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コラム No.82-9

CREコラム

不動産テック入門(9)「ローン・保証」

公開日:2020/04/30

住宅ローンは金融機関にとって個人向け貸し付けの大半を占める重要な事業です。しかし近年は長期的な低金利局面が続いていることから、以前に比べて収益性が低下しています。そこで住宅ローン希望者を取り込むため、不動産テックで登場した「仕掛け」を金融機関が導入。こうしたツールを導入して集客力の向上を図っています。また不動産業者が物件購入者に対して行う住宅融資の手続きを支援するアプリも注目されています。

銀行代理業務の裾野拡大が背景に

住宅ローンは信販会社などのノンバンクでも取り扱っていますが、銀行や信用金庫などの金融機関が主要な貸し手のビジネスです。ところが、超低金利状況が長期化したことで住宅ローン金利が下がり、超長期の融資といえども利益を確保しにくいローン商品になっています。大手銀行のなかには住宅ローン自体を取り扱い停止にしたり、地方の支店では住宅融資の業務を中止し、代わりに地方銀行と組んで住宅融資を代行してもらっているところも出てきています。

住宅融資の需要が低下しているわけではありません。持ち家は一生に一度の大きな買い物であり、住宅ローン市場は堅実なマーケットであり続けています。ただ収益的には、依然と比較すれば利益幅が薄くなっているので、融資コストを軽減することが求められているのです。

そこで各行は、経費節減と集客力向上を狙ってインターネットを活用した顧客獲得に注力しています。既存のインターネット専業銀行が住宅ローンに積極的に進出して残高を伸ばしていることも危機感を抱かせる一因になっています。ネット専業銀行は人件費を低減できるメリットを生かして、住宅ローンを強力に推進しているのです。

金融機関は銀行法という厳格な法律のもとで多くの規制に縛られて業務を展開してきました。しかし2000年代前半に金融不況が一段落して以降、金融の担い手の拡大という規制緩和の波が押し寄せ、一般企業にも銀行に代わって一部の金融業務を代行することが認められました。これにより、銀行代理業契約を結んでいる銀行との間で、住宅ローンなどの金融商品を取り次ぎ販売することが可能になりました。住宅金融支援機構の住宅ローン「フラット35」の取り次ぎで急成長したフィンテック系の会社は、独自の住宅ローンも開発・販売しており、「ローン・保証」のテック領域では抜きん出た存在です。

図1:「ローン・保証」の不動産テック領域の背景

顧客誘引の手数料が比較サイトの収益源

「ローン・保証」の不動産テック分野で最も多い事業は、住宅ローンの比較サイト運営ビジネスです。サイトを訪れた人は希望する住宅ローンの借入額、借り換えの場合は借入残額などを入力し、その情報を基に返済シミュレーションを行います。そしてサイトが用意した各金融機関の住宅ローンの商品から最適な商品を選んで提示する仕組みです。

サイト訪問者がシミュレーションの結果を基に選択した銀行にアクセスしたり、申し込んだりすれば、該当する銀行からサイト運営者に一定の手数料が支払われる事業モデルと思われます。これはクレジットカードなど個人ローンの比較サイトと構造的に同じビジネスモデルです。

金融機関がこうしたサイトと提携するのは、前述したように、住宅ローンにかかるコストをできるだけ軽減し、低金利で提供している住宅ローンでの利益を確保するためです。固定・変動ともに年利は1%以下の状況では、住宅ローンの営業も経費をかけて積極的に展開できません。インターネットが持つ顧客誘引力に頼らざるを得ないのです。

不動産業者の融資支援業務をサポート

不動産業者にとって住宅ローンは物件購入者の存在を意味します。通常、住宅購入を希望する人は、住宅展示場やマンション販売説明会などに足を運び、物件探しを開始します。そこでは住宅建設メーカーや不動産仲介会社といった専門業者と出会い、様々な助言を受けます。
そして、希望する物件があれば住宅ローンの申し込みを行います。購入する物件が決まれば、不動産業者は顧客に代わって銀行と住宅融資について折衝します。担当者は大切な顧客を逃がすまいと必死になって助言します。しかし、担当者によって住宅ローン知識のレベルは温度差があります。住宅ローンの知識は顧客獲得のためには必要なものですが、こうした業務が負担になって営業の担い手を欠いたり、営業活動の時間が不足するようなことは避けたいものです。

そこで登場したのが、不動産業者を対象にした住宅ローン支援業務の効率化サービスです。不動産会社にとって、物件を購入する人がどのようなローン審査の状況にあるのかを把握できないのは不安であり、物件販売に支障をきたしかねません。住宅ローンの選定や銀行に提出する様々な申し込み書類で不備がないよう、顧客とともに事前準備していかなければいけません。ローンの正式契約の際には行政書士などの同席も必要な場合があります。そうした専門家の手配も、一般の人には経験がなく戸惑うものです。

図2:不動産業者の住宅融資支援業務を援護するツールも

金融機関にとっても、信用力のある不動産業者が紹介する顧客ならば、住宅ローンの借り手としては歓迎する傾向にあります。こうした住宅ローン手続きの支援で業務負担が軽減できるサービスを導入すれば、不動産会社はその労力を営業に振り向けることができるので、業務効率が改善します。具体的には、サービス提供会社からスマートフォンなどのチャット機能を使い、物件購入者に住宅融資の商品選びや銀行選定、申し込み手続きの日程調整などを代行します。 住宅販売は、商品自体が高価なものだけに手間と時間がかかるものです。それだけに営業に専念できる住宅融資の業務支援ツールは、既存の業務を革新するテックビジネスの好事例といえるのではないでしょうか。

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