CRE戦略
2025.9.30/更新 2026.6.30

現在、大規模な不動産開発やクラウドファンディングを活用したスキームの広がりなどを背景に「不動産小口化商品」と呼ばれる、「小口化」された不動産の投資商品市場が拡大しています。不動産小口化商品は、不動産を分割し複数人で所有・出資できる金融商品のことで、文字通り、不動産が小口化して販売されます。たとえば10億円のマンション1棟を200口に分け1口500万円、あるいは100口に分け1口1000万円で投資家が購入するという仕組みです。かたちとしては、同じ不動産に共同で出資することになりますから、「共同出資型不動産」とも呼ばれています。
不動産の用途は、賃貸マンションやオフィスビル、商業施設など多岐にわたり、主に賃貸用として貸し出され、得られた賃料収入を投資口数に応じて投資家に分配します。
昨今の土地や建築費の値上がりもあり、不動産に1人で投資するには大きな資金が必要となっていますが、小口化されることによって、不動産投資が行いやすくなったと言えます。

不動産小口化商品にはいくつかの種類があります。主な種類は以下の3つです。
不動産小口化商品を購入した複数の投資家が組合を作り、収益と損益をシェアする形態、これを任意組合型と呼びます。不動産の所有権は組合財産として共有されるかたちになりますが、共有であるため、リスクが分散されると言えます。
信託受益権型は、不動産信託を利用して、投資家が「信託受益権」を取得し、口数に応じて不動産の賃料収入や売却益を受け取るという方式です。信託による倒産隔離規定が適用されるため、事業者の倒産などのリスクにも対応できます。現物不動産の取得と異なり、土地や建物の不動産取得税はかからず、登録免許税も軽減されます。市場はそれほど大きくはありませんが、相続対策や長期的な資産運用商品として注目されています。
匿名組合型は、「不動産クラウドファンディング」など少額から参加できるため、不動産小口化商品として提供される数がもっとも多い方式です。数万円単位から投資を行うことも可能なため、若い人や不動産投資初心者でも購入しやすいと言えます。不動産の所有権は事業者が持ち、投資家は、事業者との匿名組合契約に基づき出資し、配当を得ます。配当金は原則、雑所得となります。
【不動産小口化商品の主な種類】
| 商品タイプ | 所有権の帰属 | 特徴 |
|---|---|---|
| 任意組合型 | 組合員共有 |
|
| 信託受益権型 | 受益者 |
|
| 匿名組合型 | 営業者 (事業者) |
|

不動産小口化商品は、不動産特定共同事業の一環であり「不動産特定共同事業法」(1994年(平成6年)に制定)に基づいて運営されています。
国土交通省によれば、出資を募って不動産を売買・賃貸等し、その収益を分配する事業を行う事業者について、許可等の制度を実施し、業務の適正な運営の確保と投資家の利益の保護を図ることを目的として制定されました。その後、2017年(平成29年)法改正により、小規模不動産特定共同事業を創設するとともに、クラウドファンディングに対応した環境が整備されました。また、2019年には、「未来投資戦略2018」を踏まえた改正等、何度か改正が行われました。
また国土交通省では、2025年4月に、一般投資家の参加拡大といった環境の変化を踏まえ、投資家がよりわかりやすく安心して投資できる市場の整備が必要であるとして、今後の不動産特定共同事業のあり方についての検討会が設置されました。

一般的に大きな資金を必要とする不動産投資ですが、小口化により少額からの投資が可能となり、多様な物件に投資ができる分、リスクを分散することにつながります。地域や不動産の用途、運営形態まで組み合わせることができれば、同じ不動産投資の中でも、自分に合ったポートフォリオを作成することも可能となります。
また、他の金融商品と違い、不動産小口化商品(任意組合型/信託受益権型)の場合、小口に分割されているとはいえ、その持ち分だけ実際に投資家自身が保有することになりますので、不動産を実際に確認することもでき、投資する上での安心感にもつながるでしょう。
不動産小口化商品の場合、管理面での手間がほとんどかからないのもメリットのひとつです。入居者の募集から建物のメンテナンスなど、一般的な賃貸不動産の経営管理には、かなりの手間がかかりますが、不動産小口化商品ではプロが管理を行いますので、煩わしさがありません。

現物不動産の場合、複数の相続人に対し均等に分割することは現実的に難しいですが、不動産小口化商品であれば、一口単位で保有しているため、口数に応じた分割ができます。物件の選別など、完全に公平ということにはならないかもしれませんが、株式などのほかの金融資産と同じような分割ができると言えますので、相続時の資産分割においてのトラブル回避にもつながるでしょう。
ただし、相続税の評価方法については、国会で成立した税制改正「令和8年度税制関連法」によって、大きく見直されることになりました。不動産小口化商品は、以前は現物不動産と同様に、土地は路線価、建物は固定資産税評価額によって評価されていましたが、この改正では、不動産小口化商品は取得した時期にかかわらず、「通常の取引価額(時価)に相当する金額」で評価されることになりました。つまり、その取得の時期にかかわらず、相続開始または贈与時における通常の取引価格に相当する金額によって評価されます。2027年(令和9年)1月1日以降に相続が発生した場合、過去に購入した小口化商品も原則としてすべて時価評価となりますので、相続対策を念頭に不動産小口化商品を購入された方、また今後購入を検討されている方は、税理士に相談しながら、対策を行うことをおすすめします。

リスクが分散され、相続対策にも効果があるといわれる不動産小口化商品ですが、不動産投資であることに変わりはなく、不動産小口化商品固有のリスクも存在します。
任意組合型/信託受益権型の場合、不動産を所有するかたちにはなりますが、流動性という面では低くなります。運営を行うのは事業者であり、自分の持ち分のみを売買することが難しくなります。また、不動産小口化商品への投資においては、複数人が共同で施設を所有するという特性を持つため、一般的には金融機関からの融資は受けることができません。
こうした、不動産小口化商品の特性を理解した上で、ご自身の投資の目的に照らし合わせながら、様々なタイプや仕組みを持つ不動産小口化商品を選択するようにしてください。
また、不動産投資は長期にわたります。短期的な収益だけではなく、相続まで含めた長期的な視点を持ち、投資に向き合うことも大切です。
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