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コラム vol.415-2
  • 土地活用税務コラム

実家の相続(2)実家の相続時にすべきこと

公開日:2022/08/31

POINT!

・実家を相続するにあたって、家の中と外(敷地内)の清掃と片付け、エンディングノートの作成、デジタル遺品の整理、空き家の場合は家屋の解体など、可能な限り早めに着手する

・相続をめぐる社会的問題解決のため、国や自治体がさまざまな新制度を設けている

前回のコラム「親が住んでいる実家を相続するということ」では、実家を相続することになった場合の選択肢についてご紹介しました。
今回は、実家を相続するにあたって、可能な限り早めに着手すべきことについてご紹介します。

生前にできるだけ家を片付ける

実家に住み続けるにしろ、貸すにしろ、売るにしろ、家の中と外(敷地内)は、早めに清掃をして片付けることが重要です。散らかっていると近隣の迷惑になるばかりか、盗難や火事の可能性も増します。片付けを呼びかける際には「防犯」「防災」を切り口にすることをお勧めします。
ただ、押し入れや引き出しなどから記念の品々やアルバムなどが出てくると、思い出語りが始まって、遅々として片付けが進まない可能性があります。玄関や庭先など、親御さんの心理的な抵抗が少ないと思われる場所から取りかかってみてはいかがでしょうか。
そして、書類や手紙類の整理にあたっては、個人情報の流出に細心の注意を払ってください。文字が読めるかたちのままでの廃棄は避けてください。
また、古書や絵画、レコードなど、売れる可能性があるものは、ネットオークションやフリマアプリへの出品を検討してはいかがでしょうか。
これらのメリットは、「買い手がつくまで出品し続けられる」ということです。多少高めの値段で出品していても、マニアの方が数カ月後に気づいて落札してくれる場合もあります。
特にご本人の思い入れがさほどないものに関しては、早めに出品することを検討しましょう。

エンディングノート

相続発生後のトラブルを回避するためにも遺言は大事です。しかしながら、いきなり「遺言を書いてくれ」と言われて、楽しい気持ちになる高齢者の方は少ないと思います。このような場合、エンディングノートを活用するのがお勧めです。アルバムでも一緒に見ながら「これまでの人生のこと、改めて聞かせてくれる?」など、おだやかに語り掛けてみましょう。エンディングノートの形式はさまざまですが、とっつきやすいのは「自分史」だと思います。
当然のことですが、過去の自分の出来事について、例えば離婚など、書きたくない項目まで無理に埋めてもらう必要はありません。
ただ、取引のある金融機関(ネット証券・ネット銀行含む)や使用しているクレジットカード、スポーツクラブ、サークル等の情報はできるだけ書いてもらうようにしましょう。

家屋の解体

住んでいた方が何らかのかたちで別の住まいに移れば、その家屋は空き家となります。
更地にして売る、資材置き場等の事業用地として貸す、月極駐車場とするなど、方向性が定まったら、家屋の解体に着手します。
直接相見積もりを取るなどして信頼できる業者を選び、家財道具の処分やライフラインの停止を事前に行った上で解体を行います。
木造家屋は鉄筋に比べて解体費用も安いのですが、それでも1坪当たり4~5万円程度は発生します。30坪の家屋なら120~150万円程度となります。なお、自治体によっては解体工事に補助金が支給される制度がありますので、事前に確認しておきましょう。

デジタル遺品の整理

最近の高齢者はPCやスマートフォンを使いこなす方が珍しくありません。同居していれば、通常、使い方を教える中でなんとなく「どんなファイルがどこのディレクトリに保存されているか」がわかると思いますが、独居、あるいは高齢者のご夫妻で暮らしていると、どんな風にPCやスマートフォンを使っているか、見当もつかなかったりします。
そして、ログインパスワードを教えないまま亡くなられると、その解読費用は数万円かかるといわれています。さまざまなサイトのログインIDやパスワード等もあわせて、それらの情報はメモで残してもらい、相続人のどなたかが保管するなどしてください。
また、相続をめぐって生じているさまざまな社会的問題を解決すべく、国や自治体が新制度を設けていますのでご紹介しておきます。

民法改正による遺産分割の期間設定

2021年4月、民法が改正され、相続開始、つまり被相続人が亡くなった時から10年を経過した後になされる遺産分割は、具体的相続分ではなく、法定相続分によることとなりました。10年を過ぎると、原則として特別受益(一部の相続人だけが被相続人から生前贈与等で受け取った利益)や寄与分(被相続人の財産の維持や増加に貢献した場合に、他の相続人よりも相続財産を多く得られる権利)は考慮されず、遺産を法定相続割合で分けることになります。

相続土地国庫帰属法

新法の相続土地国庫帰属法は2023年4月27日に施行され、これにより、相続で取得した一定の要件を満たす土地を国が引き取ることができるようになりました。親の居宅の立地条件が悪いなどの理由で、相続人で受け継ぐ人がいなければ、利用するのが一つの選択肢となります。
「建物がない」「境界争いなどがない」などの要件を満たす必要があり、承認されると10年分の管理費相当額の負担金の納付義務が生じます。

不動産登記法改正による相続登記の義務化

改正不動産登記法が2024年4月1日に施行され、土地・建物の相続登記が義務付けられます。土地・建物を相続する場合は「誰が、どれだけ相続するか」を登記するのですが、現在は任意で期限も決まっていません。
今回の改正によって相続開始から3年以内に登記する義務が課され、登記を怠ると10万円以下の過料となります。

「空き家バンク事業」を始める自治体が増加

「空き家を有効活用し、都市住民との交流及び定住促進による地域の活性化を図る」等の目的で、空き家バンク事業を推進する自治体が増えています。
過疎化の解消策の一環として、行政側が広報誌などで空き家情報を広く募集し、移住・交流希望者向けの物件情報を収集してウェブサイトなどで提供しています。
この制度を導入している自治体にお住まいであれば、親御さんの実家を売却、あるいは賃貸にする可能性が広がるかもしれません。

最も尊重されるべきは、その家に住み、子どもを育て、見守って来られた親御さんのお気持ちだと思います。相続人となる皆様は、ご本人のお気持ちをしっかり受け止め、それを最大限に尊重した上である程度の方向性を検討・立案し、専門家と入念に打ち合わせを行ったうえで、具体的対策に着手していただくことをお勧めします。

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