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コラム No.82-10

CREコラム

不動産テック入門(10)「クラウドファンディング」

公開日:2020/05/29

不動産投資はある程度の資金と知識が必要で、誰もがすぐにできるものではありませんが、不動産証券化同様、小口化されたファンドを購入する方法があります。それが不動産投資におけるクラウドファンディング。気軽にできる面もありますが、ファンド運営者の適切な運営が求められます。

不動産投資の小口化に道筋?

クラウド(Crowd)は、群衆または大衆、ファンディング(Funding)は資金調達(拠出)、財政支援の意味があります。クラウドファンディングは、インターネットを通じて不特定多数の人が資金を出してファンド(Fund=基金、資金)を作り、お金が必要な人または事業に融通し、その対価として配当などを受け取る仕組みのことです。
日本では2000年代後半、オークション型のソーシャルレンディング(Social Lending)を取り扱う民間業者が登場し注目されましたが、クランドファンディングもソーシャルレンディングもインターネット上の融資仲介サービスの点で変わりはありません。

不動産テックの領域では、クラウドファンディングの運営サイトが数多く立ち上げられています。そこでは、資金を集めて不動産投資を行ったり、資金が必要な不動産事業者と不動産投資を始めたい個人投資家をマッチングさせるサービスなどがあります。これまで不動産投資は、ある程度の資金と知識を求められてきましたが、古民家を改築(リノベーション)してサイトで紹介するなど、一般の個人投資家に親しみやすく物件を案内し、不動産投資の小口化を実現させています。

不動産投資といえば、都心や地方の中核都市でのオフィスや商業施設、物流センター、大規模マンションなど規模の大きい物件に対する投資のイメージがあります。こうした物件への投資は、資金力のある企業や資産家に限られていました。

一方、不動産は大規模物件ばかりでなく、一戸建てのものや小規模のホテル、最近ではシェアハウスなど従来と比較すれば比較的小規模の不動産物件が登場しています。こうした不動産は、若い世代を中心に人気がある反面、建設や改築費用の調達において金融機関の融資が必ずしも十分ではない現実があります。大手の不動産会社と違い、こうした建設の事業者は大手ほどの資本力がなく信用力が必ずしも高くないためリスクがあり、銀行にとってうま味のある融資対象ではないからです。

古民家再生案件から海外不動産まで多彩

そこで登場したのがクラウドファンディングです。既存の不動産物件と異なり、小規模の不動産のため、調達する資金も巨額ではありません。そこで一般の人々に1口1万円で広く浅く集めてファンドを作るという発想から生まれました。出資した小口投資家には、投資物件への優先または体験入居などの恩典が付いている場合もあり、若い世代に評価されているようです。

不動産投資のクラウドファンディングは、賃貸用のビルやマンションの建設資金、地方に建設する古民家や短期滞在型の多目的ビジネスオフィスの内装工事といった案件から、医療関連施設と商業施設からなる複数の案件を盛り込んだローンファンド(投資信託)、海外不動産に特化したものなど様々なタイプがあります。

その多くは投資募集総額が数千万円から数億円で、1口1万円から投資することができます。クラウドファンディングを運営する事業者が、いわば「胴元」になって投資家から小口資金を集める一方、不動産を建設する資金を調達したい事業者に資金を拠出します。

運営サイトには、案件ごとに募集総額や1口当たりの出資金額、運用利回り、リスク説明などが紹介されています。一定規模の資金(ファンド)を小口化したものを有価証券として購入するので、仕組みとしては、信託受益権を保有する不動産証券化に類似しているといえるでしょう。

「胴元」の健全運営が成長のカギ

投資単位が少額なので、投資できる階層は幅広くなりますが、小規模といえども投資対象は不動産ですから、投資案件をじっくり検討するには、やはり相応の知見は必要と思われます。各社のサイトには、「スマートフォンで僅か1万円から簡単に不動産投資」などと誘い文句が躍っていますが、リスクは必ずしも低くはありません。

クラウドファンディングは、投資先がビルやオフィスを建設したのち、定期的な賃貸収入や物件の売却代金などキャシュフロー計画が適切ならば良いのですが、途中で建設が止まったり、稼働率が低下して賃貸収入が減少したりすれば投資家は損失を被ることになります。予定通り完成し安定収益が見込まれ売却できなければ、投資家は分配金や配当を受け取ることはできません。

実際、ビルや住居などの不動産の建設が停止して案件そのものが中断し、プロジェクトがなくなった例もあり、事業停止しているファンドも見受けられます。クラウドファンディングを運営する企業が「胴元」として適切な運営をしなければ、不動産のクラウドファンディングは健全な成長は望めないのではないでしょうか。

大手の不動産会社にとっては採算性が乏しい不動産でも、小規模の資金で社会的に貢献できる不動産案件は少なくありません。巨額を投じる大規模開発も必要ですが、生活様式(ライフスタイル)が多様化している現在、地味ながらも地域の人々に役立つような不動産開発は今後、増えていく可能性があります。そのときに、健全なクラウドファンディングが必要になってくると思われます。不動産テックにおけるクラウドファンディングの成否は、運営主体の手腕にかかっているといえるかもしれません。

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