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生活を考える

ここちよいエクステリアの作り方 ⑥設計士が自邸を解説海とつながるウッドデッキで
おうちキャンプを叶える家

家づくりを考えるとき、建物を優先して、
エクステリアは後回し…という方は意外と多いかもしれません。
しかし、内(建物)と外(エクステリア)のつながりにこそ、
快適な住まいづくりのポイントが隠れているのです。

この連載では、ダイワハウスの設計士が「ここちよいエクステリアの作り方」を、
フロントガーデン、メインガーデン、植栽計画、照明計画といったテーマ別にご紹介してきました。

今回は、大和ハウス工業のトップデザイナーとして活躍する
ハウジングマイスター(社内認定)の吉田三郎が、自ら設計したこだわりの自邸を紹介。
海に面した絶好のロケーションを生かした住まいの主役は、
LDKよりも広く設計したウッドデッキだそうです。
エクステリアの設計でこだわったポイント、
12年住んでみて分かったことなど、実体験を語ります。

Profile

大和ハウス工業 佐賀支店 住宅設計課 主任
一級建築士 インテリアコーディネーター ハウジングマイスター(社内認定)

吉田 三郎

家のデザインとは、建物、あかり、家具、カーテン、庭、周辺環境、そしてそこに住む方のライフスタイルを調和させることです。美しい自然の中にいると心が癒やされるように、居心地の良い暮らしをデザインします。
そして家づくりは、お客さまと気持ちを共有し、一緒に一つひとつのステップを踏んで作り上げていくものですから、何よりコミュニケーションを大切にさせていただきたいと考えています。

住まいの主役はLDKよりも広く設計したウッドデッキ

福岡県の西端、唐津湾に面した場所に建つ、築12年の我が家です。サーフィンが趣味で海沿いの土地を探したところ、職場からは80km離れていますが、東が道路、西がビーチに面した絶好のロケーションを見つけました。

住まいの中心は、LDKよりも広く設計したビーチに面したウッドデッキです。ウッドデッキだけで25帖ほどあります。擁壁から30cmほどウッドデッキをせり出しているので、腰を下ろすと砂浜が視界から消えて、海とつながります。

広いLDKが好まれる傾向がありますが、広くても使うのはごく一部、というのが私の考えです。それなら、ウッドデッキとつなげることで空間を広く見せようと考えました。海という最高の借景と一体化させることを目指しました。

上の図はエクステリアの設計図です。右手が道路、左手が海です。海側のウッドデッキには高低差があり、広い方はLDKと同じ高さですが、狭い方は一段低くなっています。狭い方のウッドデッキの前に車庫兼倉庫があり、その床面に合わせたため一段低くなっていますが、思いがけずこの高低差が便利です。

食事をしたりくつろいだりするのは高い方のドライゾーン、ビーチから上がってきて砂を落としてシャワーを浴びたり、子どもがビニールプールを楽しむのは一段低い方のウェットゾーンと使い分けることができるので汚れにくいです。お客さまの間でもウッドデッキでビニールプールを楽しみたいというご要望は多いので、高低差をつけるのは一つのアイデアです。

ちなみに、シャワーはお湯も出る混合栓ですが、海の近くなら必須だと感じます。海の近くでなくても、おうちキャンプをするなら付けておくと何かと重宝します。

敷地は海との高低差が3mあり、はしごを降りてビーチに直接下りることができる。

刻々と変化する夕日を眺めながらのおうちキャンプ

リビングから裸足でウッドデッキに出られるようにしているので、室内で過ごすような感覚で日常的に活用しています。気候のいい日はウッドデッキにテントを張って外で寝たり、日差しを遮る折りたたみ式のタープテントを出して、炭火と七輪でバーベキューを楽しんだりしています。目の前のビーチは公共の海水浴場ですが、ピーク時でも人がそれほどいないので、視線が気になることもありません。

沈む夕日と海を眺めながらのおうちキャンプは至福のひとときです。学生の頃からキャンプ場に行くよりも誰もいない河原でテントを張って過ごすのが好きだったので、おうちキャンプは性に合っているなと思います。

我が家の場合、2階のバルコニーの屋根が90cmほどせり出しているだけなので、タープテントなどの日除けが必須ですが、現在のダイワハウスの工法なら2階の軒天をかなり深く出すことができるので、ウッドデッキを計画する方にはおすすめしています。

夜の照明計画は外壁に取り付けたウッドデッキ面を照らす照明と、ウッドデッキの先端に植えた植栽を照らすスポット照明によって、奥行きと開放感を演出しています。夜になっても室内のバーチカルブラインドは完全に閉じず、ウッドデッキの夜景を楽しめるようにしています。

一段低いウッドデッキに面した4帖の車庫兼倉庫。バイクが3台とサーフボード、キャンプ用品が納められている。

海暮らしでマリンスポーツ三昧。人が集まる家になった

ここに住み始めてからは、サーフィンだけでなくカヌーやサップなど、目の前の海でマリンスポーツ全般を楽しむようになりました。特に夏場は友人がたくさん遊びに来るようになり、人が集う家になりました。そんなときもウッドデッキが憩いの場となっています。

先日は、我が家のウッドデッキをステージにして、バンドを組んでいる小学生の息子がミニライブを開催しました。海という立地を生かした開放的な暮らしを満喫しています。

塩害の影響は?海沿いに住んで分かったこと

海沿いの建物のエクステリアは塩害の影響を避けられません。計画時に私自身が気をつけたこと、住んでみて気づいたことをご紹介します。

植栽の種類は限られる

潮風に弱い樹種も多いので、植えられるものは限られます。新築当初はウッドデッキの右側に潮風に弱いイロハモミジを自己責任で植えましたが、やはり枯れてしまいました。今は潮風に強いアカシアとオリーブを寄せ植えしています。ウッドデッキの左側にはトクサを植えています。

ウッドデッキは耐久性が高いイペを選択

ウッドデッキは天然木を選びました。堅くて耐久性が高いイペという高級木材で、屋外の公共施設などでも広く使われています。予算の都合で表面材をイペ、構成材はリーズナブルな木材にしたため、下地の部分だけが少し傷んでいます。

天然木のウッドデッキはシルバーグレーに経年変化するのが魅力です。お客さまは樹脂のデッキを選ばれる方がほとんどですが、天然木をおすすめしたいです。我が家ではホームセンターで購入した木材保護塗料を2~3年に1度、自分で塗っていますが、メンテナンスをしながら経年変化を楽しまれることをおすすめしたいです。

ガラス張りのバルコニーが潮で乳白色に

2階の部屋やバスルームから海を眺められるようにバルコニーを透明のガラスにしましたが、想像以上に潮で汚れて乳白色のガラスのようになります。

冬場は北西の風が吹きさらす

冬場は北西の風で吹きさらし状態になります。車のタイヤは劣化が早く、外部の金属類も錆びやすいですが、建物自体はまったく影響ありません。ダイワハウスの建物は気密性・断熱性が高いので、嵐のような日でも安心感があります。

住宅地のおうちキャンプに欠かせないのはウッドデッキ

居心地のいいウッドデッキのある実例

海沿いの立地ならではのおうちキャンプの魅力をご紹介してきましたが、もちろん住宅街でも設計の工夫次第でおうちキャンプは楽しめます。密集した住宅地でも、我が家と近隣の家の間に広がる風景や、視線の抜けは必ずあるので、それを探してウッドデッキやタイルテラス、芝生などをしつらえれば、居心地の良いおうちキャンプスペースができます。周囲の視線が気になる場合は、塀を設置することや、建物をコの字型、L字型などにして中庭を作る方法もご提案できます。

私は必ずウッドデッキをご提案します。窓の外にこうした中間領域があると庭が活用しやすくなり、リビングの床とフラットに作ることで空間を広げる効果も期待できます。ウッドデッキはタイルテラスに比べて直射日光があたっても熱くなりにくく、タイルテラスは汚れても掃除がしやすいのがメリットです。お好みで選びましょう。

デッキやテラスは面積を広げるとその分予算もかかるので、一部を芝生にする方がコストは抑えられます。椅子とテーブルが広げられる程度の広さのデッキやテラスを作り、テントは芝生に張るというプランが現実的かもしれません。実際、おうちキャンプをすると、テントで寝る機会はそうそうないので、テントを張るスペースにこだわる必要はないかもしれません。おうちキャンプをする予定がない方でも、ウッドデッキはぜひ作っておいて損はない設備です。

立地を選ぶとおうちキャンプがもっと快適になる

新しい生活様式になってから、おうちでキャンプをしたいというご要望を多く聞くようになりました。土地を選ぶときは「駅から近い」「学校から近い」など利便性で選ぶことが多いですが、おうちキャンプの視点で土地選びをするのも一つの考えだと思います。

海沿いの立地なら我が家のような借景を生かした開放的なおうちキャンプが楽しめますし、森の中や高台も気持ちがいいと思います。都会から離れた場所も一つの選択肢として、長い目で検討していただきたいです。自然に囲まれた豊かな暮らしが満喫できますよ。

※記載の内容は取材時点のものです。
※掲載されている実例写真の外観や仕様等につきましては、敷地、周辺環境等の諸条件や地域の条例、その他諸事情により、採用できない場合もございます。

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