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連載:みんなの未来マップ このままだと、地球が足りない! 一般社団法人ゼロ・ウェイスト・ジャパン 代表理事 坂野晶さん

連載:みんなの未来マップ

消費ではない幸福の尺度を探す。目指すのは"地球1個分"で豊かに暮らせる世界

2026.3.26

    坂野さんのロングインタビューはこちら

    ごみ問題を"環境"から"資源"へ。ゼロ・ウェイストが描く次の社会

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    もともとは鳥が好きで、絶滅危惧種の世界最大のオウム「カカポ」をきっかけに環境問題に関心を持ったという「一般社団法人ゼロ・ウェイスト・ジャパン」代表理事の坂野晶さん。

    10年間取り組んでも、ごみ問題は一進一退の状態です。「一生かけたとしても、どこまでたどり着けるかわからない」と話すその表情は明るく、悲壮感はどこにもありません。そのポジティブさの源泉はどこにあるのか。坂野さんがまっすぐ見据える先に、どんな未来を目指しているのかを伺いました。

    今の消費スピードだと、地球1.75個分の資源が必要

    坂野さんが今後、活動を通してつくりたい未来はありますか。

    2024年、私がCCO(Chief Circularity Officer)を務めているECOMMITでインパクトプログレスレポートを出したんです。そこで謳っているのが「地球1個分で豊かに暮らせる世界にしたい」ということ。

    現在の我々の資源消費スピードは地球1.75個分で、全員が日本人の生活スタイルになるとすると2.9個分も必要になります。こうした世界線の中で、地球1個分で豊かに暮らしていくためには、資源を循環させなければいけないし、そもそも使う資源の量を減らさなければなりません。

    リサイクルもごみの減量化もまったく足りていないと。

    日本の場合は、ごみがきちんと収集されて、飛散せず、安全な施設の中で処理されて埋め立てられ、変なガスは出ていないという「適正処理」と呼ばれる範囲はもうできているんですね。ただ、それによってごみ問題は終わったことになっています。だから、リサイクルやごみの減量化が忘れられがちで、実はリサイクル率はずっと横ばいのままです。

    一人当たりのごみ排出量は少しずつ減っているし、この先は人口が減るからごみも減る。だからいいよねという雑な結論になってしまっています。

    リサイクル率は、少しぐらい上がっているのかと思っていましたが、横ばいなんですね。

    最近、都知事が、ごみを有料化するべきだと言ったことがニュースになりました。東京都が管理している埋立処分場は残余年数50年と言われて久しいんですね。"久しい"と言ったのは、その間にいろいろな工夫を凝らし、昔埋めたプラスチックを掘り起こし、燃やしてから埋め戻すみたいなこともやってきて、なんとかスペースを確保してきた歴史があるからです。

    でもこれ以上、新規の埋立地はつくれないことがわかっています。終わりが見えているからこそ、リサイクルや減量化には絶対に取り組んでいかなければいけない。そう考えると「地球1個分で豊かに暮らせる世界」にしていくためには、やるべきことはたくさんあるんです。

    消費しなくても、幸せでいられるように

    もう一つ未来について思うのは、価値観のことです。これまでは消費すればするほど幸せになっていく世界だったけど、そんなに消費しなくても、ハピネス具合が変わらない世界にしていくにはどうしたらいいのか。

    便利さという尺度だと、毎日コンビニでごはんが買えるのは便利だけど、充足感や幸福の尺度で見たら、おそらく幸福じゃないですよね。何をもって足りていると思えるか、幸福と思えるかを改めて考えることが大切だと思っています。

    例えば、坂野さんにとっての幸福な時間はなんですか?

    やっぱり鳥ですかね。年1回は双眼鏡を持ってバードウォッチングに行きますし、最近自宅ではオウムを飼い始めました。

    これは本当に生き方や暮らし方に向き合うということなので、自分なりの尺度が見つけられるといいですね。

    ごみのことも、全員が量り売りのお店に行ってくださいとは言わないけど、自分にとってのいい塩梅を探ることは、みんながやったらいい。そういう個人への問いと大量消費社会の圧倒的なスピードをスローダウンできる仕組みづくりは、両方ともとても大事だと思います。

    一度もバーンアウトしない。続けることが、サステナブル

    ごみをはじめ環境問題は、なかなか解決に進んでいる実感が持ちにくいテーマではないかと思います。中には、問題が解決せずバーンアウト(燃え尽き症候群)してフェードアウトしてしまう活動家も多いと聞きます。坂野さんが10年間、一度もバーンアウトせず活動を続けてこられた理由はどこにあるのでしょうか。

    私は自分のことをアクティビストだとは思っていなくて。確かに日々イライラすることはいっぱいあるんですけど、原動力は怒りじゃないんですね。怒りに縛られるとしんどくなるので、ある種ドライに仕事だと思ってやっているところがあります。

    よく言っているのは、この問題って「難しくて大事で、だから面白い」。そこにアドレナリンが出てるっていうだけなのかもしれませんが。

    そんな坂野さんにとってのサステナブルとは?

    「続けることそのもの」です。バーンアウトせず、フラットにやり続ける。いろいろな変化を起こしていくためには止まらずに仕掛けていく必要がありますが、当たり前ですけど、止まると止まっちゃうんで(笑)。とにかく続けていくことが大切なのだと思います。

    PROFILE

    坂野晶

    坂野晶Akira Sakano

    一般社団法人ゼロ・ウェイスト・ジャパン代表理事/一般社団法人Green innovation 共同代表/株式会社ECOMMIT 上席執行役員 CCO(Chief Circularity Officer)。日本初の「ゼロ・ウェイスト宣言」を行った徳島県上勝町の廃棄物政策を担うNPO法人ゼロ・ウェイストアカデミー元・理事長。2019年世界経済フォーラム年次総会(通称ダボス会議)共同議長。2020年より一般社団法人ゼロ・ウェイスト・ジャパンにて循環型社会のモデル形成に取り組む。2021年、脱炭素に向けた社会変革を起こす人材育成プログラムGreen Innovator Academyを共同設立。2023年より株式会社ECOMMITに参画。2025年より至善館大学院大学 循環未来デザインセンター共同センター長。

    未来の景色を、ともに

    大和ハウスグループも「生きる歓びを、分かち合える世界」の実現に向け、様々な取り組みを進めていきます。

    大和ハウスグループでは、建物建材の再利用をはじめ、サプライチェーンマネジメント(環境)に取り組んでいます。

    環境経営の基盤強化 環境マネジメント-

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