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生活を考える

【名もなきペット家事~いぬ編~ vol.9】<うちのコ想いのマイハウス>多頭飼育を成功させたい!
「みんながハッピーな家づくり」
のヒントとは

現在多頭飼育をされている方や、
今後多頭飼育をしてみたいと考えている飼い主さんは少なくありません。
「大好きな犬に囲まれて飼い主さんは楽しいし、
犬同士も寂しくなくて幸せ」というイメージがありますよね。
しかし実際には、犬同士の思いがけない悩みに発展したり、
思ったほど犬同士がうまくいかなかったりするケースもあるようです。

そこで今回は、専門家による「多頭飼育がうまくいくため」のアドバイスをお届けします。
実際に多頭飼育を成功させている飼い主さんの体験談もご紹介。
犬たちにとって快適な住まいの動線についても考えてみましょう。

多頭飼育って?

複数の動物を飼うことを意味します。多いのは、犬同士(猫同士)を2頭以上飼うパターンですが、犬と猫の両方を飼う方もいます。
「犬は群れで暮らす動物だから、1頭しかいないのはかわいそう」だと考える飼い主さんもいらっしゃいますが、家庭内で飼われている犬は人との関わり合いが深く、飼い主さんとの関係性で幸せを感じているので「犬だけの群れ」をあえて作る必要はありません。飼い始めてみたら犬同士の相性が悪かったという場合もありますので、多頭飼育を始める場合は慎重に考えてみましょう

多頭飼育で気をつけること

住まいの工夫編

最初は、先住犬と新入り犬の生活エリアを区切る

先住犬には、それまで暮らしてきた生活リズムやテリトリーがあります。そこへ突然新入り犬が入ってきてしまうと、ペースが乱されて大きなストレスに。ケンカに発展する場合もありますので、新入り犬をお迎えしたら、ケージやサークルなどで仕切り、先住犬とは分けて生活させましょう。お互いの存在に慣れてきたら、同じエリアで過ごさせても問題ありません。

専用のトイレを用意する

新しく迎えるのが子犬の場合はトイレの回数が多いので、できればケージやサークルの中に専用のトイレを設置してあげましょう。慣れてきたら先住犬と同じトイレを使用しても大丈夫ですが、頭数が増えた分トイレのサイズを大きくしてあげてください。

しつけ・散歩・食事編

先住犬を優先する

多頭飼育で大事なのは、飼い主さんと各犬との関係です。特に先住犬は焼きもちを焼くかもしれませんので、新入り犬ばかりをかわいがるようなことのないよう注意しましょう。犬の上下関係を維持するためには、ごはんや散歩は先住犬を先にします。ただし1頭ずつとのスキンシップは平等にしっかりと。それぞれにしつけや遊びを行うことで、飼い主さんとの関係性が深まっていきます。

犬の中の序列関係を尊重する

多頭飼育においては、犬同士で社会的な序列関係を作ろうとします。その際に飼い主さんが干渉してしまうと、その関係性を崩して序列を悪化させてしまう可能性があります。たとえば、先住犬が新入り犬に対して教育的指導のような行動(ほえる、威嚇するなど)を取っている場合は、注意せずに見守ってあげましょう。

※ただし、きっかけもなく突然攻撃する・相手が服従的な合図を送っているにもかかわらず執拗に攻撃する・深刻なケガが生じるくらいの攻撃をするといった場合には、正常な行動ではない可能性があるので、獣医師に相談しましょう。

同時の散歩は様子を見ながら、慎重に

犬の年齢や体格によって、運動量には差があります。慣れていないうちから、同時に散歩に行くのは危険な場合がありますので、できるだけ分けて行く方がよいでしょう。犬にとっても「飼い主さんと一緒に散歩ができてうれしい」と満足させることができます。

食事はそれぞれ別の場所で

ごはんは別の部屋で与えるなどして、お互いに行き来できない状況にしましょう。同じ場所で同時に与えると、どちらかのごはんを食べてしまったり、取り合いでケンカになってしまったりする場合があります。

そのほかの注意

性別・年齢の異なる犬を飼うのがおすすめ

犬種、体の大きさ、年齢、性別といった複数の特徴が共通している犬同士では、攻撃的な関わり合いが生じるリスクが高まるといわれています。できれば異なる性別・年齢の組み合わせにするのがよいでしょう。また、可能であれば避妊や去勢手術を行ってください。

成長に伴い、争いや関係性の変化は起こるものと心得る

子犬の時は仲がよくても、一方または双方が社会的成熟(多くは1~3歳頃)に達する時期に争いが生じやすくなります。また、犬同士の関係性は、先住犬が高齢になったり病気になったりすることがきっかけで序列が逆転することがあります。その際も、飼い主さんは犬同士の関係をよく観察し、不用意に干渉しないようにしましょう。

猫との多頭飼育で気をつけるポイント

犬と猫を一緒に飼う場合は、それぞれのパーソナルスペースへの配慮が重要です。犬も猫も縄張りを意識して暮らす動物ですので、容易に侵入されてしまうと警戒心を強めストレスを感じてしまいます。そのため、それぞれの居場所・寝床となるスペースを離れた場所に設けてあげましょう。

トイレに関しても衛生面や習性の違いから、分けておくのが望ましいです。イタズラを防止するためにも、置く部屋を分けるなどして簡単に行き来できない場所に設置してください。また、猫がごはんを食べ残しておくと犬が食べてしまうかもしれませんので、猫の食事スペースは犬が届かない棚の上などにしましょう。

多頭飼育をしている飼い主さんのおすすめ飼育法をご紹介

アンバーちゃん/Mix/2才、ロコくん/Mix/10才

大型犬と小型犬の2頭と暮らしています。年齢差がかなりあるのと、お互いに干渉したがらない性格なので、家の中でのスペースは分けるようにしています。寝る場所や食事のスペースも変えているので、トラブルが起きずに済んでいます。お散歩も別々に行っているので時間も手間もかかりますが、それぞれの愛犬と1対1でふれあえる貴重な時間だと思い楽しんでいます。

設備面でも多頭飼育をサポートします

立ち入りを制限できるペットゲート

先住犬と新入り犬の居場所を分けたいときや、どちらかを隔離したい場合に役立ちます。

ペットフェンス

愛犬の居場所となる場所の出入り口に設置。扉を閉めて出入りを制限できます。

多頭飼育で大切なポイントは、1頭1頭と飼い主さんの関係性を深めることです。それがうまくいけば、自然に犬同士の関係性もスムーズになります。そのためにも、できるだけ家の中のエリアを区切り、それぞれの愛犬としっかり関わり合うように意識しましょう。

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監修

獣医師

椎木亜都子先生

2012年日本大学生物資源科学部獣医学科卒業。獣医師免許取得後、東京大学大学院農学生命科学研究科獣医動物行動学研究室に所属し、行動診療を学んだ後、2017年~2022年まで東京大学附属動物医療センターにて、非常勤獣医師として行動診療を担当。現在は、ペット問題行動クリニックBLISSにて往診による犬猫の問題行動治療を行っている。獣医行動診療科認定医。

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