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コラム No.82-5

CREコラム

不動産テック入門(5)「リフォーム・リノベーション」

公開日:2019/12/26

リフォームとリノベーションは、空き家の利活用や中古住宅の流通促進などの不動産が抱える課題を改善するための方策として、不動産テックの分野で最も注目されている領域のひとつとなっています。

2018年の空き家率が過去最高に

リフォーム・リノベーションは、所有する不動産に何らかの手を加えてより良くする手法です。
リフォームは老朽化した建物を新築の状態に戻すことを指します。外壁塗装やバス・キッチンの設備変更、フローリングの張り替えなど、経年劣化した部分に改良を加えて新しくしたりします。リノベーションは既存の建物を大胆に変更して新築時の状態に比べて価値を高める改修を施すことをいいます。いずれも既存の不動産物件に回収の手を入れることでは同じですが、原状回復を主眼にするリフォームに比べ、住環境を革新的に変えるのがリノベ―ションといえるでしょう。
不動産テックでリフォームとリノベーションが注目されている背景には、空き家対策と中古住宅の流通促進という社会的問題を解決する大きなツールになるとの期待があります。総務省が今年4月に公表した「住宅・土地統計調査」によると、空き家数は846万戸で、2013年に比べて3.2%増加。総住宅数に占める空き家の割合(空き家率)は13.6%と過去最高を記録しています。

図1:総住宅数及び増加率の推移(1963年~2018年)

出典:総務省「平成30年住宅・土地統計調査」より抜粋

図2:空き家数及び空き家率の推移(1963年~2018年)

出典:総務省「平成30年住宅・土地統計調査」より抜粋

物件選びから資金計画まで一貫したサービス

わが国で中古住宅の流通が思うように進展しない背景には、新築志向が強い国民性があるとの指摘が従来からあります。また高齢化社会が本格化し、都市部への人口流入で過疎地域における空き家が増加しています。リフォームやリノベーションは、こうした問題に対して有効な対策の一つとして近年注目を浴びてきました。特にリノベーションは既存の住居を一新させる狙いがあり、新たな中古物件としての価値が高まる効果があります。
しかし、リノベーションは、入居する人の住まいに対するコンセプトを実現しようと既存の不動産物件を探すとなると、時間がかかることが多く、実際に住み始めるまでに時間がかかるというデメリットがあります。
そこで登場したのが、物件選びから具体的なリノベーションの設計、住宅ローンの仲介などを一貫して取り扱う不動産テックの業者です。イン ターネットを通じて全国の不動産物件情報が開示され、希望する地域や物件のタイプを選択できるシステムになっています。物件探しから資金計画までをサポートするので、広範なニーズに応えられる仕組みです。

あのアマゾンも進出したリフォーム通販

リフォームやリノベーションなど住関連の工事は、いくつもの業者が現場に出入りすることが多いのが特徴です。そんなときに威力を発揮するのがイ ンターネットの「マーケットプレイス」という特性です。インターネットならば、多くの業者がひとつのサイトに集合し、多様なサービスを複合的に提供できるのです。そこに目を付けたのが、インターネットショッピングの世界最大手Amazon(アマゾン)。2015 年にリフォーム市場に参入し、住宅関連業界を驚かせました。通販ストアにシステムキッチンやトイレなどの設備を請け負う住宅建設メーカーや、ハウスクリーニング会社など6社が出店しており、商品・サービスの選択や注文から現地での工事打ち合わせなどを無料で対応しています。

物件探しからローンの紹介などの資金計画まで、トータルサービスを提供する業者は多くはありません。物件情報までは新興の企業でも対応できるかもしれませんが、ローンの紹介や仲介などは一定の信用力が必要で、不動産テック業者にとっては厚い壁になっているとも考えられます。 不動産テックにおけるリフォームやリノベーショ ンで多いのは、マッチングサービスです。業者と顧客を結び付ける比較・紹介サイト。リフォーム業者全般を対象にしたサイトや、外壁塗装業者に特化したサイトがあります。また、リフォームやリノベーションには専門的な知識が必要なことから、設計を建築家に依頼することがあります。そこで自分の好みに合った住まいを設計してくれそうな建築家を紹介します。こうしたサイトの中には、会員になってリフォームやリノベーションに関する意見交換をする場も設けています。

少子高齢化の進展は、あらゆる業種に大きな影響を与えています。とりわけ、不動産に関連する業界は、空き家解消と中古住宅の流通という課題を突き付けられています。既存の物件を貸したり借りたりすることで活性化を図るスペースシェアリングと、改修したり価値を高めたりするリフォーム・リノベーションは、不稼働不動産の再利用として車の両輪の役割を果たしているのではないでしょうか。

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