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生理って“個人の問題”で終わらせていいの?ルナルナがひらく、女性の健康課題と社会のつなげ方

連載:未来の旅人

生理って“個人の問題”で終わらせていいの?ルナルナがひらく、女性の健康課題と社会のつなげ方

2026.4.28

    毎月のように訪れる生理。多くの人にとって当たり前の現象でありながら、その不調や、つらさは長く「個人の問題」として処理されてきました。ですが、今、その前提が変わり始めています。

    通常時のパフォーマンスを100%とすると、生理時は平均57.6%まで低下する——

    この事実は、生理が個人の体調の問題にとどまらず、職場や社会全体の生産性にも関わる課題であるといえるかもしれません。こうした変化の中で、女性の健康課題を「見える化」し、社会に接続してきたのが、生理日予測アプリ「ルナルナ」です。

    個人の中に閉じていた問題は、どのようにして社会の課題へと広がっていったのか。そして、それはこれからの社会をどう変えていくのか。ルナルナ事業部 事業部長の那須理紗さんに話を伺いました。

    ※ 『ルナルナ オフィス』を提供する株式会社LIFEMによる調査から。

    生理が「女の子の日」だった時代から。「ルナルナ」の変遷と社会の変化

    女性のための健康管理アプリ「ルナルナ」は、生理日記録・予測を軸に置きつつ、時代の変遷とともに、妊活や更年期、初潮サポートといった領域にまで、その役割を広げてきました。現在の累計ダウンロード数は、2,200万(2025年6月時点)にのぼります。

    画像提供:ルナルナ

    「近年は『すべての女性の一生に寄り添うウィメンズヘルスケアサービス』と謳っていますが、現在も、コアとなる機能は生理日記録と予測です。ただ、初潮から閉経まで、ライフステージによって同じ生理であっても困りごとや悩み、気になることがまったく違います。そこで、ユーザーのさまざまなニーズに応える形で機能やサービスを提供してきました」。

    アプリは無料で利用可能ですが、有料のプレミアムコースでは、ルナルナ独自のアルゴリズムを用いて妊娠しやすい日を予測できるほか、パートナー共有機能や監修医師への相談機能といった妊活・健康管理機能が充実しています。

    このほかにも基礎体温を管理する「ルナルナ 体温ノート」(写真左)、オンライン診療でピルの処方が受けられる「ルナルナ おくすり便」、妊娠中・育児中のママ向けアプリ「ルナルナ ベビー」(写真右)、ルナルナに記録した生理日や基礎体温などのデータを連携先の婦人科で簡単に見てもらうことのできる「ルナルナ メディコ」など、女性の健康管理にまつわるさまざまな機能・サービスを展開中。
    画像提供:ルナルナ

    「ルナルナ」の前身となる有料デジタルサービスが誕生したのは、ガラケー時代の2000年です。生理日管理サービスは当時としては先進的すぎたため、3大キャリアすべての申請に通るのに7年もかかりました。

    「サービスローンチ当初からユーザーの利用継続期間の長さや反響の多さから、ニーズがあることは確信していました。ですが当時は、生理というワードは公に受け入れられるものではなく、『女の子の日』などと言い換えて"隠していた"時代です。キャリア側もどう扱えばいいのかわからず、戸惑っていたのだと思います」。

    なぜ生理はオープンにならないの?

    そもそも、多くの女性に起こる自然現象であるにも関わらず、なぜ生理はオープンに語られてこなかったのでしょうか。

    「生理は多くの人に起こる自然なことですが、日本では長らく『人に話すものではない』『自分の中で対処するもの』という空気があり、オープンに語られにくいテーマでした」。

    さらに、これには日本特有の事情も関わっていると、那須さんは言います。

    「理由の一つに『日本の医療制度が優れすぎているから』というのがあります。もちろん医療制度が充実しているのはすばらしいことですが、アメリカをはじめとする諸外国は、日本ほど医療制度が充実していないところが多く、予防の意識が高いんです。中高生からユースクリニックなどで婦人科と接点があり、生理についても保健室の先生と話すぐらい気軽に相談できる環境が整っています」。

    「一方で、日本はその安心感からか、病気になってから病院に行けばいいという感覚が一般的。生理に関しても、多少の不調があっても深刻なものとして受け止められにくく、『生理だからこんなものだろう』と女性たちが一人で悩みやつらさを抱え、自分で工夫して我慢するのが当たり前でした。確かに生理自体は"病気ではない"ですが、その背景に病気が潜んでいるケースもあるんです」。

    ようやく日本社会の意識が変わってきたのは、2020年頃のこと。フェムテックブームの到来が、その契機になりました。フェムテックとは、生理、妊娠・出産、更年期などの女性特有の健康課題を技術(テクノロジー)で解決する製品やサービスを指します。ルナルナのような生理日管理アプリはもちろん、今では女性たちの中で当たり前になった吸水ショーツや月経カップなどもフェムテック製品です。

    「2020年はフェムテック元年といわれ、私自身、社会の変化を肌で感じた年でした。海外からフェムテックの情報が入ってきたことで、女性の健康課題に対する社会的な意識が急激に高まりました。その後、経済産業省が女性の健康課題による経済損失を数値にして打ち出したことも追い風となり、生理の問題は徐々にオープンに語られるようになっていきました。課題の共有とテクノロジーによって、解決のための選択肢も増えていったんです」。

    「離職」「休職」も含めると、女性特有の健康課題による社会全体の経済損失は年間約3.4兆円。生理は欠勤とパフォーマンス低下を引き起こし、その労働生産性損失額は約5,700億円にのぼります。経済産業省「女性特有の健康課題による経済損失の試算と健康経営の必要性について」(令和5年度調査/令和6年2月)を参考に編集部が作成。

    生理の問題は、社会を構成する1要素

    こうした時代の変化に合わせ、ルナルナでは近年、企業や自治体向けのサービスに力を入れています。

    2024年7月から開始した自治体向けサービス「ルナルナ みらいサポート」は、ルナルナのtoC向けの有料機能(プレミアムコース)を、提携する自治体の住民に、約2年間無料で提供する取り組みです。ライフプランも含めて将来の妊娠の可能性を考えていく取り組みにも寄与し、女性の健康支援や地域の出生率の増加につながることが期待されています。2026年4月現在、連携協定は16件、77自治体で導入され、すでにその成果も見え始めているそうです。

    ルナルナのプレミアムコースの画面。
    画像提供:ルナルナ

    「細かい分析はこれからですが、一次データとして『ルナルナ みらいサポート』を導入した地域では、アプリ内での妊娠報告数が増加傾向にあることなどが確認されています。また、生理周期や体調などの情報をパートナーと共有できる『パートナー共有機能』が好評で、そのおかげで前向きに妊活について話し合う機会が増えたという声をいただいています。ほかにも、PMS(月経前症候群)がひどい方がパートナーに体調を把握してもらうために共有機能を活用してくださる例も生まれ始めています」。

    企業向けの取り組みとしては、グループ会社の株式会社LIFEMが働く女性の健康課題改善をサポートする法人向けフェムテックサービス「ルナルナ オフィス」を提供しています。職場全体のリテラシー向上を目的に、女性の体に関するセミナーを実施するほか、医療機関と連携したオンライン診療・相談を通じて症状改善に向けた支援や効果検証まで行います。

    「生理の問題は社会を構成する1要素だと思っています。ですから女性の問題で閉じずに、社会全体として捉えてもらうことが解決に向けた一番の近道です。例えば以前、管理職向けのセミナーを実施したのですが、みなさん生理の困りごとについて知らないだけだったことがあります。気づきを持ち帰っていただくだけでも、どんな配慮が必要かがわかるようになり、社会の基盤が整っていきます」。

    誰も傷つけないサービスでありたい。ルナルナの挑戦

    ルナルナのミッションは「すべての女性に寄り添い、社会の変化を後押しすることで、女性の幸せの実現に貢献する」。そうした思いの中、25年間一貫して変わっていないのは「ユーザーの声を徹底的に聞く」ことだと言います。

    「実は私は、生理痛やPMSがほとんどありません。そのため、自分自身の経験だけで語らないことを常に意識しています。実際に、生理のつらさや向き合い方は本当に多様で、人によって困りごともまったく違います。だからこそ、さまざまな声に耳を傾けるのがとても大切なんです」。

    また、同じくらい大事にしているのは「誰かを傷つけない」という点だと、那須さんは続けます。

    「例えば、妊活をしている方にとっては生理は来てほしくないものです。妊活モードをご利用いただいている方に、生理が来てしまった時にどんな言葉を選んだらいいか。一方で、妊娠を望まない方もいらっしゃいます。生理の程度も多様なように、個人が望むあり方も多様です。ルナルナをより多くの方々に使ってもらいたいからこそ、いろんなお客様がいることを常に想像しなければなりません」。

    問題の所在を、個から社会へ——。常に時代の一歩先を切りひらき、視座を高めてきたルナルナ。この先にいったいどんな未来を思い描いているのでしょうか。

    「『こんな時代もあったね。信じられない!』と言われるくらい、女性の健康課題をみんなで考えることを当たり前にしていきたいです。誰もが、風邪をひいたら病院に行くのと同じように、生理がタブー視されず、つらさがある時には我慢せず、自然に相談し、必要なケアや選択肢にアクセスできる社会になったらいい。生理の問題が社会の問題となり、当たり前に課題が解消されている状態をつくり出すことが、ルナルナの挑戦であり、使命だと思っています」。

    PROFILE

    那須理紗

    那須理紗Risa Nasu

    株式会社エムティーアイ ヘルスケア事業本部 ルナルナ事業部 事業部長。2013年にエムティーアイに新卒で入社。「ルナルナ」と母子手帳アプリ「母子モ」の企画マーケティングに従事し、生理日管理から妊活・妊娠・育児へと市場ドメインを拡大。医療機関や製薬会社との取り組みを通じたさらなる価値提供に尽力するなど、すべての女性に寄り添うさまざまなサービスや事業を展開している。

    未来の景色を、ともに

    大和ハウスグループも「生きる歓びを、分かち合える世界」の実現に向け、様々な取り組みを進めていきます。

    大和ハウスグループの大和リースは、女性活躍推進に向けた施策として「ルナルナ オフィス」を導入しています。医師監修セミナーなどの月経プログラムや、更年期特有の健康課題(PMSや更年期症状)をケアする更年期プログラムを実施しています。

    「更年期プログラム」を導入

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