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連載:みんなの未来マップ 動物が幸せなら、人間も幸せになれる? 東京農工大学農学部生物生産学科教授 新村毅さん

連載:みんなの未来マップ

人も動物も環境も一体で考える。持続可能性を高める「ワンウェルフェア」とは

2026.3.26

    新村さんのロングインタビューはこちら

    「動物福祉」と「卵の大量生産」は両立できるのか。モデル鶏舎「Unshelled」が問いかける畜産の未来

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    学生時代からアニマルウェルフェア(動物福祉)や動物行動学の研究を続けてきたという東京農工大学農学部生物生産学科 教授の新村毅さん。数十年の研究者としての歩みの中でぶれずにあるのは「研究の成果を対象の動物に還元したい」という思いです。

    どうしたらアニマルウェルフェアは日本でも当たり前になっていくのか。そして、新村さんが立ち上げた動物福祉モデル鶏舎「Unshelled(アンシェルド)」の今後の展望とは。

    動物に還元できる研究がしたかった

    新村さんはなぜ動物について研究しようと思ったのですか?

    僕は、横浜市内の自然豊かな地域で育ちました。山の中にポツンと家があるようなところだったので、動物や昆虫を捕まえては飼っていて、生き物が身近だったんです。

    ある時、環境を変えると動物の行動が変わることに気づいたんですね。例えば、環境を変えたらトカゲが卵を産むようになった。それってトカゲと虫かごが鶏とケージに変わっただけで、やっていることはアニマルウェルフェアそのものなんですよね。

    子どもの頃から、知らず知らずのうちにアニマルウェルフェアに興味を持っていたんですね。大学は獣医学部に進んだんですよね。

    動物が好きだったので、動物に関わる仕事がしたいと思いました。動物に関わる仕事って獣医ぐらいしか思い浮かばなかったのですが、よく考えると、僕は何としても病気を治してやろうみたいな情熱があまりなく、獣医には向いていなかったんです。

    それよりもやっぱり、動物の環境を整えることに興味がありましたし、どうせやるなら、動物を使った研究の成果がその動物にダイレクトに還元できるような研究がしたかった。アニマルウェルフェアはまさにそういったことが実現できる研究テーマでした。

    これなら自分のやりたいことができそうだ、と。

    動物行動学研究では、目の前の動物は救えません。でも、いい研究に取り組んでいれば、5年後、10年後に何万という動物たちの環境や福祉を向上させることができるかもしれない。僕はそこに大きな価値を感じました。考え方は少しずつ変わってきている部分もありますが、今も動物に還元していきたいという原点や目指すところは変わりません。

    「ワンウェルフェア」が持続可能性を高める

    近年、新村さんは動物・人・環境のウェルフェアが一体的なものであるとする「ワンウェルフェア」についても言及されています。

    前編でケージフリーの卵は栄養価が高くなるというお話をしましたが、例えばビタミンBは鬱に効くとか、ビタミンDはカルシウム代謝が上がって骨が強くなるというふうに、アニマルウェルフェアに投資すると、回り回って人も健康になれるというのが、具体的なワンウェルフェアのあり方です。

    なるほど。すべては相関関係にある。

    時には極端な意見によって破壊的に進むこともあるかもしれませんが、僕は何事もバランスが大事だと思うんですね。日本人らしい協調性を大事にしながら、動物、生産者、消費者といったさまざまな関係者のハピネスをバランスよく満たすことが、持続可能性を高めてくれる。継続すれば、人と動物、人と自然のより良い関係性も生まれてくると思うので、そこはしっかり考えていきたいです。

    東京農工大学内に循環型エコシステムをつくる

    Unshelledの今後の構想についても教えてください。

    まず、見学に来てくれる人はどなたでもウェルカムです。さらに発展させるという意味では、オランダの養鶏場ロンディールがやっていることを参考にしたいですね。

    ロンディールは、田舎に大規模な鶏舎をつくり、アムステルダムなどの都市近郊に小さいサイズの鶏舎をつくって、都市で暮らす人たちが気軽に足を運べるようにしたのです。それを東京でも実現したいと考えています。

    多くの人に知ってもらえるよう、ステップをつくっていくと。

    それと、農工大の敷地はとても広くて、いろいろな研究がされているんですね。Unshelledの周囲だけでもミズアブやコオロギ、バッタなどを飼っている虫小屋があったり、目の前で稲の研究をやっていたりする。ミズアブは鶏のフンを食べてくれますし、バッタは稲の残った茎を食べてくれます。茎を粉にして、鳥の餌としてあげたりもできるし、鶏糞は堆肥になりますよね。敷地内で完結する循環型エコシステムを構築し、体験できる場をつくっていきたいと思っています。

    PROFILE

    新村毅

    新村毅Tsuyoshi Shimmura

    東京農工大学農学部生物生産学科 教授。麻布大学獣医学部卒業後、同大学院獣医学研究科にて博士号を取得。学生時代より一貫してアニマルウェルフェア、動物行動学の研究を推進。現在は東京農工大学にて、システム行動生物学および動物福祉学を専門分野とする研究グループを主宰。2025年、東京農工大学・府中キャンパスに動物福祉モデル鶏舎「Unshelled(アンシェルド)」を開設した。

    未来の景色を、ともに

    大和ハウスグループも「生きる歓びを、分かち合える世界」の実現に向け、様々な取り組みを進めていきます。

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