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コラム
<リノベーション>
長生きのカギは室温にあり!
「断熱リフォーム」で健康&快適な住まいに

昔から人々は家に対して「快適に過ごすための工夫」を凝らしてきました。これに加えて「人生100年時代」と言われる今「健康でいる期間をいかに長くするか」という観点が家にも求められています。

家の造りと健康について、ご自身の家についてだけでなく、親が住む家、将来ご自身がお世話をするかもしれない親族が住む家についても考えてみませんか?

このコラムでは、家が人の健康に及ぼす影響や、どのような家が健康的で長生きできるのかご説明します。

POINT 01 健康的に過ごせる住みよい家とは?

まず、健康的に過ごせる住みよい家を目指すことのメリットを考えてみましょう。具体的にご紹介すると、以下のような点が挙げられます。

  • ・病気になりにくい
  • ・事故を起こしにくい
  • ・病気やケガをした家族のケアに対する負担が少なくなる
  • ・介護予防(介護が必要になるリスクを減らすこと)ができる=健康寿命(健康でいる期間)が延びる
  • ・介護にかかるコストを減らすことができる

TOPIC
家庭内の事故は、想像以上に多い!

「家庭内での事故」は想像以上に多いものです。
たとえば、入浴中の事故死は推計5,097人ですが、これは交通事故死(同年、警察庁交通局)2150人のおおよそ2倍以上の数です。入浴中の事故死の原因は多様で単純な比較はできませんが、ヒートショックや転倒など、脱衣所や浴室の造り方によって避けられるものが多く、大和ハウスグループでも事故予防を目指すさまざまなご提案をしています。

※資料:消費者庁「無理せず対策 高齢者の不慮の事故」(令和4年12月)

健康的に過ごせる住みよい家とは、どんなものなのか、具体的に見ていきましょう。

(1)暖かい家

2018年11月27日、世界保健機関(WHO)は、健康と住宅に関する勧告の中で、「暖かい家」と「断熱」などを勧告しました。この2つが健康を維持するのに非常に重要であることを世界に向けて発表したのです。勧告の内容は以下のとおりです。

  • ・冬季室温は18℃以上(小児や高齢者にはさらに高い室温)
  • ・新築、改修時の断熱

まだ研究の余地はあるものの、冬季の室温が18℃以上であることによる呼吸器系・心血管疾患の罹患、死亡リスクへの影響、高断熱住宅に住むことは健康状態の改善に関連があることなども併せて紹介されました。住環境の改善により「健康寿命が4歳延びる」という調査結果もあります(※)。

※出典:林侑江、伊香賀俊治、星旦二、安藤真太朗:住宅内温熱環境と居住者の介護予防に関するイベントヒストリー分析ー冬季の住宅内温熱環境が要介護状態に及ぼす影響の実態調査ー日本建築学会環境系論文集,Vol.81,No.729, 2016.11

介護・福祉施設に頼らざるを得ない時期を4年も先にできたら……
ご家族と過ごせる時間は増え、かかる費用も抑えられます。

TOPIC
「発病と室温の関係」とは?0時室温が18℃を下回ると……

発病と室温との関係については、国土交通省による調査が進んでいます。その結果、0時室温が18℃を下回ると、高血圧発症のリスクは3.5倍に、脳卒中発症リスクは5倍になることが確認されました。発病と室温については、今後もさらなる研究が必要となるでしょう。

出典:前川・安藤・伊香賀・星・海塩 「寒冷環境による循環器疾患発病リスクの関するコホート研究」日本建築学会九州支部 2016年3月

海外の家と比較すると、2016年より前に建築された日本の家は、断熱を重視した構造とは言い切れません。当時はあくまでも「省エネの一環としての断熱性能」であり、現在ほど断熱が重視されていなかったからです。なお、2016年省エネルギー基準の断熱性能の基準は非常にレベルが高く、省エネ基準に含まれるものではありますが、断熱性能に関しても問題がないものになっています。

日本に暮らす私たちは、「断熱」を意識することが重要だと考えましょう。平成28年基準ではない家については、特に断熱を意識したリフォームが重要です。各ハウスメーカーなどは独自の技術でより高い断熱性能を持つ家や設備を開発しています。

TOPIC
温暖な地域ほど冬の死亡率が高いのはなぜ?

「暖かさが健康に関係するなら、暖かい地域の方が冬の死亡率が低いのでは?」と思われるかもしれません。ところが、日本では温暖な地域における死亡率の方が、そうではない地域に比べて高くなっているのです。特に、栃木、茨城、山梨などが高い死亡率を示しています(※)。

出典:国土交通省 第49回住宅宅地分科会 伊香賀臨時委員提出資料

これは、「寒冷な地域ほど寒さへの対策ができている家が多い」ということが大きな要因です。比較的温暖な地域であっても「温度差」が大きいケースは多く、これが死亡率の高さに繋がっていると言えるでしょう。厚着をすることや暖房器具で部屋を一時的に暖めるだけでは、限界があることがわかります。冬に起こりやすい「ヒートショック」は、急激な温度差により血圧が大きく変動することで、失神や心筋梗塞、脳梗塞などを引き起こし、身体へ悪影響を及ぼす現象です。これを防ぐには、部屋ごとの温度差をなくし、家全体を暖かくすることが大切です。そのためには、断熱が必要になってきます。

(2)段差が少なく、外に出やすい・動きやすい家

健康で長生きできる家には、「外に出やすい・動きやすい」というポイントも重要です。

■家の中に段差が少ない

歩道や公園など屋外はもちろん、家の中においても、高齢者の場合は特にちょっとした段差でも転倒のリスクが高くなります。

たとえば、家事をするにしても「キッチンからリビング、リビングから洗濯機置き場、洗濯機置き場からベランダ」などの移動になるでしょう。自分の部屋を持っている方であれば、「自室からリビング、リビングからトイレ」などの移動も発生します。

このように生活する中でよく移動するエリアに「段差」が少ないことが、「ケガのリスクが低い家」となります。

健康なうちは気にならないかもしれませんが、「段差」は将来的にはリスクになりうるものと考えておきましょう。

■段差の少ない玄関、段差から身を守る手すり

玄関の段差は、土や砂が廊下に入り込むのを防ぐためにもある程度必要です。肝心なのは「段差を減らすこと」だと考えましょう。ただ、外に出れば段差がある場所があり、段差に慣れることも必要という意見もあります。状況によって適した対策を施しましょう。

「健康的に長生きできる家」というのは、「日々の生活がしやすい家」でもあります。家における日々の課題に注目し解決していくことが、人生100年時代における、住みよい家にリフォームする際の大きなテーマだと言えるでしょう。

POINT 02 健康的で住みよい家にリフォームするには?「断熱」を中心に考える

ここまで、「健康で長生きできる家」にとって、「暖かさ」がとても重要であることをご説明しました。リフォームにおける具体的な方法としては「断熱」となります。家の中の熱を外に逃がさないためには、どんな方法があるのでしょうか。断熱性を強化するリフォームについてご説明します。

(1)窓やドアなどの開口部をリフォームして熱の出入りが少ない家に

家の中に必ずある「開口部」。出入りや採光、換気のために必要なものですが、最も熱の出入りが激しい部分となります。下記の図をご覧ください。

窓からの熱の出入りが一番多い 夏に流入する熱の割合 74% 冬に流出する熱の割合 52%

出典:YKKap『かんたんマドリモ 内窓 プラマードU 業務用カタログ』p19より
【算出条件 窓からの熱の流入出比率】
■使用ソフト:AE-Sim/Heat(建築の温熱環境シミュレーションプログラム)/(株)建築環境ソリューションズ
■気象データ:「拡散アメダス気象データ」2000年版 基準年/(一社)日本建築学会
■住宅モデル:2階建て/延床面積 120.8㎡/開口部面積32.2㎡(4~8地域)「平成25年省エネルギー基準に準拠した算定・判断の方法及び解説Ⅱ住宅」標準住戸のプラン
■躯体:平成28年省エネルギー基準レベル相当
■窓種:アルミ(複層ガラス)

■窓は二重窓に

熱の出入りが最も大きな窓ですが、断熱性に優れた樹脂の「二重窓」にするだけで室温の流出と外気の流入がぐっと減ります。日本の家における樹脂サッシの導入は17%とまだごく少数に留まっていますが、アメリカでは65%、ドイツでは64%の家に導入されており(※)、その効果の高さが伺えます。また、樹脂サッシの熱伝導率はアルミサッシの約1,000分の1となっています。

出典:[日本]平成29年住宅建材使用状況調査、日本サッシ協会(2017)[ドイツ、イギリス、フランス]Interconnection Consulting(2016)[アメリカ]Home Innovation Research Labs(2013)[中国]樹脂サッシ普及促進委員会(2000)、YKK AP調べ[韓国]日本板硝子(株)調査データ(2011)

なお、二重窓については断熱以外にもさまざまなメリットがあります。

【二重窓導入のメリット】

  • ・断熱と省エネ効果…冷暖房の効率アップ。節電効果が期待できる。
  • ・結露抑制…結露を抑え、カビの発生も防ぐ。窓辺が快適に。
  • ・防音…外の騒音が気にならない。家からの音も漏れない。
  • ・防犯配慮…二重窓は破壊しにくく防犯対策に。

これらに加え、窓を変えることで「窓の近くは寒いからソファを置きたくない」などの問題も解決します。「窓際」が「壁」と同じような扱いになれば、部屋を広く使えるケースも増えるでしょう。

もちろん、換気も重要です。二重窓にすると気密性が上がりますので、家の換気も見直してみましょう。吸気口からの冷たい空気を軽減する熱交換タイプの換気扇もあります。

玄関については、「鍵を閉めていても通風ができるタイプ」などを利用すると、外出時に換気を行うことが可能です。また、開き戸でも開閉をアシストしてくれる画期的なアイテムもあります。障がいをお持ちの方にもやさしいドアを選ぶことも、将来を見据えたリフォームを考えるうえで大切なポイントです。

■家のドアや引き戸を断熱効果があるものに

玄関のドアや引き戸は、比較的簡単に断熱効果が高いものに変えることができます。勝手口や部屋のドアも同様です。低コストで済む大きな理由は、壁を壊さずにリフォームできるためです。

もちろん、お選びになるドアや引き戸の材質により費用は異なりますが、ドアは窓と同じく熱の流入や流出が大きいため、家全体の断熱にも繋がる効果的なリフォームとなります。少ないコストで高い断熱効果や省エネ効果を得たい方は、ぜひ検討してみましょう。

なお、玄関は断熱だけでなく「換気」や「採光」についてもしっかりと考える必要があります。さまざまなドアや引き戸がありますので、ご自宅に合ったものを選びましょう。

(2)床や壁をリフォームして冷気が伝わりにくい家に

床や壁なども断熱性の高いものにすると、より暖かい家を実現できます。床下、天井裏、外壁などに断熱材を付加するのです。

  • ・床下…発泡ウレタンを吹き付け、床下の冷気が室内に入り込まないよう遮断する。
  • ・天井裏…高性能断熱材を付加。家全体の暖かさをキープする。
  • ・外壁…高性能断熱材を付加。難易度が高いため、家の状態を確認しながら検討する。

ここまでのお話をまとめたのが下記の図です。

ドア 難易度【低】壁を壊さず、最新のドア・引き戸にリフォーム(勝手口もOK!) 天井裏 難易度【中】高性能の断熱材で家全体を暖かく! 窓 難易度【低】窓を二重に!樹脂サッシ 床下 難易度【低】発泡ウレタンを吹き付けて、床下の冷気を遮断! 外壁 難易度【高】高性能の断熱材で外皮(壁)の断熱性を向上!

出典:『住まいを良くする断熱リフォームカタログ』(大和ハウス工業株式会社 総合技術研究所による検証)

優先順位としては、窓・ドア > 床下 > 天井裏 > 外壁となりますが、ご自宅の状況によっても異なりますので、専門家に相談しながら、ご予算にも無理がないよう進めていきましょう。

■リフォーム資金はどうする?

リフォームにかかるお金については、誰もが気になるポイントです。「リフォームはしたいけど、資金が……」と頭を悩まされている方もいらっしゃると思います。

しかし、こういった健康や省エネを目的としたリフォームは政府も推奨しており、さまざまな補助金・助成金も用意されています。また、税金の控除などもありますので、ご家庭内だけで資金を捻出しようとする必要はないかもしれません。これについては『リフォームの“お金”がわかる!補助金・税務対策ハンドブック』の中でも詳しくご説明しています。まずはリフォームせずに現在の家で過ごす場合の、ご家族のライフビジョンを書き出してみましょう。5年後や10年後にどんなことがありそうか、きっと何かが見えてくるはずです。

リフォームのお金がわかる!補助金・税務対策ハンドブック ダウンロードはこちら

POINT 03 「健康で長生きできる家」の目的は、充実した未来を目指すこと

大和ハウスグループがおすすめするのは、ご自宅を建ててから20年を目安に「家の問題点を確認し、解決を目指すこと」です。20年もするとご家族を取り巻く状況も変わり、家を購入した当時にはなかった課題が存在します。また、「20年後」を考えることも重要になります。過去20年とこれからの20年では、家に求めることがまるで変わるからです。

「健康で長生きできる」と言うと、それ自体が目的のように思われるかもしれませんが、その結果実現するのは、「自分がやりたいと思うことができる充実した未来」です。できるだけ介護を必要とせず自分で生活できる未来、また、ご家族や親など、「自分以外の誰か」の介護負担が減ればそれだけご自身の自由な時間が増え、介護費用もかかりません。家のあり方とご自身の未来が密接にかかわるものだと考え、家を「アップデート」していきましょう。

大和ハウスグループでは、このような考え方のもとに「健康で長生きできる家へのリフォーム」をご提案しています。もちろん、大和ハウスグループでなくともリフォームは可能です。まずは「自分の将来に影響を及ぼす大切な要素」としての家づくりができるパートナーをお探しいただければなによりです。

もしこのコラムや、『リフォームの“お金”がわかる!補助金・税務対策ハンドブック』に基づいて相談してみたいと思われましたら、ぜひお気軽お問い合わせください。ご自身の家だけでなく、親御さまやご親族の方の家についてのご相談、補助金や助成金についてのご相談などもお待ちしています。

リフォームのお金がわかる!補助金・税務対策ハンドブック ダウンロードはこちら

教えてくれたのは・・・
リブネス誕生以来、情報交換していた、大和ハウスリフォーム株式会社の石橋氏に健康とリフォームについて伺いました。(2021年4月より大和ハウス賃貸リフォーム(株)に異動)

※掲載の情報は2023年9月現在のものです。内容は変わる場合がございますので、ご了承ください。

写真:Getty Images

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