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コラム No.20-4

PREコラム

「官民連携による地域活性化への取組を探る」(4)北陸新幹線の開業・延伸と観光地のブランド再生

公開日:2017/03/31

POINT!

  • ・北陸新幹線の開業に危機感を覚え、雪国観光圏を2008年に設立
  • ・北陸新幹線の延伸が決まる福井県では、地銀が中心となって開発を推進

北陸新幹線の快進撃が隣接地域の危機感を生む

2015年3月14日、北陸新幹線の長野-金沢 間が開業しました。これによって、東京から金沢まで約3時間で結ばれるようになり、都心からの利用客の利便性は飛躍的に向上しました。もともと観光地として強いブランド力を持つ金沢でしたが、それまで都心からは空路を利用することになり、旅行者にとってのハードルとなっていました。それが北陸新幹線の開業により一気に払拭され、金沢駅利用客は2016年時点で926万人、なんと2013年の3倍となっています。 また、北陸新幹線の開業が及ぼす石川県全体の経済波及効果は、日本政策投資銀行の推計によると678億円と試算され、新幹線開通がもたらす効果としては、近年では類を見ない快進撃となっています。そもそも開業前2013年時点では、都心へのストロー現象なども懸念され、経済波及効果は124億円程度と見積られていましたが、その不安は無用だったようです。 一方、この快進撃の前に、危機感を募らせている地域があります。

地域が協働して観光地のブランド化を広域で推進

新潟県越後湯沢温泉。かつてより都心に近い温泉観光地、スキーリゾート地として人気がありましたが、1982年11月に上越新幹線が開業し、都心から1時間半で結ばれると、空前のスキーブームも後押しして、観光客入込数は年々増加、湯沢町の統計によれば、1992年のピーク時には1,050万人にも上り、有数のリゾート地として名を馳せました。
しかし、スキーブームが去り、その後は減少に転じ、2015年時点では、上越新幹線開業前の500万人を下回る430万人程度となっています。そんな中でも、温泉利用目的の観光客は100万人程度で推移しており、温泉地としての人気は今でも続いています。
そんな状況の中での北陸新幹線の開業は、地域にとって大きな危機感を生みました。金沢という日本でも有数のブランド観光地が、競合地域となったのです。
これに対応するべく、魚沼市、南魚沼市、湯沢町、十日町市、津南町、みなかみ町、栄村の3県7市町村は、一つずつでは埋もれてしまう地域資源を発掘し、つなぎ合わせ、磨き上げることで世界に通用する価値を生み出すことを目指し、温泉観光地の広域連携組織として、雪国観光圏を2008年に設立しました。 雪国観光圏のブランドコンセプトは「国境の長いトンネルを抜けたもう一つの日本」です。
世界でも珍しい「人が住む豪雪地」に点在し伝統的な暮らしを伝える「郷」をつなぎ、地域の独自性を活かしながら連携を強め、交流人口の増加策や滞在型観光の開発を推進しています。
雪国観光圏は、2013年から一般社団法人雪国観光圏に運営が移管されていますが、若手経営者をはじめとしたメンバーによる、広域観光圏の新たなブランド化への挑戦が続いています。代表理事である井口氏も越後湯沢駅前にある旅館「HATAGO井仙」を経営しており、旅館の原型である旅籠の原点に立ち戻り、宿泊と飲食、物販を個別の事業と考え、それぞれの事業をブランド化することを目指しています。

北陸の玄関口福井県の、公民連携の挑戦

北陸新幹線の延伸開業が決まっている福井県。古くから繊維産業、漆器産業、刃物産業、和紙産業等の伝統産業、近年においては眼鏡産業等の集積があります。過去には、戦後の福井地震(60%の家屋に被害)やリーマンショック・中国の台頭による眼鏡産業に壊滅的な影響があったものの、地域を挙げたイノベーションにより復興を果たしてきました。
しかし近年は、若者の県外流出が続いており、近い将来、県人口が80万人を下回ることも予測されています。一方、観光資源としては、永平寺や東尋坊、芦原温泉、越前ガニなど少なくありません。
そのような福井県に北陸新幹線がやって来ます。現在のところ、北陸新幹線の金沢-敦賀間の開業は2022年度とされており、開業が及ぼす経済波及効果は、福井県の試算では年間100億円程度と見込まれていますが、隣接する石川県金沢市のブランド力が大きいだけに、観光地としての経済波及効果は未知数といえるでしょう。とはいえ金沢や都心へのストロー現象による人口減少の懸念もあり、特に福井市の再開発は急がれています。現在、福井駅西口の再開発計画が進んでいますが、特筆すべきは、地元地方銀行の動きです。
地元地方銀行が再開発を手掛ける大手都市開発ディベロッパーと業務提携を行い、再開発を手掛けるという、一歩踏み込んだ街づくりへの参画を行っています。地方銀行が長年の信頼関係を維持している地権者との調整を図ることで、再開発計画の実現をサポートするということでしょう。
もともと福井県の地方銀行は、地域産業への資金供給を目的に、官製でなく民間資本により設立された経緯があり、地域産業の育成を使命とする考え方が強くあります。そのため、各自治体と包括連携協定を締結し、地域が抱える社会課題に対して、自治体と民間企業等がお互いの強みを活かし協力しながら課題解決に対応する、いわゆる公民連携に取り組んでいます。もちろん、民間のノウハウを活かしながらビジネスとして収益性を確保する責務も負っています。

大手都市開発ディベロッパーにとっても、人的ネットワークが乏しい地方都市の地権者とのトラブルを避けることができるメリットがあります。
地域の再生は地方銀行にとっても経営基盤の維持・強化にもつながるものです。この挑戦が奏功し、北陸新幹線開業を機に地域の活性化が進むことを期待したいものです。

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