大和ハウス工業株式会社

DaiwaHouse

CRE戦略

2025.9.30

拡大する不動産小口化商品(共同出資型不動産)市場、ポイントを解説

  • #CRE戦略
  • #不動産投資

現在、「不動産小口化商品」と呼ばれる、「小口化」された不動産の投資商品市場が拡大しています。不動産小口化商品は、不動産を分割し複数人で所有・出資できる金融商品のことで、文字通り、不動産が小口化して販売されます。たとえば10億円のマンション1棟を200口に分け1口500万円、あるいは100口に分け1口1000万円で投資家が購入するという仕組みです。かたちとしては、同じ不動産に共同で出資することになりますから、「共同出資型不動産」とも呼ばれています。

不動産の用途は、賃貸マンションやオフィスビル、商業施設、小規模宅地など多岐にわたり、主に賃貸用として貸し出され、得られた賃料収入を投資口数に応じて投資家に分配します。

昨今の土地や建築費の値上がりもあり、不動産に1人で投資するには大きな資金が必要となっていますが、小口化されることによって、不動産投資が行いやすくなったといえます。

不動産を所有するかどうかで種類が分かれる

不動産小口化商品にはいくつかの種類があります。主な種類は以下の3つです。

任意組合型

不動産小口化商品を購入した複数の投資家が組合を作り、収益と損益をシェアする形態、これを任意組合型と呼びます。不動産の所有権は組合財産として共有されます。共有であるため、リスクは分散され、しかも所有しますので、相続時や贈与時における資産の評価額は、路線価や固定資産税評価額をもとに算出され、現物不動産への投資と同様に、(現金などと比べて)評価額が下がる可能性があります。

信託受益権型

信託受益権型は、不動産信託を利用して、投資家が「信託受益権」を取得し、口数に応じて不動産の賃料収入や売却益を受け取るという方式です。信託による倒産隔離規定が適用されるため、事業者が倒産した場合でも倒産などのリスクにも対応できます。また、「任意組合型」と同様に、信託受益権の評価には相続税評価額が適用されるため、相続や贈与の対策として効果が期待できます。現物不動産の取得と異なり、土地や建物の不動産取得税はかからず、登録免許税も軽減されます。市場はそれほど大きくはありませんが、相続対策や長期的な資産運用商品として注目されています。

匿名組合型

匿名組合型は、「不動産クラウドファンディング」など少額から参加できるため、不動産小口化商品として提供される数がもっとも多い方式です。数万円単位から投資を行うことも可能のため、若い人や不動産投資初心者でも購入しやすいといえます。不動産の所有権は事業者が持ち、投資家は、事業者との匿名組合契約に基づき出資し、配当を得ます。配当金は原則、雑所得となりますので、ほかの方式のように、評価額の低減など相続対策に活用することはほとんどできません。

【不動産小口化商品の主な種類】

商品タイプ 所有権の
帰属
相続対策への
効果
特徴
任意組合型 共有持分 評価圧縮効果あり 投資家が口数に応じて対象物件を購入し、その不動産を任意組合に現物出資(出資者が持ち分だけ不動産の一部を所有する)
信託受益権型 信託受益権 一般的に評価圧縮効果あり 不動産信託を利用して投資家が「信託受益権」を取得(不動産信託型商品)
匿名組合型 受益権 圧縮効果は限定的 投資家が不動産事業者に出資する(クラウドファンディング型商品など)

不動産特定共同事業法が投資家を保護

不動産小口化商品は、不動産特定共同事業の一環であり「不動産特定共同事業法」(1994年(平成6年)に制定)に基づいて運営されています。

国土交通省によれば、出資を募って不動産を売買・賃貸等し、その収益を分配する事業を行う事業者について、許可等の制度を実施し、業務の適正な運営の確保と投資家の利益の保護を図ることを目的として制定されました。その後、2017年(平成29年)法改正により、小規模不動産特定共同事業を創設するとともに、クラウドファンディングに対応した環境が整備されました。また、2019年には、「未来投資戦略2018」を踏まえた改正等、何度か改正が行われました。

少額から不動産投資が可能で、管理の手間も不要

一般的に大きな資金を必要とする不動産投資ですが、小口化により少額からの投資が可能となり、多様な物件に投資ができる分、リスクを分散することにつながります。地域や不動産の用途、運営形態まで組み合わせることができれば、同じ不動産投資の中でも、自分に合ったポートフォリオを作成することも可能となります。

また、他の金融商品と違い、不動産小口化商品(任意組合型/信託受益権型)の場合、小口に分割されているとはいえ、その持ち分だけ実際に投資家自身が保有することになりますので、不動産を実際に確認することもでき、投資する上での安心感にもつながるでしょう。

不動産小口化商品の場合、管理面での手間がほとんどかからないのもメリットのひとつです。入居者の募集から建物のメンテナンスなど、一般的な賃貸不動産の経営管理には、かなりの手間がかかりますが、不動産小口化商品ではプロが管理を行いますので、煩わしさがありません。

相続対策にも有効な不動産小口化商品

前述したように、不動産小口化商品(任意組合型/信託受益権型)の場合、出資分だけ保有することになりますので、現金を相続する場合と異なり、相続財産は、土地の路線価と建物の固定資産税評価額をもとに「相続税評価額」が算定されることになります。また、賃貸不動産の相続の場合は、貸家評価減、貸家建付地評価減、小規模宅地等の特例も活用できるケースもあります。

また、現物不動産の場合、複数の相続人に対し均等に分割するのは困難ですが、不動産小口化商品であれば、口数に応じた分割が可能となり、相続時のトラブル回避にもつながるでしょう。

リスクも考慮しながら慎重に行う

リスクが分散され、相続対策にも効果があるといわれる不動産小口化商品ですが、不動産投資に違いはなく、不動産小口化商品固有のリスクも存在します。

任意組合型/信託受益権型の場合、不動産を所有するかたちにはなりますが、流動性という面では低くなります。運営を行うのは事業者であり、自分の持ち分のみを売買することが難しくなります。また、不動産小口化商品への投資においては、複数人が共同で施設を所有するという特性を持つため、一般的には金融機関からの融資は受けることができません。

こうした、不動産小口化商品の特性を理解した上で、ご自身の投資の目的に照らし合わせながら、様々なタイプや仕組みを持つ不動産小口化商品を選択するようにしてください。

また、不動産投資は長期にわたります。短期的な収益だけではなく、相続まで含めた長期的な視点を持ち、投資に向き合うことも大切なことです。

他の記事を読む

このページの先頭へ
ビズ・リブネスが既存不動産を即戦力に変えていく 最適な解決法をご提案し、オーダーメードでスキームをつくりあげます。

企業不動産の売却(買取・仲介)、
購入、改修について
お気軽にご相談ください。

ご相談・お問い合わせ

大和ハウス工業のビジネスソリューション

大和ハウス工業オフィシャルサイトトップ

個人のお客さま

住まいを探す

大和ハウスグループの住まいを探す

(土地情報 / 新築・中古一戸建て / 新築・中古マンション)

法人のお客さま