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コラム No.52-5

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プロパティマネジメントが不動産価値を上げる (5)イノベーションによってBEMSはさらに進化する

公開日:2018/08/30

BEMSは単にビルのエネルギーを管理するだけにとどまらず、災害や火災などのビルの安全性、ひとりひとりの生産性を高める快適性、様々なデータの集積による新たなビジネスの創出までを含んだ、未来への可能性を持ったシステムです。

東日本大震災をきっかけにBEMSの開発が急速に進む

BEMSは、東日本大震災をきっかけに、大きく進歩しました。突然起こった電力不足や将来いつ起きるかも分からない事態に備えるためにも、省エネルギーやエネルギー供給の適切な管理が大きな課題となったわけです。
災害時でも事業を止めずに継続することを、「事業継続マネジメント(BCM)」と呼びますが、特に震災以降は、災害が起こっても、スムーズに事業が継続・再開できるような機能を求める企業が増加し、BCMを含んだBEMSの機能を持つことが、オフィスビルや工場などにおいて必要条件となりました。
また、震災後は電力料金の値上げもあり、電力エネルギーのコントロールによる電気料金のコントロールや新電力に対応するBEMSの開発も進みました。
さらに、ICT技術、ネットワーク技術の進歩とともに、通信規格の標準化やクラウドサーバーの活用などによってデータの蓄積、共有、分散がローコストで実現するようになり、これまで大規模ビルでしか採用されなかったBEMSが、中小規模のビルにでも大きなコストをかけることなく採用できるようになりました。
そして今や、再生エネルギーの活用、スマートグリッドと呼ばれるICT技術によってリアルタイムにエネルギー需要を把握し、効率良く電気を送電する仕組みづくりにまで発展しています。特にスマートグリッドは、国や自治体も強く推進しており、日本が注力する産業分野のひとつとして、今後のさらなる発展が見込まれています。

資源エネルギー庁「省エネルギー対策について」

資源エネルギー庁から平成27年4月に発表された「省エネルギー対策について」では、「2030年に向けた追加的な主な対策の全体像」という項目の中で「BEMS」が次のように重視されています。

「見える化による意識改革、設備更新による効率化、設備運用改善。BEMSはこれら省エネルギーの構成要素に必須なシステムであること」また、「BEMSの効用を最大限発揮させるため、エネルギーマネジメント支援サービスの活用を促進することが、BEMSの普及と併せて重要」

具体的には、ビル・家庭において、エネルギー使用状況、活動環境の状況、消費者の行動把握など、センサー・カメラを用いた情報収取(BEMS・HEMS・スマートメータの導入)を行い、その情報を活用することで、使用者や電力供給の状況に応じた最適なエネルギー管理サービスを提供し、エネルギー消費効率を最大化(同時により快適な活動環境を提供)するスマートなビル・住宅の実現を目指すというものです。さらに、「電力システム改革をきっかけとして、新たなサービス提供ビジネスを活性化していく」とし、建築物については、2030年までに新築建築物の平均でZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)を実現することを目指すとしています。

図1 IoT等を活用した新たなエネルギーマネジメントの実現

資源エネルギー庁 総合資源エネルギー調査会資料より抜粋

BEMSはICTの力でより進化する

時代のニーズや技術の変化にともない、BAS(ビルディングオートメーションシステム)は、BEMS(ビルエネルギーマネジメントシステム)として機能を拡大し、大きな進化を見せてきました。そして、資源エネルギー庁が描くビジョンも見えてきました。
将来、このようなビジョンを実現していくには、一企業や一自治体だけで努力しても、限界があります。国や自治体、民間企業、大学などが緻密に連携をとり、オープンな環境の中で、イノベーションを目指す、いわゆる「オープンイノベーション」の考え方と行動が不可欠です。
さらに、BEMSでは実に様々なデータが収集できます。IoTやAIの活用によって様々なビッグデータを蓄積し、そのデータをVRやARなどのICTの最新技術を組み合わせたり、異業種との積極的なコラボレーションを図り、データを科学的に分析、応用したりすることができれば、様々な新しいサービスやアプリケーションに開発につながります。そのためにも、あらゆるプレーヤーがデータを共有できるようなオープンな環境が必要となります。
働く人々が大半の時間を費やすオフィスや工場を起点にしたサービスは、実に多くのデータが眠っています。単に省エネルギーや快適空間の確保のみならず、技術の進化とユニークな発想によって、資源エネルギー庁が提唱するように、新たなサービスが出現する可能性は十分にあるといえるでしょう。

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