CASE6
医療施設
斎藤労災病院
- 所在地:
- 千葉県千葉市
- 構造:
- 鉄骨造
- 延床面積:
- 4,072m2
- 竣工:
- 2015年2月
- 用途:
- 急性期一般病床(50床)、医療型療養病床(42床)、通所リハビリテーション
開設以来、地域医療に貢献してこられた医療法人社団福生会様。地域の医療ニーズや環境の変化に対し、ソフト面だけでなく建物にもその都度改良を加えてこられました。既存建物の増築や施設内に5つの病棟を建築されてきましたが、その一部で老朽化や耐震性への不安が高まってきました。
こうした状況をふまえ、以前より病院機能の効率化や利便化をご検討されていた同法人では、新たな病棟の建築と分散されている機能の集約化を計画されました。
計画のポイント
新病棟の適地として隣地を選定
医療法人社団 福生会様では、これまで敷地内で施設の増改築を繰り返してこられましたが、生活道路によって敷地が一部分断されている箇所もあり、「効率的な動線と患者様や職員の快適性・利便性の確保」のために、病棟機能の集約・整理をご決断。新病棟の候補地は、駐車場として借用されていた隣地を選定されました。土地オーナー様に対しては、大和ハウス工業が地道に交渉し、借地契約を締結。結果、隣接する介護施設との連携が、よりスムーズに図れることとなりました。
2009年に開設された介護施設「あんしんかん」。新病棟を隣地に建築したことで、病院との連携強化も図れました。
一つの病棟で完結するための施設づくり
新病棟は、1階部分に外来、2階に一般急性期病床(50床)、3階に医療療養病床(42床)、そして4階には外来・入院患者様向けのリハビリテーション室と地域の利用者様向けの通所リハビリテーションを行うデイケア「そうかいかん」を設けました。
4階部分に設けられたデイケア(通所リハ)の「そうかいかん」。比較的軽度な地域の利用者様を対象に、フィットネス感覚の使い方もできるなど、対象範囲を拡げた運営が可能となっています。
旧施設の役割を同時に整理して機能的な医療施設へ
新病棟の完成によって、5つの病棟はそれぞれ機能整理が行われました。まず、従来の外来棟は、人間ドックや来院健診を行う「健康管理センター」機能を移してリニューアル。介護療養病床は旧施設に残したものの、新病棟に機能を移転した残りの3病棟に対しては、さまざまな活用案を検討されています。
斎藤労災病院の新たな“顔”となる新病棟。健康管理センターと「あんしんかん」の間に建ち、動線の面からみても各施設との連携が取りやすくなりました。
お客様の声
1棟完結の新病棟を核に、介護との連携強化を実現。
地域の在宅支援をより充実させていきます
医療法人社団 福生会 斎藤労災病院 理事長 斎藤 順之様
私たち医療法人社団福生会は、1947年に千葉市に開設された斎藤医院を前身に、1973年には医療法人を設立。斎藤労災病院を開設しました。現在、急性期の一般病床、慢性期の医療療養病床と介護療養病床(計134床)を有し、地域医療の中核病院として幅広い診療を行っています。
現在、併設している健康管理センターでは、各種健康診断・人間ドック・巡回健康診断・健康診断後の体制を整えており、病気の早期発見早期治療だけでなく病気を発病させない一次予防と健康の保持増進にも力を入れております。
さらに、急速な高齢化に対応すべく2009年5月に介護施設「あんしんかん」を開設し、医療と介護の両面において地域貢献に取り組んでいます。
新病棟を計画するにあたり、「あんしんかん」の建築をお願いした大和ハウス工業さんに、ぜひ力を貸していただこうと思いました。建物自体のクオリティはもちろんのこと、こちらの要望に対する対応力に感心していたからです。隣地というこれ以上ない適地との契約が結べたのも、その交渉力によるものだと感じています。
建物プランは、数社検討しましたが、大和ハウス工業さんから提案いただいたプランは、敷地が最大限に活用されており、想像していた以上のキャパシティが確保されていました。これにより、外来、急性期一般病床、医療療養病床という機能を、一つの病棟の中に機能的に配することができました。より詳細なプランをつくり上げるため、数名の職員と営業や設計の担当者の皆さんが幾度も打ち合わせを行い、色使いや設えなどの細かな部分にも納得いくまで検討を重ねてきました。おかげで、職員たちにとって『自分たちの病院』だという意識が生まれたようで、各自の業務へのモチベーションが上がっているのを感じます。また、4階部分にデイケアを新規開設しましたが、充実した機能の新しい施設ということで、理学療法士などの優秀なスタッフの確保も非常にスムーズでした。
今後の展開として考えているのは、「当院ならではの在宅支援」を確立すること。私たちは、完成した新病棟を「医療の面における包括ケアの核」として位置づけ、隣接する「あんしんかん」を、退院患者様の受け皿としてだけではなく、在宅医療を受けたい方の住まいとしても機能させていきます。この医師と患者様とのコミュニケーションがとりやすい距離感を活用して、地域の「真のかかりつけ医」を目指していきます。