土地活用ラボ for Owner

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コラム vol.239-5
  • 不動産市況を読み解く

特集:旧耐震賃貸住宅物件のこれから第5回 過去の大震災でどのタイプの住宅に被害が多かったのか?

公開日:2018/08/30

過去20数年の大きな地震

日本は地震の多い国として知られています。環太平洋の国や地域は、どこも地震が多いようですが、日本においても太古の昔から、度々大きな地震に見舞われました。記憶に新しい中では、阪神・淡路大震災(1995年)、東日本大震災(2011年)、熊本地震(2016年)などは、近年の中では甚大な被害が出た地震です。また、被害は大きくありませんでしたが、今年も6月17日に群馬南部で震度5弱、そして翌18日には大阪~北摂エリアの広い範囲で震度6の地震が観測されました。今後も、首都直下型地震、南海トラフ巨大地震などの発生が予想されています。

今回は、大きな地震が起こった時の住宅の被害を築年別や建て方(工法)等の区別で分析してみましょう。

阪神・淡路大震災がきっかけだった、住宅の耐震性向上

建築年別 阪神・淡路大震災における被害状況

建築震災調査委員会「平成7年阪神・淡路大震災 建築震災調査委員会中間報告」より作成

上の図は、阪神・淡路大震災時の建物被害の状況を築年ごとに分類したものです。
1971年以前は、旧耐震基準法よりもさらに基準が緩かった(通称:旧々耐震基準)時代です。(=最上段の帯グラフ。)
1972~1981年は旧耐震基準の時代。
1982年以降は現行の基準です(一部変更=強化されている事もあります)。
これをみると、旧々耐震基準時代の物件の35%は、倒壊・崩壊、または大破となり、そのほとんどは使えなくなったようです。
そして、旧耐震基準時代の物件(中段の帯グラフ)では12%が倒壊・崩壊、または大破となっています。この阪神・淡路大震災での倒壊の多さは衝撃を与え、その後旧耐震基準時代の物件の耐震補強工事が進むきっかけとなりました。また、ハウスメーカー各社の物件はもともと耐震性の高い建物を建てていましたので、倒壊などの例はほとんどなかったようですが、それでもその後は、より耐震性の高い商品の開発がすすめられました。

未曽有の被害が出た東日本大震災でもマンションの倒壊はなかった

次のグラフは2011年3月に起こった東日本大震災での宮城県におけるマンションの被害状況です。

耐震基準別 東日本大震災における被害状況(マンション)

株式会社東京カンテイ「東日本大震災 宮城県マンション被害状況報告」より作成

上段帯グラフが旧耐震基準時代に建てられたマンションですが、被害無しもしくは軽微がほとんどで、約2割のマンションで少しの被害があったという状況です。この割合は、現在の耐震基準下で建てられたマンションの状況(下段の帯グラフ)でも大きく変わりありませんから、「耐震基準が問題だった」ではなさそうです。

木造住宅では耐震基準の差で被害に大きな差が出る?

次のグラフは2016年に発生した熊本地震での木造住宅の被害状況です。
阪神・淡路大震災は都市の中を横断する直下型地震、東日本大震災は海中プレートの沈みで発生した大型の地震、熊本地震は2度連続して発生した地震と、それぞれタイプが異なります。
熊本地震は1度目の大きな地震で、建物にダメージを与え、そこに2度目の地震でさらなるダメージを与えたということで、被害が大きくなりました。

建築年別 熊本地震における被害状況(木造住宅)

国土交通省 「熊本地震における建築物被害の原因 分析を行う委員会」報告書より作成

この地震での木造住宅での倒壊は全体の15%ですが、これを旧耐震基準時代に建てられたものに限ると28%と約2倍になります。(上段帯グラフ)
2000年以降に建てられた木造住宅では94%がほとんど被害を受けなかったようです。このように木造住宅では耐震基準が被害に大きな差を生んでいます。これは、先ほどのグラフでみたマンション(RC造、もしくはSRC造)での被害の差がほとんどなかった状況と大きな違いです。

1981年以前(現行耐震基準以前)に建てられた賃貸住宅は全国に約386万戸、貸家(賃貸住宅)全体の約21%にあたります。これらの内、特に木造系の賃貸住宅は早めに建て替えや耐震補強工事を行った方がよいでしょう。

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土地活用ラボ for Owner アナリスト

吉崎 誠二(よしざき せいじ)

不動産エコノミスト
社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長

早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。
立教大学大学院 博士前期課程修了。

(株)船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者等を経て現職。
不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、全国新聞社、地方新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。

著書:「データで読み解く 賃貸住宅経営の極意」(芙蓉書房出版)、「2020年 大激震の住宅不動産市場」(朝日新聞出版)、「消費マンションを買う人、資産マンションを買える人」(青春新書)等10冊。多数の媒体に連載を持つ。

公式サイト:URL http://yoshizakiseiji.com/
社団法人 住宅・不動産総合研究所:URL http://www.hr-i.jp/

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