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コラム vol.239-6
  • 不動産市況を読み解く

特集:旧耐震賃貸住宅物件のこれから第6回 賃貸住宅建て替えについて

公開日:2018/09/28

「旧耐震賃貸住宅のこれから」と題した連載は今回が6回目、最終回になります。
旧耐震賃貸住宅にフォーカスした連載はこれまであまりなかったと思いますが、日本では確実に賃貸物件の建て替え期を迎えており、建て替えは今後かなり増えると思われます。
最終回の今回は、これまでのまとめ的な内容も含めつつ、「賃貸住宅の建て替えの流れ」についてお伝えしたいと思います。

ライフスタイルの変化も自宅戸建て住宅の建て替えの大きな要因

一般的な自らが住む戸建て住宅については、築年数が40年を超えた辺りから、建て替えや取り壊し、もしくは物件を手放すなどと言った、次ステップをどうするかについて検討され始めます。
自宅物件の築年数が40年を超える頃にこうした検討を始めるというのは、建物そのものの老朽化・破損などがトリガーとなることがほとんどだと思います。
しかし、それ以外に要因があることも多いようです。家族環境の変化(具体的には、子どもの結婚、進学等)により、このままこの家に住み続けることがベストなのか、という疑問がわき始めます。こうしたライフスタイルの変化の方が建物の老朽化より大きな要因になることも多いようです。

賃貸住宅の建替え要因

一方、賃貸住宅の建て替えの要因となるのは、老朽化でしょう。そして、その老朽化を意識するトリガーとなるのが、「空室が目立つようになること」・「入居者様の入居が決まるまでに時間がかかること」等があげられます。「空室が増えているのは、やっぱり、ウチの賃貸住宅がもう古いからかな。。」というオーナー様の声が聞こえてきます。
都心の超人気エリ以外では、築30年を超えた賃貸住宅は競争力を失っていきます。築30年というと1988年施工の物件です。バブル景気の上昇機運の真っただ中に建てられた賃貸物件の中には豪華な仕様のものもあります。しかし、現在のようなスマホやPCで物件探しをする時代です。物件内覧に行く前に、ネットで条件を入れて検索し、そこで出てきたものの中から選んで、不動産会社さんに問い合わせるという流れです。この条件では、立地条件を除けば、賃料、広さ(間取り)、築年数でまず、ふるいにかけます。○万円以下、○○m2以上、築○○年以内、という感じです。「実際は古さを感じないいい物件だけど、物件案内が入らない・・」となってしまう例も多いようです。

空室の増加は、賃料下落につながります。こうした悪循環が収まらないなら、いっそ建て替えを行おう!とすぐ決めれればいいですが、たいていはそんなわけにはいきません。ちなみに、いうまでもありませんが、大型リフォームをすれば、見違えるように新しい賃貸住宅になりますが、表記の築年数は変わりません。
空室増、賃料下落は賃貸住宅経営の収益を悪化させます。建物の残債務や該当エリアの将来の賃貸需要などあらゆる要因から判断して、「大丈夫」となれば、建て替えステージに進むといいでしょう。

賃貸住宅建て替えの流れ

自宅と異なり、「普通賃貸借契約」あるいは「定期借家契約」に基づいた賃借人がいる建物を建て替える訳ですから、これら賃借人の方の了解が必要です。ここが大きなハードルになります。賃借人の方々がすぐに了承してくださればいいですが、時に弁護士の方に依頼する必要もあるかもしれません。
また、ある時点から順次、ご入居者を募集しない部屋が出てきますので、その際の収益が悪化することも考慮しなければなりません。

下図は一般的な賃貸住宅建て替えの流れ(概要)を示したものです。

賃貸住宅の建て替えの流れ

ここで、示したように検討を始めたら、まず管理会社(大和リビング社等)か施工会社(大和ハウス工業等)に相談してみましょう。建て替えて、そのエリアに賃貸住宅需要がこの先30年以上十分にあるのか?競合する物件の数の予測は?など今後の予測をきっちり立てなければなりません。それで納得すればGOとなります。その後先に述べた賃借人(ご入居者様)との折衝を経て、取り壊しを行います。この後の新たな賃貸住宅を建てることになります。
現在賃貸住宅をお持ちの方は、いずれ建て替えの時期を迎えます。セミナー等に赴いて、早くから情報を仕入れておくとよいでしょう。

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土地活用ラボ for Owner アナリスト

吉崎 誠二(よしざき せいじ)

不動産エコノミスト
社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長

早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。
立教大学大学院 博士前期課程修了。

(株)船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者等を経て現職。
不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、全国新聞社、地方新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。

著書:「データで読み解く 賃貸住宅経営の極意」(芙蓉書房出版)、「2020年 大激震の住宅不動産市場」(朝日新聞出版)、「消費マンションを買う人、資産マンションを買える人」(青春新書)等10冊。多数の媒体に連載を持つ。

公式サイト:URL http://yoshizakiseiji.com/
社団法人 住宅・不動産総合研究所:URL http://www.hr-i.jp/

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