CASE27
医療施設
医療法人りんどう会 向山病院
- 所在地:
- 大阪府枚方市招提元町1丁目36-6
- 構造:
- 鉄骨造
- 敷地面積:
- 2,167m2(656坪)
- 延床面積:
- 3,994m2(1,208坪)
- 竣工:
- 2024年11月11日
- 用途:
- 一般病棟 10:1基準 /42床(地域包括ケア病棟31床)、回復期リハビリテーション病棟基準I/43床 計85床
1984年(昭和59年)、向山病院は外科を中心とした病院として開設され、地域から信頼される「かかりつけ病院」として、誠実な医療を実践されてきました。その後、時代の変遷とともに、身近な地域の治療を提供したいという思いから、2012年に療養病棟を回復期リハビリテーション病棟に転換。「良くして帰す、そして支えるリハビリ機能を持った地域密着型病院の創造」を理念として掲げ、「sub acuteの機能として何かあった際に対応できる病院として」「post acuteの機能として良くして帰すリハビリテーション機能を持つ」「強化型在宅療養支援病院として住み慣れた場所の生活を支える」の3つの機能をモットーとして診療に携わっています。
2017年には向山地域包括ケアサポートセンター(MHCC)を開設し、医療と在宅支援、介護の連携を強化することで、患者さんの退院後の生活支援にも力を注がれています。入院、外来、通所、訪問による一貫したリハビリテーションを行い、幅広く地域医療に貢献されています。
計画のポイント
多床室を見直し、時代に適した医療環境を提供
旧病院で最大の課題だったのが入院病棟の多床室です。多床室はプライバシーの確保が難しく、その狭さからしっかりとしたリハビリテーションも困難で、患者さんが家に近い環境に順応していく障壁となっていました。向山病院の「良くして家に帰す」という理念のもと、今回の建替えで、プライバシーの確保、リハビリテーション機能が改善し、広いスペースで安定した入院生活が送ることができる新病院が完成しました。

患者の目線を大切にする施設へ
建替えにあたっては、患者の目線を最優先しました。時代の変化により価値観が変わり、病院に求められるものも大きく変わっています。入院している患者さんに家に近いようなくつろげる環境を提供すること、当院の職員が自分の病院に家族を入院させたいと思えるような病院にしたいという理事長の切実な思いのもと、計画はスタートしました。


完成後は、外来の患者さんも増え、入院の紹介もお断りしなければいけないほど増加。以前入院したことがある患者さんには、「明るくて広いね。本当に良い病院ができたね」と言っていただき、家族の方からも「ありがとう」という言葉をいただいています。患者の目線を大事にする病院が生まれました。
食堂に隣接したリハビリスペース
設計で重視したのが「リハビリが十分に行えるスペースの確保」です。新病院ではリハビリスペースと食堂を隣接させたことで、家族が訪れた際には、食堂から患者さんがリハビリに取り組む様子を見守ることができます。プライバシーを確保しながらも、オープンな空間設計を取り入れることで、安全性にも配慮。また、リハビリスペースの外でも、病棟内の廊下の手すりを利用しての歩行訓練など、身近なところでリハビリが行える環境が整いました。こうした設計によって、患者さんの生活が垣間見えるような、より生活に近い病院が実現しました。


分かりやすさとデザインの融合
設計は大和ハウス工業にお任せいただきました。「明るい、面白い、病院でも施設でもない、心地よい病院で、思い切って斬新なアイデアにしてほしい」という理事長の希望をかたちにでき、非常に良い建物になったと評価いただきました。
施設内では、「分かりやすいデザイン」にもこだわりました。病室やトイレなどの各部屋にある表示には細かな配慮が行き届いたデザインが施され、機能性とデザイン性を両立。病院施設としての新たな魅力を生み出しています。こうしたデザインは、理事長自ら病院や駅、商業施設、百貨店などを見学し、案内表示の工夫を参考にしながら設計担当者と相談を重ね、設計のコンセプトに取り入れられたものです。


お客様の声
患者への対応も大きく改善。さらに在宅診療と医療・介護との連携を密にとっていきたい
医療法人りんどう会
理事長:多田 正知 様
枚方には大学病院、公立公的病院など高度な急性期医療が充実した地域です。また老人ホームや高齢者専用住宅などの介護施設も多くある一方で、その間を支えるつなぎの部分が足りていません。そこに当院の役目があります。
大きな病院で手術した後にADL(Activities of Daily Living:日常生活を送るために必要な基本的な動作)が落ちている方を家に帰すためのリハビリテーションの治療、帰った後の生活を整えるケアマネージャーさんとの話し合い、介護の方との話し合いなど、大病院ではなかなかできないことに役割があると考えています。
高齢者をいかに支えていくか。それは、高齢者が家に帰って豊かな生活を送れるかどうかにかかっています。健康寿命を伸ばしてしっかり支えていく。何かあった時には私たちが面倒を見て、また家に帰る。まさに「ほぼ在宅、ときどき入院」であり、「良くして」「帰す」、そして「支える」のがこれからの私たちの役割です。
2020年に建替え計画がスタートしてからいろいろな方の意見を聞きに行きました。情報収集として、大和ハウス工業さんのセミナーは非常に参考になりました。受講したセミナーは斬新なアイデアを持った若い先生が講師で、これからやっていくための新しい考え方を提供していただきました。
建設業者の選定では、すべてパッケージで行っていただけることが決め手になりました。大和ハウス工業さんはハウジングメーカーですが、マンション、商業施設、物流施設など、さまざまな事業があります。病院建設においても専門部隊があり、事例をはじめ、全般的な流れ、考え方など、いろいろなことを教えてもらいました。私たち医療関係者は大きなことは分かっても、細かいところまではなかなか手が回りません。大和ハウス工業さんは専門的な知識も持ち、医療マネジメント業界とのネットワークもお持ちなので、今の時代の流れに沿った提案をしていただきました。
プロジェクト全体の計画、管理も素晴らしいものでした。現在の資材の高騰、人出不足によって、当初の計画と大きく狂ってしまった事例をよく聞く中、大和ハウス工業さんは計画通りに実行していただきました。計画の遅れや予算オーバーは病院経営をするうえで大きなダメージとなり、縮小の可能性すら出てきてしまいます。大和ハウス工業さんの総合力のおかげだと思っています。
まずは今の形をしっかりと守っていきたい、在宅診療と何かあったときの入院体制を充実させていきたいと考えています。病院が新しくなってまだ2カ月ほどですが、職員の輝き方が変わりました。建替えは職員のモチベーションにも大きく影響します。非常に忙しい毎日の中、患者さんが増えて、入退院も激しく繰り返しているのですが、職員の皆様が、生き生きとした顔で出勤していただいています。
今回核となる新病院を建てたことで、何かあった時の対応が非常にやりやすくなりました。これからさらに在宅診療と医療・介護との連携を密にしていく必要があると思っています。


































