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連載:みんなの未来マップ 勝手に未来を悲観して、未来を決めないで 漫画家 夕暮宇宙船さん ©夕暮宇宙船/集英社

連載:みんなの未来マップ

勝手に未来を悲観しないで。偽善とネガティブを引き受けて、隣人と生きる先に

2026.1.28

    夕暮宇宙船さんのロングインタビューはこちら

    悲観したまま、未来を生きる。地球温暖化の先を描いた漫画『utopia』が問いかけること

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    偽善でもいい、ネガティブでもいい。
    世界を救えなくても、隣人を想えたら、それでいい。

    地球温暖化や社会不安が語られるたび、「正しい行動」が求められる。でも、その正しさに疲れてしまう人は少なくないはずです。

    第86回ちばてつや賞(一般部門)入選を果たし、『utopia』で近未来を描いた漫画家・夕暮宇宙船さんは、そんな息苦しさを抱えたままでも生きていい、と語ります。

    偽善やネガティブとどう付き合い、未来を誰に委ねるのか——隣人を起点にした、静かで優しい思考の輪郭が見えてきました。

    世界の人が全員、偽善を働いたらいい

    夕暮宇宙船さんが考えるサステナブルってどんなものですか。

    私は「誰一人取りこぼさない」って、すごく素敵な言葉だなと思っていて。きれいごとに聞こえて敬遠する人もいっぱいいると思うんですけど、たとえきれいごとだとしても、そういう気持ちはやっぱり忘れちゃいけない。何事も腐らず、健全な状態で人々が存在し続けることが、ひいては持続可能性につながるのかなと思っています。

    夕暮宇宙船さん。

    とはいえ、私は経済的には恵まれた家庭で育ったので、本気で困窮したことがないんです。そんな自分がこういうことを言うのは傲慢じゃないかと考えたこともあります。でも、恵まれた人間にはきれいごとを発信していく義務があるとも思うんですね。私はすごく悲観的な人間ですが、やっぱり悲観ばかりしてたら生きていけないよなっていうのもあります。

    きれいごとぐらい言わせてくれと。

    でも正直、一人ひとりがきれいごとを言って頑張っても効果は薄い。だから、企業とか国とか、大きなところが変わってくれるのがやっぱり一番いいよなぁと。今だって、昔と比べたらずいぶん変わってきたじゃないですか。

    私は、偽善とか売名行為っていう言葉がすごく嫌いで。「偽善と売名の何が悪いの?」と思っています。企業には積極的に偽善を働いてほしいし、世界中の人が偽善を働いたり、売名行為に走ったら、めちゃくちゃいい世界になるだろうと思うんです。だって、ずっと偽善を続けていれば、それはいつかただの善でしかなくなります。

    確かに。そう考えると、偽善って何なんでしょうね。

    やめないで続けてさえくれれば、偽善は全部「善」なんです。

    ネガティブは世界を救い得る

    夕暮宇宙船さんは、この先、どんな未来になっていたらいいなと思いますか。

    未来……かぁ(笑)。自分の悲観的な思考回路のせいなんですけど、やっと隣人を大事にしようという意識が芽生えてきたばかりで。まだ全然できてないし、すぐ呪詛の言葉を吐きたくなっちゃう(笑)。でも、隣人を想う先に、優しい世界になっていくといいなっていう気持ちは捨てずに、腐らずに生きていきたいなとは思っています。その結果としていい時代になっていくといいなと。

    やはり大きな世界ではなく、隣人が大切なんですね。

    今回『utopia』の感想をnoteにあげてくれた読者の方がいたんですけど。その方の言葉で「ネガティブは世界を救いうるし、ポジティブは隣人を救いうる。そして世界とは隣人とひと続きなのだ」というのがあって。まさに「それです!」っていう感じでした。

    生きていると「解決方法ないじゃん」って絶望的になっちゃうこともあるんです。でも、漫画では「解決方法ないじゃん」の「ないじゃん」っていう気持ちを物語にできる。解決方法がなくてつらいっていう気持ちは、普通なら吐き出す先がないですよね。でも漫画を描けば、行き場のない気持ちを表現できる余地がある。そして、そういう漫画を面白いと言ってくれる人がいます。溜め込まないでアウトプットすることは、本当に大事だと思います。

    未来のことは未来の人たちが決める

    『utopia』の中に「私たちが決めちゃダメ」「今あるものが全部消えたとしても その時を生きる人が新しく見つける」というセリフがありました。この言葉にハッとさせられた読者は多かったのではないかと思います。

    「未来のことは未来の人たちが決める」というのは、実は友だちが話していたことの受け売りなんです。でも本当にそうだなぁと。反出生主義を支持して、世界は終わりだと決めつける。私は、そんなふうには思えなくて。

    『utopia』から。
    ©夕暮宇宙船/集英社

    私たちが勝手に悲観して、未来を決めてはいけない。もちろん責任を持って、今やるべきことはやらないといけないけれど、幸せかどうかは、未来を生きる人たちが自分たちで感じとって決めるものなんじゃないでしょうか。

    PROFILE

    夕暮宇宙船Yugure Uchusen

    1996年生まれ。神奈川県在住。会社員として働く傍ら、2020年頃から漫画を描き始め、SNSや同人誌などで作品を発表する。2023年12月に発表したエッセイ『未題』が話題となり、のちに地下BOOKSより『小さき者たちへ』として出版。2024年、『水の定規』で第86回ちばてつや賞(一般部門)入選。2025年より、商業作品にも挑戦している。同年『utopia』を発表し、SNSを中心に話題を集める。趣味はボクシング観戦とひとりでドライブすること。
    X:@yugureuchusen2
    Instagram:@yugureuchusen_painting

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