「公民連携のまちをつくる」 持続可能なまちづくりの先進都市、富山市。
大和リースは富山市とともに、
まちなかのにぎわいを創出する公民連携のプロジェクトに取り組んだ。

大和リース株式会社 富山営業所 統括所長 粕谷 昌浩 大和リース株式会社 富山営業所 規格建築営業所 所長 土肥 正幸 大和リース株式会社 富山営業所 統括所長 粕谷 昌浩 大和リース株式会社 富山営業所 規格建築営業所 所長 土肥 正幸

大和リース株式会社 富山営業所 統括所長

粕谷 昌浩 【MASAHIRO KASUYA】

1992年:入社、旧浦和支店に配属

2015年:富山営業所に異動、統括所長に就任

大和リース株式会社 富山営業所 規格建築営業所 所長

土肥 正幸 【MASAYUKI DOI】

1991年:入社、富山営業所に配属

2015年:富山営業所 規格建築営業所 所長に就任

富山市役所 企画調整課 主幹 岸 聡之 さま 富山市役所 企画調整課 主幹 岸 聡之 さま

富山市まちなか総合ケアセンター 所長 酒井 敦子 さま 富山市まちなか総合ケアセンター 所長 酒井 敦子 さま

左から

富山市役所 企画調整課 主幹 岸 聡之 さま

富山市まちなか総合ケアセンター 所長 酒井 敦子 さま

多世代交流を育む総曲輪レガートスクエア多世代交流を育む総曲輪レガートスクエア
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先進のコンパクトシティ

Spirit of Hearts

人口減少が進む中、持続可能なまちづくりを進め、国内はもとより世界からも注目されるまちがある。2012年、経済協力開発機構(OECD)により、コンパクトシティ※の先進事例として世界の5都市のうちの1つに取り上げられた富山市だ。

富山市は、富山県の約1/3の面積を占め、住民が広く分散している。そこで、中心市街地にLRT(次世代型路面電車)などの公共交通機関を整備。住民にはその沿線へ移住してもらえるよう、魅力的な施設の整備や補助金など、さまざまな施策を打ち出してきた。効果は着実に表れ、中心市街地は転入超過を維持し、小学校児童数も増加している。

そして、まちなかのにぎわいを創出し、質の高いライフスタイルを実現する次の一手として、中心市街地にある旧総曲輪小学校跡地の活用事業を計画。スキームとして、公民が連携して公共サービスを提供するPPPを活用することに。プロポーザルの結果、大和ハウスグループの大和リースを中心とするチームが選ばれた。

※都市の中心部に医、職、住、交通などの都市機能を集中させ、住民の利便性向上や行政コストの低減を図る概念。

DパーキングとヘルスケアローソンDパーキングとヘルスケアローソン
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テーマは医療・福祉・健康

Spirit of Hearts

2017年4月、公民連携の交流拠点「総曲輪レガートスクエア」が誕生。8,700m2の敷地に公共施設として、地域包括ケアの拠点となる「富山市まちなか総合ケアセンター」、「パティオ(広場)」が整備された。民間は6施設が集まり、医療福祉・調理製菓の専門学校「学校法人青池学園」、スポーツクラブの「グンゼスポーツ富山レガートスクエア」、 富山を代表する製薬会社である廣貫堂のカフェ「バルツェル」、「ローソン富山総曲輪店」と「ファーマみらい広貫堂薬局」を併設した北陸初のヘルスケアローソン、大和ハウスグループの立体駐車場「Dパーキングレガートスクエア」がある。また、当初より郊外からの移設が決まっていた富山市医師会看護専門学校も敷地内に建つ。

富山市まちなか総合ケアセンター

学校法人青池学園

グンゼスポーツ富山レガートスクエア

大和リースが提案したのは、「医療・福祉・健康」をテーマに多世代交流を育む健康拠点。富山市の岸さまは、そのコンセプトに適した民間事業者を取りまとめた大和リースの手腕を評価する。

「最も大きなポイントは、専門学校を誘致してくれたことです。青池学園と看護専門学校を合わせると、定員880人の学生さんがここへ来ることに。統廃合で使っていなかった跡地に、人の流れが生まれ、周辺のにぎわいにもつながりました」。

乳幼児から高齢者まで利用する富山市まちなか総合ケアセンター乳幼児から高齢者まで利用する富山市まちなか総合ケアセンター
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公と民の相乗効果が生まれる

Spirit of Hearts

「富山市まちなか総合ケアセンター」には、子育て支援や在宅医療、地域コミュニティーを醸成する機能が集約されている。驚くのは、このセンターがきっかけで国のルールが変わったことだ。

2階の「病児保育室」は、子どもが保育所などで体調不良になるとタクシーで迎えに行き、かかりつけ医を受診後、預かるシステムを導入。国との交渉で「お迎え型病児保育」が新たに国の要綱に加わり、送迎費の助成が認められた。訪問診療のみを行う「まちなか診療所」は、主治医不在時の往診代行を行う他、介護度の重い患者や終末期の患者を多く受け持ち、多忙な地域の開業医を支えている。3階の「産後ケア応援室」は、産後の母子に宿泊やデイケアを提供。宿泊施設のため、当初は「旅館業」として登録するしか選択肢がなかったが、国への要望を出し続けた結果、産後ケア事業のガイドラインに「産後ケアセンター」として新たに位置づけられた。

タクシーでのお迎えを導入した病児保育室

訪問診療のみを行うまちなか診療所

和洋の客室に宿泊できる産後ケア応援室

1階の「こども発達支援室」は、発達の遅れが心配される子どもの訓練や相談を行い、2018年度は延べ11,505人もの利用者があった。地域コミュニティーの場である1階「まちなかサロン」は、市民主体で催しを実施。健康講座やヨガ教室など、連日多くの人でにぎわっている。

富山市まちなか総合ケアセンター所長の酒井さまは、この活況は「総曲輪レガートスクエア」全体の魅力が寄与していると考える。

「センター単体だと利用者が限られ、閉鎖的だったと思います。けれども周りにスポーツクラブやカフェ、学校があり、まち全体の魅力度が高い。それで地域の人たちが来てくださり、センターへの来館も増えているのではないでしょうか。まさに公と民の相乗効果が出ているのを感じます」。

公と民が協力して理想の施設を具現化公と民が協力して理想の施設を具現化
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多世代が交流する仕掛けづくり

Spirit of Hearts

大和リースは、モノを消費するのではなく、多世代が交流しながらコト(体験)の消費を楽しめるよう、さまざまな仕掛けを提案した。

カフェやスポーツクラブなどをつなぐ2階デッキ部分は「ギャザリングスペース」と名付け、3つの建物を設置してレンタル可能に。1つ目の「ギャラリー」は企業のミーティングなどでも人気だ。2つ目は「バル」。期間限定でかき氷店が出店した時は大行列ができた。3つ目の「和室」は有名な左官職人が内装を仕上げたこだわりの空間だ。他にも、まちのメインストリートである「貫通通路」をイベントなどでレンタルできるようにした。

複数の建物がつながる立体的な設計

各施設を行き来できる2階デッキ

市民に貸し出すギャザリングスペース

中庭の「パティオ」は、計画では芝生だけだったが、地域住民の散歩や休憩場所になるように方向修正し、富山のリンゴや樹齢100年のオリーブなどを植樹。近くの幼稚園児たちの遊び場になっている。

ギャザリングスペースの管理やまちなかサロンの運営は、大和リースが支援するNPO法人「まちづくりスポットとやま」が担う。

さらに、まちのにぎわいを長期的に維持・発展させていくには、公民の協力体制が不可欠だと考え、「総曲輪レガートスクエア協議会」の立ち上げを提案。公民の担当者が月に1度集まり、さまざまなイベントを企画・実行する。毎年夏に開く「親子ガーデン」は、2018年には約2,000人を集客。貫通通路での雑貨フェア、子ども向けの青池学園おやつ作り教室、グンゼ腰痛体操、看護学校での子ども看護師体験などを実施した。

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時代の変化にどう対応するか

Spirit of Hearts

「総曲輪レガートスクエア」は、全国からの視察が相次ぐ。「全国自治体・視察件数ランキング2018 人口規模別ランキング(人口30万人以上)」※において、「富山市」は1位、「総曲輪レガートスクエア(富山市まちなか総合ケアセンター)」は2位に輝いた。国内だけでなく、韓国や中国、東南アジア、ヨーロッパからも視察に訪れるという。

大和リース富山営業所の統括所長、粕谷は「これほどまでに注目されるとは思っていませんでした。苦労が報われます」と喜ぶ。そして「全国の自治体さまが抱えている課題解決に向けて、総曲輪レガートスクエアがヒントになれば」と考える。規格建築営業所所長の土肥も「この活況は富山市長のリーダーシップや職員の皆さまの前向きな取り組みに支えられたものだと感謝しています」と語る。

また、民間施設の土地は、大和リースが富山市から30年間の事業用定期借地権設定契約で借りていることもあり、富山市の岸さまは「30年にわたって取り組む事業ですが、大和リースなら長期的に安定した事業を推進していただけるはず」と期待を寄せる。

大和ハウス工業の創業者は「時代の変化に、どう対応するか」という言葉を残した。「総曲輪レガートスクエア」は、富山市が時代の変化に対応するべく取り組んだ先進プロジェクトだ。市の理念と行動に学び、粕谷は今、改めて思う。

「まだまだできることはたくさんある。日々進化しながら、時代に合った取り組みを考え、お客さまと一緒に進んでいきたい」。

※出典/日経BP総研Webサイト「新・公民連携最前線」アンケート調査

※掲載の情報は2019年8月時点のものです。

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