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生活を考える

特集 アワガミファクトリー

真心で漉(す)く和の文化

デジタル化が進む現代においてなお、
紙が持つアナログな魅力に惹(ひ)かれる人は少なくありません。
阿波の国、徳島で約1300年にわたり受け継がれてきた阿波和紙(あわわし)は、
手触りや温もりを今に伝え、未来へとつなぐ貴重な存在です。
今回は、阿波和紙ブランド「アワガミファクトリー」の工房を訪ね、
和紙の伝統と可能性について伺いました。

悠久の時を紡ぐ自然と共にある文化

簀桁(すけた)と呼ばれる道具を操り、植物の繊維を絡み合わせて作る手漉き和紙。独特の風合いや素材感は、まさに職人の技と感性が織りなす芸術です。チャプチャプと水音が響く工房では、職人たちが紙の厚みや繊維の密度を細やかに調整しながら、一枚一枚丁寧に漉いています。

今回訪れたのは、阿波和紙ブランド「アワガミファクトリー」。徳島を横断する吉野川の南岸、阿波富士と呼ばれる高越山(こうつさん)の麓に位置し、近くには吉野川へと注ぐ川田川(かわたがわ)が流れる、自然豊かな環境です。清らかな水と、和紙の原料となる植物。この地の恵まれた地理的条件が、和紙の製造には欠かせません。

吉野川と高越山を望む町。雄大な自然に抱かれたこの地の利を生かして阿波和紙は製造されています

阿波和紙の起源は約1300年前までさかのぼります。古代朝廷に仕えた忌部族(いんべぞく)が阿波の国にやってきて、麻や楮(こうぞ)を育て、神道の儀式で使用する紙や布を製造したとの記録が残っているそう。天皇の即位に伴う大嘗祭(だいじょうさい)においても、忌部族は麁服(あらたえ)と呼ばれる麻織物を献上する重要な役割を担ってきました。この伝統は現代まで続き、今上天皇が即位された令和の大嘗祭でも阿波で作られた麁服が奉納されました。

「古来より、人は山々の植物から繊維をいただいて、紙や布を作ってきました。自然の恵みに感謝し、その一部を神様に捧げる。雨が降って植物が育ち、人々は再び食べ物や繊維を得られる―そんな循環の中で、日本人は暮らしてきたのです」。そう語るのは、アワガミファクトリーの母体組織である富士製紙企業組合代表理事の中島茂之さんです。

和紙を藍で染め上げる「藍染和紙」製造の技術にも長けるアワガミファクトリー

取り入れ方次第で現代の生活にも心地良く溶け込む阿波和紙

伝統を受け継ぐことは 伝統を変えていくこと

アワガミファクトリーでは、昔ながらの手漉きに加え、量産が可能な機械抄(す)きも行います。機械抄きとはいえ、仕上がりは職人の腕と勘に大きく左右されます。原料の状態や、その日の気温・湿度を見極め、確かな品質を維持しているのです。 また、阿波和紙を藍で染めた「藍染和紙」(画像1画像2)も代表的な製品の一つ。絶妙な濃淡が生み出す幾何学模様や、山深い風景を表現した「山並み文様(画像)」をまとった阿波和紙は、インテリアやアート作品としてホテルや博覧会などの場で採用されています。

阿波和紙製造が最盛期を迎えた明治期、川田川流域には約200軒もの紙漉き業者がありました。しかし、時代とともに和紙の需要は激減し、今もこの地で阿波和紙を作り続けているのは、アワガミファクトリーただ1軒のみです。

「伝統工芸は、守るだけでは廃れてしまう。今の時代、次の時代に求められる紙へと変化させることが必要です」と中島さん。注文通りの和紙を作るだけではなく、職人の技を生かしたオリジナル商品を開発したり、インターネットやSNSを活用して海外へ販路を拡大したりと、変化と挑戦をいとわないアワガミファクトリー。その姿勢は、経営理念に掲げる「私達は明日の文化と郷土の伝統を真心で漉き世界に伝えます」という言葉に、静かに息づいています。

和紙の新たな可能性を切り開いた製品の一つ、アート作品のプリントに適したインクジェット印刷用和紙は、国内外の名だたるアーティストに愛用されています。写真を印刷すると、絶妙な凹凸や長い繊維が被写体の質感をリアルに際立たせます。単なる再現を超えた、深みと温もりを宿す作品が生まれます。

他にも、壁紙用和紙の開発、アパレルブランドへの素材提供、SDGsに寄与するアップサイクル和紙の製造など、和紙の新たな用途を次々と開拓。受け継がれてきた技術を未来へつなぎ、和紙の魅力を国内外へ発信し続けています。

使用する繊維や仕上げ方によって、個性的な意匠が生まれる阿波和紙

多彩

重なる

手漉き和紙の工房内。アワガミファクトリーでは、手漉き・機械抄き合わせて1日約200トンもの水を必要とするそう

ちりを

下処理された楮の皮から、ちりやゴミを取り除く工程。全て手作業で行われ、和紙作りの中でも最も時間と根気を要する作業です。

熱してかす

蒸気を用いた乾燥機に和紙を張りつけ、水分を飛ばします。馬刷毛(うまばけ)を使い、しわにならないよう丁寧に張りつけます。

原料をぜる

水の中で原料を攪拌(かくはん)し、繊維をほぐします。美しい紙を漉くために、水中で繊維をむらなく分散させる役割を持つ「ねり」(トロロアオイの根)を混ぜ込みます。

雨をらす

漉いた直後の和紙にホースでまんべんなく水をまくと、雨上がりの地面のような不思議な模様が現れます。

繊維をませる

簀桁をゆらゆらと振り動かし、繊維を絡み合わせます。一枚一枚慎重に作業を進めるため、1日に漉くことができる枚数には限りがあります。

き取る

機械抄きで作った和紙を巻き取り、ロール紙にしていく作業。巻かれた紙は、壁紙やふすまなどのインテリア用和紙として使われます。

暮らしの余白に彩りを添える存在として

阿波和紙の魅力を広めるため、アーティストとのコラボレーションにも力を入れています。阿波和紙伝統産業会館にアーティストを受け入れ、長期滞在してもらいながら作品制作を支援する「ビジティング・アーティスト・プログラム」もその一環。技術を駆使した阿波和紙は、時に絵画用のキャンバスになり、時に立体作品へと形を変えます。「こんな和紙が作れるだろうか」という難しいリクエストにも、職人たちは柔軟な発想と技で応え、形にしていきます。

「そもそも和紙は、現代の衣食住の必需品ではありません。私たちは、生活のゆとりの部分に対して価値を提供しているんです」と語る中島さん。単なる商品製造にとどまらず、阿波和紙を通じて心地良さや喜びを提供すること、人々の心に安らぎを与える一助となることが、アワガミファクトリーの使命なのでしょう。

手漉き和紙の製法を守る一方で、「本当に伝統的なものは、すでに失われてしまった」という中島さん。「昔は山に自生する楮や雁皮(がんぴ)、三椏(みつまた)を原料として使っていましたが、今は多くを海外からの輸入に頼っています。しかし、ものづくりの価値が見直されつつある今、もう一度かつての手法に立ち返る必要があると感じています」

伝統を守りながらも、ものづくりの本質を見失わず、時代とともに進化し続けるアワガミファクトリー。その挑戦は、和紙の可能性を広げながら、明日の暮らしを豊かにしていくでしょう。

※阿波和紙の啓蒙と継承を目的に設立。手漉き和紙の工房やミュージアムショップなどがある

藍染和紙を用いたアートパネル。和紙の凹凸が見る者の心をつかみます

大分県由布市の旅館「旅想 ゆふいんやまだ屋」から依頼を受けて創作。由布岳と朝霧をイメージした意匠を藍染で表現しています

富士製紙企業組合の食堂。阿波和紙にデジタルプリントでデザインを施した壁紙が温もりのある空間を演出

工房からほど近い「いんべアートスペース」。阿波和紙を使った作品が国内外から集まり、展示の準備が進められています

阿波和紙伝統産業会館の天井に目をやると、阿波和紙のタペストリーが飾られています

らしに
和紙を取り入れる

藍染フロアライト

藍染のグラデーションが美しい手漉き和紙を使ったフロアライト。あかりをつけると幻想的な模様が浮かび上がります。

壁紙 棕梠(しゅろ)

稲藁(いなわら)を大きく漉き込んだ荒壁調の壁紙シリーズ。個性的な和の空間を演出します。

PROFILE

中島 茂之さん(なかしま しげゆき)

富士製紙企業組合代表理事
1976年徳島生まれ。大学卒業後、イギリス留学などを経て2004年にアワガミファクトリー入社。2024年より現職。

取材撮影協力

富士製紙企業組合

〒779-3401 徳島県吉野川市山川町川東136
TEL/0883-42-2035

2025年4月現在の情報です。

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